だから、神主と巫女の間の正統な娘だけがヨミの巫女の力を受け継ぐようになったのです
2つの系統の巫女は対立していたのか
でも、これは明治の頃の話ですその頃は神社の巫女も、渡り巫女も、まだまだ、たくさん居たからだから、そんな対立が起きたんですわ
明治、大正、昭和と巫女の人数が少しずつ減ってついに神主と巫女の小家族しか残らなくなってしまっていてもどうしてだか、2つの巫女グループが対立していた頃のルールを厳格に守っていたのですわ
ヤクザの子はツキの巫女
神主の子はヨミの巫女
目的と手段が、入れ替わったのネ
もはや1家族で対立するグループも存在しないのに
かつてのルールを守り続けていた
バカらしいわ巫女の修行に、血なんて関係無かったのに
自分だけが神主の子であることにこだわっていた、夜見子が言う
こうやって、月子お姉様やルナと繋がってみてよく判るわわたくしたち、何も変わらないいえ、先生やみすず様たちの心とも繋がって、もっとよく判りましたわたくしたちは特別じゃない皆さんと、変わらないんだっていうことが
どういうことなんだ
オレには夜見子の言葉の意味が、よく判らない
Darlingは、血と環境どっちが大切だと思ウカ
イーディがオレに尋ねる
アーティストでも、アスリートでもいいネ一流の才能の持ち主だった人の子供が、同じ分野で一流の活躍をすることは、まあ、よくあることネ
うんそういうことは、あるな
親子揃ってピアニストとか、オリンピック代表とか
でも天才《ジーニアス》と呼ばれるような超一流の人間の子供が、同じ分野で超一流の仕事をすることはマレなのネ天才の子は、天才では無いヨほとんどの場合
金メダルを幾つも取る様なスーパー・チャンピオンの子が、父親と同じくらい活躍するしたとかあんまり聞かない
ていうか一流の才能を持っていた人の子供は、たいていは凡人ネそっちの方が、はるかに多いヨ
確かに親子2代で活躍している人の方が少ない
となるとDarling
イーディが、オレに微笑む
大切なのは、一流の親から継いだ血ナノカそれとも、親がその世界のスペシャリストだったから、整えられていた環境ナノカ
人によっては父親の血筋とか、遺伝子とか、親から受け継いだ才能というものがあると考える人がいるネ
つーか、そういうモンじゃないのか
でも、才能の開花なんてものは血統じゃなくその能力を成長させるのに適した環境が整っていたからこそという考えもあるネ
親子2代で活躍している人も
親から受け継いだ才能がどうのということでなく
親が、その世界に詳しいとか才能を育てるためのプロセスを良く知っているとか
環境のおかげということも、確かに考えられるよな
わたくしの祖父は、どんなものでも、一生懸命頑張れば、初段までは到達できると言っていました
確かに天賦の才というものは存在しますがそれが、意味を持つのは黒帯からだと
というか、才能のある人間なら、あっという間に黒帯まで行くネ
でも、普通の人でも黒帯までは、間違いなくいけるはずネ
オレのパンと同じだな
パンを手作りして、売るまでなら誰だってできる
毎日、パンのことばかり考えてパン工房で奮闘すれば
でもパン屋として生きていくなら、そこから上での闘いをしなくちゃいけないんだ
それがプロになるということ
ご主人様は、現在、工藤流古武術6級でいらっしゃいますからお判りだと思います今のまま、鍛錬を続ければちゃんと初段まではいけます確実にわたくしが、指導致しますから
そう言うわたくしはわたくしは、人様より多少は武術の才能があると自負していますそうでなくては、プロの警護人としては、生きられません
美智は強い
というか、武術だけでなく天才だと思う
頭だって、オレの百倍くらい良いし
しかし、この才能はわたくしが、工藤の家の血筋を継いでいるからだとは思いません父はあんな人ですし姉は警護人でなく武術競技者です
美智の姉は女子空手の高校チャンピオンだと聞いた
もっとも、美智には全然勝てなかったんだけれど
わたくしは、幸いにして幼少期から、祖父に工藤流古武術を教えていただくことができましたそして、幸いにしてわたくしには、工藤流古武術が合っていました血筋ではなくたまたま幸運が重なったから、現在のわたくしが居るのです
アタシも美智と同じネたまたま、暗殺教団に生まれて、グランマに暗殺術を習ったネ血筋じゃないヨたまたまラッキーだっただけネ
美智と同じくらいいや、もしかしたらそれ以上の天才児である、イーディがそう言う
この2人は、どちらもメチャクチャ頭が良いのに、瞬間的な感性で動く
というか、感じ取る力が鋭い
それも、物凄く頭の回転が速いからパッと理解して、パッと対処できるんだろうけれど
うーん、あたしはそれは、2人ともとっても才能が溢れまくっている子だからこその意見だと思うけどね
あたしは、親から子に引き継がれる才能っていうのも、存在はしていると思うよただギタリストの子供が、お父さんそっくりにギターを弾くっていうのとかは、違うと思うけれどそういうのは、単純にお父さんの技術を真似しているうちに、似てっちゃっただけだと思うし
そうですね歌舞伎の踊りなどもお父様の芸を引き継いでいるわけですし遺伝で、顔付きや体格が似れば、踊りそのものがそっくりに見えるのも当然ですものね
瑠璃子が、日舞を元にそんな意見を言う
わたくしたちの場合は
夜見子が話を戻す
お父様が神主と言ってもよくよく考えれば、そのお父様にも数代前にヤクザの血が入っているんです
神社の子に、他に男の子がいなければヤクザとの間の仲裁の子であっても神主になる
というより、わたくしたち巫女の血よりも、ヤクザの血の方が濃いんですわ
そう言って、夜見子は溜息を吐いた
前に、お祖父様がなさっていたお話ですが
オスマン・トルコ帝国の皇帝は正妻だけがトルコ人です皇帝のハーレムに居る女たちは、制度上は奴隷で当時の帝国の法律では、トルコ人を奴隷にすることはできませんでしただから、ハーレムの女たちは、みんな外国人です
あ、オレも聞いたことがあるぞ
そして、正妻である皇后よりも、寵姫であるハーレムの女たちの方が皇帝の子を産むケースが多いですから
トルコの皇帝は、代を重ねる度にトルコ人としての特徴を失っていくだっけ
はい、お兄様次々と、ハーレムの中の色々な外国人の女たちの血が混じっていきますからトルコの皇帝なのに、トルコ人らしい顔付きではなくなっていくんです
でも皇帝は、皇帝です血の濃さは、関係無いんです皇帝の玉座に居る者が、皇帝なんです