でも、お祖父様のことも、もちろん好きですよですから、今夜はお諫めに参りました
私を諫める
はい、お祖父様は今の瑠璃子に、不安を感じられて、それで急遽旦那様に託されることになさったのですよね
自分のお父様の葬儀だというのに瑠璃子の頭の中は、今後の香月家のことでいっぱいなっていましたそんなこと瑠璃子が考えても、どうにかなるような問題ではないのにまるで、自分が香月家の当主であるかのように香月家の未来について、悩んでいました
ジッちゃんは、みすずの言葉に頷き
その通りだ瑠璃子は自分こそが、後継者だと思い込む余り香月家の未来についてばかりを気にしていた自分自身や周りの人々をまるでゲームのコマの様に、自由に動かせるものだと思い込んでいたそういうゲーム的な思考に逃げ込むことで父の死や自分の未来に対する恐怖から逃れようとしていた
ジッちゃんは数日前の瑠璃子を、そう分析する
そんな思考に逃げ込んだままの瑠璃子を、このまま香月家の中に置いておいたらそれこそ、色んなやつらに利用されるそれが、香月家のためだと言われたら碌でもない男に身を任せるかもしれないそういうことにならないようにするには、瑠璃子を一度、香月家から出すべきだと考えた
だからジッちゃんは
瑠璃子は一度、外から客観的に香月家を見るべきだそのためには、私の庇護や香月家からの援助が完全に断ち切られた場所に、瑠璃子を送り込むしかない
オレに瑠璃子を売り払った
こいつは無茶をしない男だということは知っている野心も無いそれでいて、女たちを満足させ、安定させる能力だけはある瑠璃子も年頃だ私が、どんなに制しても瑠璃子の中の性欲は目覚めるならば、こいつに瑠璃子を託してしまうのが、得策だろうと考えた
旦那様のお側には、あたしもおりますものね
ああこいつの正妻には、みすずが就くだろうから瑠璃子には、いずれ別にムコを取ることも可能だろうと考えたなに、形だけの結婚でも良い名家から貰ったムコではなくこいつと瑠璃子の子供が、将来、香月家を継ぐことになったとしても、私は構わないのだ
ジッちゃんは言葉を続ける
かつて、オスマン・トルコという国があったその皇帝は、正式な后の他にハーレムにたくさんの寵姫を囲っているハーレムの女は身分は女奴隷だオスマン・トルコでは、トルコ人の女を奴隷にすることはできないつまりハーレムの女たちは、みんな異民族だ
みすずは、ニコニコ笑いながら祖父の話を聞いている
そして、正妻の后よりもハーレムの女たちの方が、皇子を懐妊する可能性は高いすると、どうなると思うオスマン・トルコの皇帝は、代を重ねるにつれどんどん、トルコ人からはかけ離れた容貌を持つようになるトルコ人の皇帝と異民族のハーレムの女から生まれた皇子は皇帝となって、また異民族のハーレムの女と契り皇帝はどんどんトルコ人の血を薄めていくこととなる
一方美子さんは、暗い表情のままだ
私たちの名家も同じだ名家の血筋とは言うが時代ごとに、その時の勢力者の血を受け入れている一代限りの成り上がり者もいたこの地上には、清らかで純粋な血筋などない香月家の血筋も、決して尊いものではないのだいまさら、そいつの血が交じったところで、どうということは無い
美智は、いつものままの無表情だ
克子姉は、飄々とそれぞれの人に、お茶を出して行く
長々とご演説ありがとうございました
お祖父様も瑠璃子と同じ病気ですわ
何だと
考えすぎです香月家の行く末などお祖父様が考えることではございません
私は当主だぞ
あたしたちの未来はあたしたちが、決めますわ
みすずは、祖父に微笑む
その結果香月家が、潰れてしまったとしてもですこの地上には、絶対に続いていかなければならない名家など1つも無いのですから
ジッちゃんは絶句する
一番大切なのはみんなが、幸せに生きていくことができるかどうかですわたくしは美子様にばかり負担を掛けるような、お祖父様の現在の計画には反対です
みすずははっきりと言う
美子さんをまるで後継者の第1候補であるかの様に押し立てて、世間の注目を集めて
その隙に、瑠璃子をオレに預けて、外部から客観的に香月家を見る眼を養わせ
そして成人するのを待って、瑠璃子を後継者に据える
それがジッちゃんの計画だった
実際のところ美子さんが、一番ツラいだけの役目を負わされることになる
香月家のことなんて、どうでもいいではありませんかわたくしや、瑠璃子、美子さんそれに、お祖父様が幸せで健康に暮らせることを考えるべきですわ
しかし多くの人間たちの生活を預かっている、香月グループの当主としては
ですからだからといって、そのためにあたしたちが犠牲になるのは間違っていると申し上げているんです
みすずは譲らない
というより香月グループのことは、司馬さんにお任せしたのでしょうお祖父様は、経営のお仕事からは引退なさるのではないのですか
それはそうだが
でしたらもう、お諦めて下さい先のことは、あたしたちで考えますしやりますから
先
そうですあたしたちのこと少しは、信頼して下さってもよろしいと思いますわ
ジッちゃんオレにとっても、ジッちゃんは香月家の当主じゃないんだよジッちゃんは、オレの家族なんだ
あの時ホテルの地下の部屋で、ジッちゃんはただの思いつきで言っただけなのかもしれないけれどオレたちの家族に入ってくれるって言ったろだからオレは、ジッちゃんをオレの家族だと、思っている
オレの眼をジッちゃんが見ている
オレの言葉が、真実かどうか見極めようと
だからさ、こんな回りくどいことをしなくてもいいんだよ瑠璃子は、オレが死んでも幸せにするみすずも、幸せにするだって、オレの家族だからだからといって、瑠璃子やみすずを特別扱いはしないよここにいる克子姉や、美智とおんなじくらいに大切にする差を付けたりはしない家族なんだからオレには香月家とか、全然関係無いしどうでもいいんだよオレの家族のことだけで、手一杯なんだから
いつもお手数をお掛けして申し訳ございません
美智がポツリと言う
そんでジッちゃんもだよオレには、ジッちゃんもメグやマナやアニエスたちと同じくらい大切なんだだからさ、少しはオレたちのことを信用してくれよ大丈夫だよオレは、瑠璃子にもみすずにも、酷いことはしないよ
いいんですのよ酷いことをしても
大切なのはあたしたちが、何を幸せな思うかっていうことですわあたしは、旦那様になら、どんな酷いことをされても幸せですわ
むしろ酷くして下さい
あたしたちは、あたしたちの意志で生きています自分で選んだことで、失敗したとしても後悔は致しませんお祖父様の孫娘たちは、とっても強いんですわよっ