ちょっと香月セキュリティ・サービスの人
翔姉ちゃんが、雪乃に振り向く
あのさ今、あたしの警護に付いている人たち、替えてもらえない
雪乃には香月セキュリティ・サービスの警護というより監視者が付いている
全然、あたしとは話が合わないのよていうか、あの人たち、本当に女化粧品とかファッションとかにも全然興味が無いみたいだし特に、里見さんと竹俣さんあの2人は、いつでも将棋の話しかしないのよ
ああ、だからさっき美子さんに女流棋士がどうのみたいな話をしていたんだ
警護の人たちのしていた話をそのまま
しかも、あの2人、待機時間とかにさ将棋盤も駒も無いのに、頭の中で将棋を指すのよ2七銀とか同飛車成るとかずーっと、やってるのよあたし1人置き去りにして
あら、勤務中に良くないわね指導しておくわ
翔姉ちゃんは笑ってそう言う
あの2人は、アマチュアで段を持っているのよ雪乃さんも習ったらそしたら、一緒に指せるでしょ
あたしは、普通に女の会話ができる相手がいいのよ
雪乃は普通に会話する相手に飢えているんだ
今の雪乃は週1のテレビ放送での、スナッチとフランシーぐらいしか、まともに会話していないから
クラスの人たちのオレに対する会話を聞いていたのも
雪乃は本当は、クラスの子たちと話がしたいんだ
女子校生らしい話を思いっきり
でも、今は雪乃には、友達がいない
だから、クラスメイトの子たちの話を横から、必死に聞いているんだ
そうは言っても香月セキュリティ・サービスも、人手不足なのよ里見さんと竹俣さんが嫌なら釣りが趣味の三平さんかゴルフが趣味の猿山さんしか、今は空いていないけれど
どうして、そんな週末の午後のテレビ東京みたいな人しか残ってないのよ
仕方ないでしょあなたの警護なんて香月セキュリティ・サービスとしては、優先順位の低い仕事なんだから余っている人しか出せないわよ
あー、ファッションとか、バーゲンの話がしたいぃぃぃぃぃ
喚く雪乃
ホント面白い方ですわね
瑠璃子が月子さんたちに、微笑む
月子さんたちは、すっかり困惑していた
これが、これから自分たちをレイプする人たちの会話なんだから
真緒ちゃんが渚と退席する
おっとっとあたしは上の部屋の準備だっけミィちやん1人にしたまんまだった
寧も部屋を出て行こうとする
じゃ、ヨッちゃん後でね
うんヤッちゃん頼むよ
手を振りながら、退室する寧
部屋の空気が、少し落ち着いてきた
うん今だ
オレはアニエスに話し掛ける
アニエスがずっと静かだったのは見知らぬ人が多いからだろう
その中でも年の近いルナの方を、さつきからチロチロ見ていた
お前にプレゼントがあるんだ
プレゼント
ああアニエスに友達をあげるよ
オレはルナを示す
ビクッと震えるルナ
あの子がアニエスの友達になる
そうだこれからずーっとアニエスと一緒に居るんだぞ
一緒ですの
パパ、アニエスはお友達はいりませんですの
だってあの子
チラッと、ルナを見る
きっと、パパをアニエスから取っちゃいますもの
やたらと他人をコミュ障とかレッテル貼りする人の方がコミュニケーションに問題があるという
それぞれの人間の抱える問題はケース・バイ・ケースでとてもデリケートなことばかりですから
でっかく、バスンッとレッテル貼りしていいことでは無いんですよね
本当は
667.食卓での会話 (続)
そんなことはないよ、アニエス
あの子は、そんな悪い子じゃないよきっとアニエスと仲良くしてくれる
アニエスは迷っている
あの子アニエスよりも、お姉さんですの
アニエスがお姉さんなら我慢しますのでも、あの子の方が、アニエスよりもお姉さんなら
ああ、この4ヶ月の家族生活で、アニエスはそういうことを考えるようになったのか
どっちでもないよアニエスと同い年だから
アニエスは12歳だろルナも12歳だ
それだとどうなりますの
不思議そうな顔をするアニエス
これまでの生活なら真緒ちゃんだけが、妹
それ以外の女たちは、全員アニエスのお姉さんだ
自分と真緒ちゃんだけの特別な妹の立場をルナの参入で、崩したくないのか
どうもならないよ仲良くなるだけだ
オレは静かに、そう言った
あの子と仲良くなれますのアニエスは
アニエスは自信なさげに、ルナを見る
同年代の友達は、初めてだもんな
1番、精神年齢の近い真緒ちゃんは、アニエスよりずっと年下だし
2つ上のマナは、ちょっと大人びているから
仲良く出来るよな、ルナ
オレはルナに言った
ルナは、スープ皿にスプーンを浸したまま困惑している
よし、みんなの前でちゃんと話しておこう
月子や夜見子にも、知ってて欲しいことだから
このアニエスはちょっと変なやつに監禁されててつーか、生まれてからずっと、この屋敷の地下室に幽閉されていたんだだからまともな教育を受けてきていない
鷹倉姉妹たちが驚いて、アニエスを見る
地下室から連れ出したのがほんの4ヶ月前だそんな状態だから、今でもほとんどこの屋敷の外には出ないまあ、外の世界のことを勉強するために車に乗せて、ドライブしたりはするけれど、必ず何人かが付いていくまだ、外の世界を怖がっているから
アニエスは、無言でルナの方を見ている
だからこの子に、同年代の友達が必要というのは本当のことなんだそういう友達ができないと、アニエスは外の世界には出て行かれないと思うし
別にいいですのっアニエスはずっと、ここでパパとセックスしています外の世界なんていいですっ
いつもは物分かりの良い子なのに知らない女の子が3人も来たことで、興奮しているんだな
そういうわけにはいかないよアニエスだってみんなと同じ様に、学校に通わないといけない
学校なんていいですのいきたくないですの
それじゃあ、アニエスはいつまでたっても、世の中のことを何も知らないままになるよ
それでいいですのアニエス、お馬鹿さんでいい
オレは、お馬鹿さんのアニエスじゃ困るんだけどな
口籠もるアニエス
ねえ、アニエスちゃんあなたは、パパのこと好き
大好きですの
じゃあ、アニエスちゃんは大好きなパパのために、何ができるのアニエスちゃんが、この人にしてあげられることと言ったら何
克子姉の問いにアニエスは
これが、12歳のハーフ美少女の言うことか