Выбрать главу

勝手にしろよ

一応言っておくけれどうちは、権威ある娼館だからなただ大金を積んだだけじゃ、娼婦は売らないからな客を選ぶんだよ判るか

あんたがもし、客として来たとしても月子は売らないからな例え、あんたがこの先出世して、大親分になろうとも、あんたには月子は抱かせない月子のことは、もう諦めろ

諦めるわけがねぇだろっこのガキぃぃぃぃ

大粒の涙を零しながら安藤は叫ぶ

諦めて下さい、安藤さん

月子が、安藤にそう言った

もし、わたくしたち姉妹を憐れだと思って下さるのならどうぞ、わたくしたちのことは、死んだものと諦めて下さい

お別れですこれまで本当にありがとうございました、安藤さん

月子と夜見子が安藤に頭を下げる

そんなそんなお嬢ぉぉぉぉぉぉ

安藤の嘆きの声が夜の闇に轟く

さよならは別れの言葉じゃなくて

エドワード・オールビーの動物園物語に

自分の身体を張って金を稼ぐことそれだって愛の行為だ僕には証明できる

というセリフがあって私は、それが好きでした

肉体労働で稼いでいた頃はよく、そのセリフを思い出しました

664.巫女

おい待てよ、テメェ

月下の下ロープで椅子に固定された安藤が、オレを睨む

テメェこのままで済むと思うなよ

全ての怒りを込めて強い視線をオレに注ぐ

お前こそ永遠に月子や夜見子たちを、ヤクザの世界に縛り付ける気なのかよ

真っ直ぐに安藤を見下ろす

この子らの両親を鷹倉神社の神主と巫女を殺したのだって、お前たちヤクザだこうやって、今、彼女たちを追いかけ回しているのも

鷹倉神社の巫女は、おいらたちの世界に必要なものなんだ巫女の仲裁の伝統はな

そういう理屈は、どうでもいいんだよ

オレは安藤の言葉を遮る

それだって、お前たちヤクザの勝手な都合じゃないか昔から、そうだったからってこれから先も、ずっと鷹倉家の娘たちがヤクザに追い回されるのなんて理不尽だ

月子と夜見子は黙って、オレたちのやり取りを聞いている

その上今は、あんたたちの組織の上の人間だって、この子らを抹殺したがっている何が伝統だ巫女の力が怖いから、全員皆殺しにしちまうっていうんだろあんたたちは

そ、それはおいらがおいらが、お嬢たちを守ってみせる

安藤は叫ぶ

へえ上の人間に逆らってでも

あ、あ、あ当たり前だ

あんた1人で

オレはわざと大きく溜息を吐いた

そんな格好で縛り上げられて、手も足も出ない男が言うことかよ

判ってんだろあんたじゃ無理だ

オレは、きっぱりと告げる

あんたじゃ鷹倉家の娘たちは、守れない

そんなのやってみなけりゃ、判らねぇだろ

やってみた結果が、今のその無様な姿だろ

安藤は口籠もる

無理なんだよだって、あんたはヤクザの世界に生きているあんた自身もヤクザじゃないかヤクザのルールからは、逃げられないんだから

組織における上下関係は、絶対だ

上の立場の人間の命令を無視して、安藤が鷹倉姉妹を匿ったとしても

安藤はヤクザ組織の関係者にしか、頼れる相手がいないだろうしすぐに、居場所がバレルだろう

結局鷹倉姉妹は安藤ごと、組織のやつらに抹殺されるという結末になる

オメェなら、何とかできるって言うのかよ

実際に動いているだろオレたちは

黒い森だけでなく、香月セキュリティ・サービスの全部隊が作戦展開している

彼女たちを追って東京に出て来た人たちはほぼ全員、捕らえたわあたしたちは、公安警察とも付き合いがあるからあなたたちに勝ち目は無いわよ

車の運転席から、翔姉ちゃんが言う

何なんだ、オメェたちは

呆然とした顔で、オレを見上げる安藤

犯罪者の悪党だよあんたたちと同じただしあんたたちよりも、タチが悪い

オレは月子と夜見子を見る

だって、これからこの子らを娼婦に堕とすんだからな

おい、頼む後生だからそれだけは止めてくれお嬢たちを綺麗なままにしておいてやってくれよぉぉぉ

もう遅い

今さっき、あんたが自分の眼で見た通りだこの子らは、もう処女じゃないオレが処女膜をブチ破って子宮にたっぷり中出ししてやったからな

この野郎

おいおいその意味を考えろ何で、この子らが娼婦にならないといけないのかを

月子たちが、ビクッと震える

この子らがあんたたちヤクザと完全に切れるためには、巫女の力を失うしかない違うか

安藤たち下っ端ヤクザは鷹倉家の巫女になるには、清らかな身体でないといけないと思っている

鷹倉家の巫女は処女じゃなけりゃ、成れない一度、巫女になって力を得れば、この子らの母親のように結婚したり、出産したりすることもできるだけど、それも夫は、神聖なる鷹倉神社の神主の血を引く人間でないとダメなんだ

オレは正々堂々と、大嘘を吐く

我ながら、よくスラスラとこんな言葉が出て来る

修行を果たして完全に巫女の力を習得する前に処女を失うと、その娘は巫女になる資格を失う力もだあんただって、夜見子には少しだけ巫女の力が生じ始めていたことは知っているだろ

ハッとする安藤

ところがほら、見てみろ今の夜見子に昨日までの力を感じるか

夜見子の力は今は、美智が強い気で抑え込んでいる

そのことは、夜見子自身気付いていない

わたくしの力は、失われました

力なく夜見子は言う

夜見子お嬢さん

あの力はもう出せないのですわ

夜見子の眼から涙が零れる

オレが処女を奪ったからだこれでもうこの子が、巫女になることは無い鷹倉家の巫女の血筋は、完全に断たれたんだ

そんなことってちくしょう

吐き捨てるように安藤は言う

だからお前たちヤクザには、もうこの子らを追う理由が無い殺す意味もな巫女の力は、もうないんだから

ここからが勝負だ

だが、お前らのことだからそれでも、月子たちを追い回して、命を奪おうとするかもしれないヤクザなんて、バカで判らず屋ばかりだからなそういう奴らから守るためにこの子らの身柄は、オレたちが預かる

そして、オレたちは慈善家じゃないこの子らのために掛けた費用は、この子ら自身に支払わせる政財界の大物たちに身体を売ることでな安心しろ、客は選ぶ変な趣味のジィさんに、この子らは売らない地位と名誉がある金持ちで、ちゃんと女を可愛がることを知っている人間だけだそういう顧客を得ることでこの子らの安全は、さらに保障されることになるだろう

安藤の頭が受け入れられるであろう常識の範囲で話をでっち上げる

そこまでやらないと守れないんだよこの子らは

安藤は黙り込んでいる

というわけだからオレが今、言ったことを、あんたの仲間たちに伝えといてくれ