あ、何か楽しそうですね
敵を倒すためなら、ホテルの備品も壊し放題だって
うん面白そうだ
シザーリオ・ヴァイオラとか、白坂本家の刺客とかこの人たちには、関係無いらしい
とにかく思い切り闘って、お金になればそれでオッケーなんだな
もちろんポン太ちゃんも行くんでしょ
そう言われた、藤宮さんは
一応、お伝えしておきますが
三人をギロッと見つめて言う
香月セキュリティ・サービスでのわたくしの年俸は、3600万円です
仲間扱いされるのが嫌だってのは判るけれど
そこで、年収を言うんだ藤宮さん
バービーさーんっポン太ちゃんの年収、あたしの20倍ですよぉぉぉ
騒ぐな番場っあたしだって、10倍近く離されているっ
数倍どころか、10倍とはあたしたち、3人まとまっても敵わないみたいですね
ちっくしょう、ポン太ちゃんなんて嫌いだぁぁっ
バービーさんは、自分のトライクに向かう
お待ち下さい
何よっお金持ちが、あたしたちに何の用っ
稼ぎが10倍も違うと知った途端バービーさんは、藤宮さんに冷たくなる
工藤さんは、わたくしたちと一緒に帝都ホテルへ向かうようにご命令なさったのですね
そうよ並走して行くから、遅れないで付いていらっしゃい
藤宮さんは、バービーさんたちにスッと頭を下げるとオレたちの車に戻って来る
美智も帰って来た
二人が、車に乗り込む
あの方たちには、護衛の仕事は無理ですが一緒に居る限りは、襲撃者が現れれば勝手に撃退してくれるでしょう
藤宮さんはそう言った
確かにバービーさんたちには、護衛人に必要な配慮とか心配りというような心の感覚は欠けている
それが判っているから工藤父は一緒に帝都ホテルまで来いとだけ命令を下したのだろう
とりあえずお疲れ様
関さんが、藤宮さんに言った
次は関さんが行って下さい敵との戦いはともかく、ああいう方々との交流はわたくしには合いません
あら、奇遇ねわたくしも、ああいう人たちは苦手なの
関さんは苦笑する
ところで、藤宮さんあなた、ご存じ
わたくしは年俸4200万円よ
関さんが微笑む
やっぱり閣下の直衛警護人だと、お手当の付き方が違うのよ
藤宮さんが、グッという顔をする
警護人の世界の評価は金銭が全てでは、ございませんから
そうねじゃあ、あなたはあちらのチームへ移籍する
関さんが、クククと笑った
ねポン太ちゃん
その名前では呼ばないで下さい
そうそう、さっきあなたがステッキで穴を開けた車だけれど
関さん
盗まれたとはいえ、あの車は香月セキュリティ・サービスの資産ですからね車の修理は、あなたのお給料から弁償していただきますわよっ
どうぞ、ご勝手に
相変わらずこの二人は、仲が悪い
発車致しますわ
関さんが歩道に乗り上げた車を、車道に戻す
失神している男たちを残して再び、夜の道へ
オレたちのピンク色のキャデラックの横を
3台のトライクが走る
バンバルビー3のお姉さんたちは風にマフラーをなびかせて
エンジンの揺れに、お姉さんたちの豊乳がブルブル揺れている
ノーブラのルビーさんの生乳が、特に激しく
旦那様あんな方々の胸に見とれるのはやめて下さい見るのなら、みすずの胸にして下さいっ
みすずが怒っている
いや、ごめん別に胸に見とれていたわけじゃないんだけれどさ
どういう方々なんですあの人たち
瑠璃子さんが、心配そうに言った
闘うことそれも攻撃することばかりに、特化してしまった方々なのです
闘いの技術を研鑽し日々、敵を叩きのめすことばかり考え続けていたのでちょっと、頭が変になってしまっているのです
美智それは言い過ぎだろう
いや、ほぼ正解だけど
まあお可愛そうに
瑠璃子さんは、言った
ですが戦闘能力だけは、一級品な方々です帝都ホテルまでは、無事に辿り着けると思いますわ
ハンドルを握る関さんが、そう答えた
バンバルビー3の3人は、みすずや瑠璃子さんたちには一切興味が無いらしい
オレたちの車を覗き込んだりすることはなく真っ直ぐ前だけを向いて、トライクを疾走させていく
オレたちは、夜のレインボーブリッジを渡りお台場へと向かう
その後は、敵の襲撃も無くオレたちは無事に帝都ホテルに着いた
ここは1ブロックの敷地全てがホテルですし他の建物からは、離れていますお台場に入るルートは限られていますから敵の襲来もすぐに判ります
関さんが、そう説明してくれた
夜だからなのかホテルの周りは、人気が無かった
本日は宿泊客を、全て系列の別のホテルに移しましたホテルの従業員も、最低限の社員以外は、全て休ませています
うんヴァイオラとの闘いに、無関係な人たちを巻き込むわけにはいかない
オレたちの車と3台のトライクはホテルの正面玄関に滑り込む
普段なら、ドアマンやベルボーイが居る辺りには、香月セキュリティ・サービスの制服警備員が並んでいる
もっともオレたちは、それと同じ制服の男たちに襲われたばかりだが
あ、総合警備部の山岡部長も来ている
こちらでお降り下さい
関さんが車を停めた
みすずと瑠璃子さんが礼を言う
まず、助手席の藤宮さんが先に車から降り
瑠璃子さんの側の後部座席のドアを開ける
ふわりと優雅に降りる瑠璃子さん
続いて、美子さん
それからみすず
オレと美智は、その後に降りた
私の部のミスです申し訳ございません
山岡部長が、みすずと瑠璃子さんに詫びる
制服組に敵が紛れ込んでいたこと
2人を送迎する護衛車が、敵に乗っ取られていたこと
山岡部長の責任は重い
あたしも瑠璃子さんも無事ですわ
山岡さんのご処分は、追ってお祖父様がなさると思いますしかし、今は緊急事態です敵の本隊がまだ健在だという状況で辞表を出されたりはなさりませんよね
みすずが、山岡部長に釘を挿す
はい現場放棄は致しません
結構ですわご活躍を期待しております山岡さん
こういう時のみすずは本当に、香月家のお嬢様なんだと思う
気高く強い少女だ
おい、何なんだお前たちは
その横で早速、バンバルビー3のお姉さんたちが、制服警備員と揉めている
ここは一流ホテルなんだぞっそんな格好で入れるはずがないだろっ
あたしたちの格好の何が変だってのさっ
何なんだ、その刀はっ
そうだった3人とも、背中に日本刀を背負っている
あ、これ
ルビーさんが、背中の刀を取る
これは傘よ
傘ぁ
ほらっ
バサッと拡げる、ルビーさん