今ここにいない雪乃はどうしているだろう
神経のブッ太いあいつのことだから、布団を被って大イビキで寝ているか
ミナホ姉さんのことも、心配だ
一晩お屋敷を離れたことが、良い結果になっていればいいんだけれど
ミナホ姉さんの復讐は今日の夜には決行される
それと瑠璃子と美子さんのことも、もちろん心配している
瑠璃子は、顔を赤らめる
ジッちゃんのこともだよなあ気落ちしてないといいけれど
ジッちゃんだってオレの家族だ
一個一個、解決していかないとな
今のオレはそれだけで精一杯だよオレには、それしかできないから
先の事なんて考えている余裕は無い
お兄様は人生の夢や目的は、お持ちではないのですか
とにかくパン屋になる
オレは、断言した
パン屋さんですか
うん、克子姉と約束したしとにかく、オレは急いで働いて、お金を稼がないといけないから
だってマナやメグの学費とか、食費とか必要じゃないか
お兄様が、パンをお作りになって
瑠璃子はひどく驚いている
ああ、パンを作って売って今は、それしか思い付かないしどうせ、克子姉が店を出すことは決まっているんだからオレが手伝わないとあ、渚の店を手伝うけれど
あ、勘違いするなよマナやメグは、今、保護者がいないから、だから学費と生活費をオレが稼がないといけないってだけでちゃんと、瑠璃子の分も稼ぐからな
わたくしの分
うん、当たり前だろお前は、オレの女なんだから
ですがわたくしの養育費は、香月様が
ああ、そんなことをジッちゃんが言っていたっけ年間、何億か払うって
それはそれでまあ、ミナホ姉さんと克子姉に預けておけばいいよでも、オレはオレで、ちゃんとお前のためにもお金を稼ぎたいから
そうでないと男でない
いずれはオレが働いて稼いだお金は、均等に分けてみんなに渡すよオレは、趣味も無いし、欲しいものも無いし
問題はオレがパン屋で働く賃金だけで、みんなを養っていけるかどうかなんだけれど
まあ、パン屋の経営は、克子姉がやってくれるんだし
オレはとにかく必死に頑張るだけだ
いいのですか、それでお兄様は
いいに決まっているだろみんなと一緒に暮らすっていうのは、そういうことじゃないか幸せになるってことは
オレの目的はそれだけだよみんなで幸せに暮らすそのために、やらなきゃいけないことを一つ一つやっていくオレには、それしかできないしやるしかないもんな
オレはオレの家族を受け入れたのだから
絶体に手放したくないのだから
わたくし感動しています
こういう、お兄様だからこそ克子お姉様や、渚様、黒森様が、お兄様に付いておられるのですね
そうだろうなオレ頼りないから
姉さんたちが居てくれなければ何もできない
感謝しているよ姉さんたちには
そんなことありませんわお兄様は力強いです
瑠璃子は、オレに微笑んでくれた
ほら、そろそろ彼を解放してあげないと他の子たちに怒られるわよ
克子姉がやって来て瑠璃子に言った
瑠璃子もさ何かやりたいことがあったら教えてくれオレ、何でも手伝うから
オレのためにガマンとかするなよ瑠璃子の人生なんだからな
オレはお前のことも、幸せにするから絶対
瑠璃子がオレを抱き締める
ギュッと力強く
もう幸せですわたくし
それならもっともっと幸せになろう
瑠璃子は、オレの額に優しくキスしてくれた
この人は、基本が守りの人だからあたしたちは、どんどん外に攻めていっていいのよ
克子姉が、瑠璃子に言う
くたびれて帰って来たらこの人が癒やしてくれるこの人は、あたしたち家族を決して裏切らないいつも笑って抱き締めてくれるのよ
はい克子お姉様
瑠璃子は、オレを見て微笑む
お兄様には、どっしりと家の中心に居ていただきましょう
そういうことこの人が家に居てくれれば、あたしたちは安心して外で闘えるもの
どういうこと、克子姉
克子姉の言葉の意味はオレには、よく判らない
うんとねあたしとパン屋さんをやってくれるとしても、あなたは製造の方に専念してもらうってことよ
だから、ほらパン屋さんの店頭で、売り子をするのはあなたよりも、他の子の方が良いでしょ
いや、オレだってやるよ
あのねパン屋さんて、一日中、どんどんパンを作って焼いていかないといけないのよ
朝は、朝食用のパンを売るし昼はお昼用午後は、おやつ用夜は家庭用の食パンとか、フランスパンとか時間帯によって、違う種類のパンを出さないといけないから作って、焼いて、作って、焼いての繰り返しになるのよ
そっか、コンビニのパン売り場とかとは違うんだな
焼きたてのパンで勝負しないといけないし
だから、あなたはお店の中でパンを作っててていうか、可愛い売り子さんは、うちにはいっぱい候補者がいるんだし
まあ確かに
オレよりもメグやマナや寧やとにかく、みんな美少女なんだから
女の子の方が、売れるだろう
あなたは、パンを作って空いている時間に、真緒ちゃんや子供たちの相手をしてくれればいいわビジネスのことは、あたしたちがするから
うんそういうのはもちろん、克子姉たちに任せるよ
オレに、ビジネスのセンスがあるとは思えないし
克子姉が、瑠璃子を見る
という具合にこの人には、家を守って貰うからあたしたちの帰る場所は、この人のところなんだからこれがベストだって判るでしょ
確かに、そうかもしれません
真っ直ぐで、良い人過ぎるのようかつに外に出したら、危ないから
オレそんなにダメな男か
ダメじゃないわでも、ほら、変な女に引っ掛かったりしたら困るから
克子お姉様はもう、具体的なプランをお考えになっていらっしゃるのですね
瑠璃子が、感嘆している
そりゃそうよあたしたち自身の将来のことだから
克子姉は、ふふんと微笑む
ちなみに、あたしのパン屋さんと渚のお花屋さんは同じビルに入れるわビルごと一棟、丸ごと買うから上の階に、あたしたちは住むのよここみたいな、大きなお風呂も作るわみんなで入れるようにね今も、渚と話し合っていたところなの場所をどこにするかとかね
前から話していた計画を克子姉は、推進しているようだ
で瑠璃子さん、あなたは何をする
瑠璃子は驚く
香月様からのお金出資金にしない
あなたは、みすずさんよりもビジネス寄りの子だと思うわ
ドキリとする瑠璃子
あたしたちが買うビルにはパン屋とお花屋さん以外のお店が入っても構わないのよ