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いや、ジッちゃん巫女さんてのは、神社に居るのが当たり前だろ

巫女さんと神社と竹箒はセットだろう

いや日本には、中世以降、特定の神社に所属せずに、全国を漂泊する渡り巫女という人々がいた

漂泊する巫女

この巫女たちは様々な土地に出向いて、そこの住民に呼ばれて神かがりし、祓いや禊ぎ、占いなどしたんだそして、もちろん売春もした神様の力を授けるために

漂泊の巫女は売春もする

今の眼から見れば巫女だけでは生活ができないので、春を売ったように思うかもしれないが、実態は違うセックスすることも、巫女の大切な仕事なんだ現代人の常識で考えてはいけない土着せずに漂泊する人々マレビトとのセックスは、大切な行為なんだ巫女みたいな女性でなくとも例えば、男の客が来た場合に、家の主が自分の娘に夜伽させることも普通にあった

今みたいに自由に住んでいる土地を移動できないからな集落に、外からの人間が訪れるということは大きな意味があったんだ

時代が下るにつれ各地で名前や、姿は変わるが渡り巫女の系譜は、ずっと続いていく三味線を持ったりしてなだが各地を渡り歩きながら、神懸かりの神事を行い、身体を売る女たちは現代まで続いている

今もいるの

いや、ほとんどいない明治6年、新政府は神霊の憑依などによって託宣を得る行為を禁止したからなこれによって、渡り巫女そのものは消滅したでも、民間の拝み屋だの祈禱師は、今もいるからなそういう連中の中には、かつての渡り巫女の伝統を受け継いでいる者もいるだろう

さて鷹倉神社だが、この神社はその明治期に巫女禁断令で行き場所を失った多くの渡り巫女を受け入れたんだよ

鷹倉神社自身は古い歴史のある神社だ鷹倉家の血は古いしかし、かつてはただの神社であり、おおきな力など持っていなかった鷹倉神社が、裏の力を手に入れたのは、この明治期以降だ

つまり渡り巫女を受け入れてから

ヤクザというものは、もちろん昔からあった日本の各地にそういう裏社会の人たちと漂泊の巫女たちは、深い繋がりがあった

ああ全国を歩き回るんだから

その土地、その土地の親分さんとは親密になる

例えば隣町のヤクザと抗争になれば、渡り巫女が仲裁することもあった神がかって神託を下すという形で、上手く問題に対処するヤクザたちも、多少の不満は残っても神様のお告げだと言われたら、双方退くしかなくなるからな

巫女さんの存在がヤクザさんたちを助けた

そして、幕藩体制の時は、それぞれの小さな地盤を守っていただけのヤクザが明治になって勢力を拡大する抗争も今までより規模が大きくなるしかし、明治政府の禁令が下っているから公式にはもう渡り巫女は存在していない

だから、多くの渡り巫女を受け入れた鷹倉神社が

新時代の仲裁役は鷹倉神社の巫女が、行うということになったんだよ渡り巫女の中の最も力の強い女を、神主が娶ることで巫女の力を継承し続けたんだ

以来140年今でも、鷹倉神社はヤクザたちの仲介者として、大きな力を持っているしかし

今の鷹倉神社には渡り巫女の秘技を受け継ぐものがいないのだ

鷹倉神社を乗っ取ったバカヤクザは前の神主と一緒に、その妻である最期の巫女も殺してしまったからだ

つまり鷹倉さんのお嬢さんたちの母親が、最期の巫女だった

ああ、かつては何人も居た渡り巫女も今では、その血と技を受け継いだのは、神主である鷹倉本家の妻1人だけとなっていた神主を殺したヤクザの鉄砲玉が妻である巫女も巻き込んでしまったんだ

末端のヤクザは詳しいことを知らされていなかったんだろう

だから、わたしたちは新たな巫女を作らねばならないのだよ

ジッちゃんが、オレの眼を見る

形だけのそこいらの神社に居るような、巫女衣装を着ただけの女ではない本物のかつての渡り巫女の技の神髄を受け継ぐ鷹倉神社の巫女だ京都の神社の建物や敷地などはどうでもいい必要なのは、巫女そのものなんだ

だからヤクザたちは、鷹倉家のお嬢さんたちを狙っている

次の巫女を手に入れたものがヤクザ世界の仲裁者の力を得る

あのそれは、判ったけれどじゃ、何で、オレあの子らとセックスしないといけないんだよていうかどうして娼婦にしなくちゃいけないわけ

オレには判らないことだらけだ

巫女にするなら巫女の修行だけすればいいんじゃないのか

渡り巫女は、男とセックスすることで神懸かりする

例えばヤクザ同士の仲裁なら、その両方の親分と巫女はセックスし、エクスタシーを得る親分たちにも、性的に満足させるそういうセックスの快感の中から神のお告げを感じ取るのだ

ケンカしている両方とセックスしちゃうのか

両方とセックスしてその結果として、神託が下る

何も無しではただ神様のお告げがありましただけでは、手打ちにはならんよ相手は、ヤクザだぞ

ジッちゃんはハッと息を吐く

双方の親分が同じ女、それも渡り巫女の中でも選りすぐりの美女と寝るんだそういう義兄弟になれば、ケンカもできなくなるだろ江戸時代には、子供も産んでいたそうだどっちの親分の子か判らなければ、双方が大事にするそういう関係を成立させたところで、ご神託だだから、巫女の言葉通りに、双方が退いてくれるんだ

さすがに子供まで生ませていたのは、渡り巫女の数が多かった時代のことだ今はそこまでは無理だ

今は候補が3人しかいないんだから、一々出産していられない

ていうか昔と違って、どっちの子がDNA鑑定すれば判るし

つまり鷹倉神社の巫女は本質的に、巫女でありながら売春婦そのものでもあるのだよ現代に残る神聖娼婦だセックスすることで神と通じ、神託を下し、自分を抱いた男を祝福する巫女としての仕事に、セックスが不可欠なんだ

そういう存在にさっきの3人の女の子をする

だから彼女たちを完全なる娼婦にしなくてはならん神懸かりの術は、自分たちだけでも修行できるそうだしかしセックスの技術は、お前が教え込むしかない

ジッちゃんは、そう言うけれど

ちょっと待って確か、ミナホ姉さんの話だとあのお嬢さんたちは、セックスについての情報を何も知らないって

そんなことあるのお告げを下すためには、相手とセックスしないといけない巫女になるのに

死んだ神主さんや、お母さんの巫女はどうして、セックスのことを子供たちに教えなかったんだ

それは逆だ娘たちの運命が、神聖娼婦となることが決まっているのなら現代日本に氾濫する性情報を教えるか

今の時代の恋愛観やセックス感を知ってしまったら

娘たちは、巫女になることを拒絶するだろうな

実際のところはこれから、教え込むところだったんだよ彼女たちの母親が、現役の巫女だったからなまだ30半ばだったし自分は、母親が早く死んで12歳で、巫女にならざるを得なかったから、子供たちには自分が引退するギリギリまで、巫女の技は教えたくなかったらしい