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樹の気を感じていらっしゃるんだと思いますそういうトレーニングでは

まあ、トレーニングならいいか

ならイーディは、心配要らないな

渚、ここに居てくれる

ええ、判っているわ

渚は、オレに微笑む

渚もマルゴさんと克子姉の企てに加わっている

麗華は玄関前のポーチに腰掛けて、液晶画面を読んでいた

オレは、麗華に近付く

渚さんに言われました

麗華は、画面を見たまま言った

アニエスちゃんですら、お屋敷の外に出たというのにあなたは、いつまで自分の殻に閉じ籠もっているんだって

この計画ハチャメチャですね

麗華が見ているのはやっぱり、マルゴさんから渡されたこれからの誘拐計画なんだろう

でも、面白そう黒森の家に合っています

麗華が画面から顔を上げる

真剣な顔で、オレを見上げた

本当に、わたくしはみなさんの家族になっても良いと思いますか

何を今さらもうとっくに家族だよ

後は、レイちゃんの心次第だよレイちゃんはどうなの

うん決めるのは、麗華自身だ

判らないです判らないですけれど

みなさんが、わたくしのことを心から心配して下さっていてわたくしに、ここに居ても良いと許可して下さっていることがとても、嬉しいんです

でも、それだけじゃダメなんですわたくしはアニエスちゃんでは無いから

わたくしは、もう大人です居ることを許していただくのではなくみなさんに、必要とされたい

そして手の中のパッドをギュッと握りしめる

わたくしは必要とされているのですね

ああそうだよだから、マルゴさんはレイちゃんにその計画を託したんだ

麗華の眼が、オレを見る

オレも、麗華を見つめ返す

視線を外してはいけない

麗華の心に応えるためには

それならば自分の任務を果たします

男装の麗人がスッと立ち上がる

よし、麗華が開き直ったぞ

トラブル取りあえず、一段落

といっても

こちらの不手際で、ご迷惑をおかけしましたが会社の上の方に無事に話が通りましたので、ご希望に添えると思います

いえ、あの私は、御社の内部のことは知りませんしご希望に添えるも何も、そちらが今まできちんと処理して下さらなかっただけなので

とにかく、上の許可は取りましたから

はあ、それで何時、本当の書類はいただけるのでしょうか

判りません上次第なんで進展がありましたら、また連絡致します

はあ春は遠いなあ

444.麗華はっちゃける

これ、持っていて下さい

麗華が、オレにコンピューターのパッドを手渡す

ふんぬっ

そして、撲殺ステッキを玄関前のアスファルトの小道に、ズサッと突き刺す

藤宮麗華吶喊致します

とっかん

トゥアアアアアアッッ

麗華は、キッと身構えると自己を奮い立たせる掛け声と共に、一気にガレージの方へ向かって、シュバババッと走っていく

うん実に、綺麗なランニング・フォームだ

レイちゃん、どうしたの

マナが驚いて、オレの方へやって来る

いやオレにも、よく判らん

このパッドの中のマルゴさんの指令書を見れば、これから麗華が何をするのか判るんだろうけれど

オレは、見ない方がいいよな

オレ演技は下手だし

ミナホ姉さんが監視カメラで観ていたとしたら誤魔化しきれない

とにかく、いつでも移動できるようにしておこう

とりあえず、アニエスのいるレジャーシートの方へ行く

彼女、ようやく動き出したわね

小声で、渚がオレに言う

お屋敷のことは、あたしに任せてくれて良いからね

うんこれから、オレたちは麗華に誘拐される

渚には、克子姉や恭子さんがお屋敷に戻って来るまでは、ここに居てもらわないといけない

ミナホ姉さんへの報告も

外に出たら、アニエスに靴を買ってあげて

渚が、アニエスの足を撫でる

ずっと、地下室に監禁されていたアニエスは自分の服はあっても、靴を持っていない

白坂創介は、自分の着せ替え人形として、アニエスに可愛い格好をさせていたんだろう

だが、部屋の中のアニエスは靴を履かせてはもらえなかった

だから、地下室から上がって来た後の食堂では、オレたちはアニエスにスリッパを履かせていた

玄関口から、庭このレジャーシートまでは、オレがお姫様抱っこして連れて来た

今のアニエスは、裸足のままだ

アニエスが自分の足で立つためには、靴が要るよな

アニエス自身は、不思議そうにオレを見上げている

ほら、アニエス抱っこしてやるから、こっちへ来い

アニエスは、オレに抱きつく

抱っこは気に入っているらしい

よし、これでいつでもアニエスを連れて行ける

瑠璃子が、すっとオレの横に寄って来る

これから何が起こるのですか

残念だが、オレもよく知らないんだ

オレは、麗華から手渡されたパッドを渚に手渡した

ファイルは、消しておくわね麗華お姉さんのことだから、もう全部暗記しているでしょうし

渚が、パッドを起動させて操作する

麗華は、香月セキュリティ・サービスのトップ・エリートとしての教育を受けている

まあ、大丈夫だろう

バブンッバババババッ

と、麗華は車庫から、マルゴさんの白いバンを運転してやって来る

え、何で渚お姉ちゃんの車、もう出してあるじゃんか

うん表の予定では、麗華はこれから渚と真緒ちゃんを連れて、お花屋さんの店舗へ行くことになっている

移動用の渚の赤い車は、もう用意してあるのだから車庫から、新たな車を出してくる必要はない

しかしこれからの作戦に渚の車を使ってしまうと、渚が困るだろう

あれ、マルゴちゃんの専用車でしょ

渚が、オレにこっそりと囁く

しかも、作戦用の車だからあのバンだけは、御名穂さんの監視システムから外れることができるのよ

あたしたちの他の車は、今、どの辺を走っているかとか情報が、常に御名穂さんのところに伝わるようになっているのでも、ほらあの白いバンは、擬装用に使うでしょ

ああ丸子印刷とか丸子芸能とか

今は、何の会社の名前も貼られていない

ただの真っ白な業務用バンになっている

もし、何かの拍子に敵の手にあの車が渡った場合に備えて、リンク・システムの機械を簡単に取り外すことができるのよ

ああ、少しでも危なそうな場合は機器を丸ごと取り外して、マルゴさんが持って出るのか

ということは麗華は、すでにガレージでリンク・システムを外してきている

あのまま外に出たら御名穂さんには、あの車の行き先は判らなくなるでしょうね

だからこの白いバンか

ダスンっ

玄関前に、白いバンを停めると麗華は、運転席から飛び出して来る