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背筋がしっかり伸びている頭は白髪を短く刈り込んでいる

若い頃は、何かスポーツでもやっていたのだろうか

80過ぎとは思えない、がっちりとした体格をしていた

微笑をたたえて、劇場内を見廻しているが眼は笑っていない

現在でも現役の経営者として、最前線にいる人物らしい威厳と力強さを持っていた

あこっちも見ている

ミナホ姉さんたちが、スッと頭を下げて挨拶した

閣下はうむといった感じで、首を振る

それだけでミナホ姉さんが閣下に許されてこの場に居ることが、劇場内の観客たちに伝わる

すごい、影響力だ

閣下の座席は2階席の最前列だ

うん正しく王様の席

香月様の周囲にいらっしゃる3人の黒いスーツの方々が護衛役です

美智が、オレに囁く

なるほど、男2人に女1人の黒スーツの人たちが、閣下の周囲に付いている

その後ろに谷沢チーフの姿も見えた

谷沢チーフが、閣下の直接の身辺警護を任せている人たちだ

この3人が、香月セキュリティ・サービスの中で最強の警護人なんだろう

男性が大徳さんと、張本さん女性が関さんです

美智の視線を追う背の高い美男子が大徳さんだな張本さんは、ヒゲを生やしたマッチョマンタイプ関さんは、綺麗な黒髪の美人だった

場内はスッと静まりかえる

拍手とかしなくていいのかな

オレが美智に尋ねると

香月様は、そういうことをとても嫌われますから

そっか名家ったって、どこかの国の王族とかじゃないんだし

普通の反応をしないと、ヘソを曲げるんだな

閣下が2階最前列のシートに着席すると

次に、数人の若い男性たちがぞろぞろと入って来る

全部で20人くらいか

みんな高価そうな派手な色の背広を着て行儀良く、頭の良さそうな顔をしていた

その若い男たちのグループが、閣下の後ろの席を占める

あれは香月様が、日頃から可愛がっておられる方々です

男を可愛がっているって

えまさか、閣下ってホモなの

男の子も、イケル人なの

あそういう意味ではありません

美智が、赤くなって訂正する

そういう意味って

オレが、わざと意地悪な質問をすると

ご主人様、わたくしは今、大変イケナイ想像をしてしまいましたどうか、美智に罰を与えて下さい

耳まで赤くして、オレにねだる

どうして欲しいんだ

美智は、答えた

お尻をつねって下さい

美智は、お尻好きだな

違います、わたくしは胸に自信がないから

美智つるぺたなのを気にしていたのか

そっちも、オレが揉んで大きくするよ

美智が座席からお尻を浮かす

ご主人様、どうぞ、

オレは美智のお尻とシートの隙間に右手を伸ばし美智の柔らかいお尻の感覚を楽しんでから、一回だけキュッとつねってやった

美智が、切なそうな声をあげる

もう二人だけで、楽しそうなことしてないでよっ

マナがプンプンして、オレに言う

そんなことしている暇があったら、マナのお尻も触ってよっ

マナが無理矢理、オレの左手を自分の尻に引っ張る

もうしょうがないな

オレはマナのお尻を揉み揉みしながら、美智の話を聞く

あの若い男性たちは香月様が直接、教育をなさっておられる方々です香月の家の血筋の方もいらっしゃいますし香月様の側近や支配下の会社の重役のお子様も混じっています

みすずの婚約者も、あの中に居るのか

はい、わたくしはどの方なのかまでは知っておりませんが香月様のすぐ後ろに座られた6人があのグループの中でも特に香月様がご期待なさっておられる方々ですおそらく、みすず様と瑠璃子様の婚約者はその中にいらっしゃると推察致します

オレは下の名前だけ知っている

みすずが処女喪失の後に、オレにだけ話してくれたから

その6人名前、判る

美智が答えた

はい右より、香月操様、香月仁様、香月昴様、夏木惇様、司馬貴彦様、嘉田奉孝様です

貴彦左から二人目か

司馬貴彦こいつが、みすずの婚約者だ

うん、大学生ぐらいだな

銀縁の眼鏡を掛けて、背が高くて勉強もできそうだ顔も良い

オレには勝てそうな要素が一つも無い

お気になさることはありませんみすず様は、ご主人様を心から愛しておられます

オレの顔を見て美智が、そう言ってくれた

閣下のご来場で一旦は静まり帰った場内がまた、ざわざわしてくる

今日の客席は、小さい子供も多いから仕方が無い

閣下に挨拶しようとする人たちが列を作っている

香月セキュリティ・サービスの制服警備員が、サッと列をまとめて

すでに、閣下の周りには警護役とエリート子弟たちが座っているからみんな4メートルくらい離れたところから、挨拶の言葉を述べている

閣下は、うんうんと挨拶する人に対して頷くだけ

香月様とあのグループの方々は、発表会を最初から最後まで御覧になります

どうしてみすずと瑠璃子さんを観に来たんだろ

香月様に観ていただいたことがあるというのは、出演者にとってはステイタスとなりますし力を持つ者の義務として、香月様は全員の踊りを御覧になって下さいますそれに今日の出演者が、あのグループの方々の婚約者候補となることもありますし

今日の出演者は、全員、紺碧流の家元の教室に通う女の子たちだ

みんなそれなりの地位にある有力者の娘

血筋も家柄も良い子ばかりだ

香月閣下が直接教育している若者グループの嫁に相応しい相手なのだろう

だからあの男たちも、最初から最後まで観ているわけ

はい、どなたが自分の相手に指名されるか判りませんし誰と結婚することになったとしても、日舞との縁は切れないわけですから

うん今日、出演している子はずっと日舞を続けるだろうし

いつか、子供が生まれたらその子も紺碧流の家元の教室に通わせたいと思っているだろう

そうやって、代を重ねることで家元の教室に入ることが、権力者たちのステイタスになっていく

そこに通っているっていうだけで、スゴイって言われるのは、この紺碧流の家元様のお教室ぐらいだよね

バレエやダンスの教室じゃ、ここまで格の高いお教室は無いし紺碧流は、本当に別格なんだよね

どうしてそうなんだ

歴史が違うもん

歴史

日舞の家元制度なんて、みんな明治時代にできたものですが紺碧流は、早い段階から政治家や財界のトップの人たちの娘さんたちをお弟子さんにしていましたそれに、初代、二代目、三代目と歴代の家元様が傑出した舞踊家でいらっしゃいますし

美智が、そう説明してくれた

傑出した舞踊家ってどういうこと

日本舞踊家にとって、一番大切なお仕事はその時代一番の歌舞伎俳優さんの踊りの踊りの振り付けを任されることです紺碧流は、明治以来、ずっとその地位を担ってきています