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売り子が増えたのだから、オレは調理室に閉じ籠もっていられるし

だから焼く前までの段階に仕上げたパンが、必要な量だけあればいいのよね

今までは前日の夜とも当日の早朝に、オレと克子姉で作っていた

これからはわたくしたちも、お手伝い致しますわ

はいわたくしたちも、こちらにお世話になるのですから何でも、公様の御用をお申し付け下さい

ええパン作りって、とっても面白いですわ

月子と夜見子がオレに微笑む

そうそうルナが作ったパンもありますのよこれがそうですわ

得意げに、夜見子は妹の作ったパンをオレに示した

アニエスはお眠だったけれど昨夜は、マナちゃんも作ってくれたわ今朝は、みんな早く起きてこれ全部、みんなで作ったの

トレイいっぱいのパンを克子姉は、オレに示す

明日から、50円安い方のパンは、こうやってみんなに作って貰うわそれで、あたしとあなたは今まで通り、手間の掛かる凝ったパンを作ればいいのよあなたもあたしも、もっともっとパン作りの技術を高めないといけないんだから

克子姉の言う通り本気にパン屋をやっていくためには、まだまだ色んなパンの作り方を学ばないといけないことは判っている

大量生産できるようなシンプルなパンを、どれだけ作ってもパン作りの技術は高まらない

オレは、パン工場の労働者になるのではなく

パン屋の主人、そのものにならないといけないのだから

こっちのパンは、簡単なレシピのものだけにしたわ実際に試してみたけれどこれなら、みんなにも問題無く作ってもらえると思うわ

ていうかこの少し歪んでるぐらいのパンの方が、高校の職業訓練コースで作っているパンとしてはリアリティがあるよね

寧がパンを一つ取り上げて、言う

今まではさパン作り初心者のはずのヨッちゃんが焼いたとは思えないような、できの良すぎるパンばっかりだったから

それを気味悪がる生徒も多かったんだろうな

見た目は、今イチだけど可愛いでしょこういうパンは味は、克姉の計算通りにバッチリだから、ちゃんと美味しいし市販のパンよりも安いからねこれなら、お腹を減らしていて、数を食べたい運動部の子たちにも売れると思うよ

昨夜と今朝は、初めてだからみんなで作ったけれど慣れてきたら、これも当番制にすればいいのよ夜寝る前か、朝早くに3人くらいでワーッと作っちゃえばいいんだからあたしがちゃんと指導するわ

あたしとマナちゃん夜だけなら、メグちゃんも大丈夫だよね

メグは陸上部の朝練で、早朝から登校することが多い

申し訳なさそうに、コクリと頷く

でメンバーとしては、ルリちゃん、月子ちゃん、ヨミちゃん、ルナちゃんでしょアニエスにだって作れるよこっちのパンならさ

寧が、指を折っていく

あたしと美智もこちらに泊まる時は、お手伝い致しますわ

みすずに美智

アタシはNO TOUCHネ昨夜も今朝も、これからも

アタシが、パン作り当番になったらガードの人間が足りなくなるネアタシは、familyのガードに専念したいカラ悪いけれど、パンには参加しないヨ

キッパリと、そう言った

イーディは、どんな時でも自分の役割を忘れない賢い娘だ

でしたらわたくしも

寂しそうに、美智が言う

美智はイイネパン、作ってナサイいつも、ここに居るワケじゃないンだカラ

イーディは、クスクスと笑った

うん、美智が泊まるのはみすずと一緒の日だけだから

警護人が足りなくなるということは無いな

でもいいのか、みんな

パンのことはオレの仕事なのにみんな

みんなを巻き込んでしまっていいのだろうか

何言ってんの家族でしょ、ヨッちゃん

みんなを代表して寧が言う

ヨッちゃんのパン屋さんはあたしたち家族のパン屋さんなんだから

お手伝いするのは、当然ですわお兄様

アニエスちゃんたちの情操教育にも良いと思うわあの子は、そういうことに興味を持った方がいいのよ

セックスのことしか教えられてこなかったアニエスだ

今は、心の中心にオレとのセックスだけがある

不安をセックスでしか解消できない子になっている

美味しいパンを作ることが、アニエスの心を良い方向へ導くかもしれない

自分に自信を持つこと

アニエスが作ったパンを、みんなが美味しいと言って喜んでくれる様子を見せることができれば

わたくしもホントは、まだよく判らないですけれど先生の夢が、パン屋さんを始めるということでしたら喜んでお手伝い致しますわ

わたくしはもう、よく存知あげておりますから

オレの心を読み取った月子は何でパン屋なのかの経緯も、理解してくれているらしい

夜見子も、口ではこんな風に言ってますが本当は、心から楽しんでいますわわたくしたち自分の人生に、こんな体験をすることはできないと思っていましたから

月子が、夜見子の心を読んで言った

昨日まで、鷹倉神社の巫女になることしか考えていなかったんだ

みんなでのパン作りが、楽しかったんだろう

もう、月子お姉様だって楽しいのでしょう

ええ、もちろんこれが公様の家族にしていただいているということなのですから心が温かいですわ

月子が、オレに微笑んだ

みんなに力を貸してもらおうか

ありがとう頼むよみんな

メグは、黙ったままだった

メグは、最初、学校でのパン事業をオレと2人きりでやろうとしていた

校内でのパン販売を始めた当初は寧にすら、売り子をさせなかったくらいだし

忙しいのでなし崩し的に、寧も売り子をしてくれるようになっただけだ

メグの心の中では

学校でのこと特にパンのことは、自分のテリトリーだと感じていたはずだ

それが克子姉も、売り子に加わることになり

アーニャの飛び入りもあり

今週からは、可奈センパイも売り子をやってくれる

その上、パン製作の方に瑠璃子たちが加わるなんて

ただでさえ、お屋敷の主婦の座を、瑠璃子やマナに奪われているのに

思っていらっしゃることがお有りでしたらお話なさった方がよろしいと思いますわ

月子がメグに言う

昨夜、気まずい形で別れたままになっているから

オレも、メグとちゃんと話がしたい

あのね、ヨシくん

意を決して、オレに話し掛けてきた

おっはよーっなあに、この良い匂いこれ全部、焼きたてのパン

雪乃が食堂に現れる

お早うございます皆様

雪乃の姿を見るとメグは、口をつぐんでしまった

ごめん、遅くなったメグちゃん、送って行くよ

突然、食堂の入り口にマルゴさんが現れる

練習に遅れたらマズイでしょ早く行こう

学校までは、まだ危険だから車で送迎してもらうしかない