可奈センパイは、ウンウンと頷いた
でも、あの愛って子は見た目は、まあ可愛い方だけれど、色々と頭のネジが抜けてるでしょ動作はトロいし、すぐにあわわわってなっちゃうし
まあね問題の多い子だから
だから、いいのよ恵美にしてみれば、初めて現れた真っ正面から組み合える相手なのよああいう子が、丁度良いレベルなのよねていうかさ
雪乃は、ニヤッと笑う
その上、あの愛って子は自分と同い年でしょあの子に負けたらいよいよ、リストラされちゃうんじゃないかっていう恐怖感もあるのよ相当、切羽詰まっているのよ負けられないのよねあの子が、自分の同レベルの相手だと感じているからこそ
また随分、メグに対して厳しい意見だな
ああ、なるほどね愛の存在が、恵美ちゃんに危機感を感じさせているのか
可奈センパイは、納得しているけれど
まあ雪乃さんの言いたいことは、何となく判るわノブの女って、みんな美人で頭が良くて強か《したたか》っていう、3拍子揃った人が揃ってるものね
そうそうそういうことなのよ
雪乃と可奈センパイは、笑い合う
しかし、雪乃
確かに、美人と強かなら、お前もそうだけれど
雪乃は、他の子と比べて頭の働きは、うーん
野性はあっても、理性はって感じだよな
可奈センパイの方は、間違いなく頭の回転の早い賢い人だけれど
そうよねえ才能と力のある子しか、ノブは選ばないもんねぇ
そうなのよつまり、まあ、ある意味において恵美は、あたしたちの中でちょっとカワイソウな存在だったわけだけどさでも、今度、愛って子が来たことでさ恵美も、ようやく低いレベルでも競い合う相手ができたんだからさこれからは、上手くいくんじゃないのもう、落ち込んでいられないだろうから
まあ、恵美にとっては、なかなか良い刺激になると思うわよだって、恵美って女はさ今までは、1人で勝手にあたしは、みんなに比べてダメだダメだダメな子だって、1人落ち込みスパイラルにハマることが多かったんだけれどさ恵美ってほら、かなりの小心者だからさ
雪乃よくもまあ、ここまで上から目線でメグのことを語れるもんだ
いや、こういうところが雪乃らしいんだけれど
ああ、今度は落ち込んでいる間に、愛にぐんぐん引き離されるかもしれないとか、考えちゃうのね
そうなのよ悩んだり、落ち込んでいる余裕は無いのよもはや、恵美には
偉そうに、雪乃は宣言する
それで、恵美克子や寧に、美容とかお化粧の相談とかまで、どんどん相談し始めたみたいなのホント、笑っちゃうわよねあの愛って子にさ可愛らしさでも、何とか対抗しようっていうのよ
あら、それは良いことでしょ恵美ちゃんだって、地は良いんだから磨けば光るわよ単に、今まで積極的にそういうことに気を遣って来なかったっていうだけなんでしょ
で、でも恵美よ
あの恵美が恵美なんだから
雪乃、お前ホントメグに対するコンプレックスは消えてないんだな
コンプレックスあたしが恵美に
雪乃は、はあという顔をする
何言ってんのよ、あんたバカなの目玉、腐っているんじゃないの
お前怖いんだろメグが自分よりも、綺麗になることが
な何よそんなわけないでしょ
綺麗になるだけじゃなくてメグが、愛と競い合って、どんどんいい女になっていくかもしれないことが怖いんだろ
雪乃は子供の頃から、メグにコンプレックスを感じている
だから、昔はずっと、メグのことをイジメていた
今の勢いならメグは、あっという間にお前よりも綺麗で魅力的な女の子になっちゃいそうだもんな
オレは、雪乃の前の椅子に座る
ど、どうせあたしは、可愛くないわよっ
プクッとむくれる
お前こそ、何言っているんだよ
オレは雪乃の眼を見て、言う
雪乃は可愛いよそんなのは、オレが一番よく知っているよ保証してやるよ
え、あ、は
だからあからさまに、他の子ことを影で悪く言うのは止めろよそういうことをやっているとさ、お前の可愛さが薄れていくからさ
あ、ななな
顔を真っ赤にする雪乃
うふふふーんさてと、そろそろあたしは表の子と交代しないとねっ
可奈センパイが、席を立つ
雪乃さんはゆーっくり、ノブとお昼食べてなさいねっるんっ
パン工房から、外の売り場へと向かう
交代しまぁすっ
寧ちゃんと愛ちゃん、先にご飯に行って
はーい、克子お姉ちゃん愛ちゃん行くよっ
はい、ううっ
ああ、克子姉は取りあえず、寧と愛にコンビを組ませておくつもりなんだな
今の愛は、まだすぐに依存できる相手を探してしまうから
ベタベタに依存させずに、かといって見放さない絶妙な距離をキープできる相手が必要なんだ
メグと正面対決するのは、まだ早い
愛と寧が、入って来る
愛は、ススッとオレの隣へ座った
これもオレに対する依存心の現れだ
オレに擦り寄る愛を、ギロッと雪乃が睨む
雪乃の視線に気付いて、怯む愛
さっと違う椅子に移動するとか、平然とオレの隣に座り続けるとか心を決めればいいのに
あたふたと思考が煮詰まって、その場でフリーズしている
このままでは、雪乃に嚙み付かれるな
愛ちゃんみんなのお茶を入れてはい、ヨッちゃんお弁当
寧が、サッとフォローしてくれる
オレと自分と愛の分の昼食を、保温ケースから出してくれた
その動作の流れで、愛にお茶のことを頼んだから嫌味にはならない
さーて、今日のお弁当はわーお、カニコロッケだあ
わざと大きな声で、喜んで見せてくれた
このお弁当は、午前中にお屋敷で克子姉とマナたちが作ってくれたものだ
カニコロッケには、お茶だよね、やっぱりほらほら、愛ちゃん、早くお茶入れて雪乃ッチの分もね
は、はいあうう
愛は、ノタノタと立ち上がりアタフタとお茶を入れる準備をする
しかし遅い
茶碗をなぜか2つだけ出して
それから急須と、茶筒を取り出し
また、2つ茶碗を取り出す
愛の思考の過程は、よく判らない
それから、震える手で茶筒の缶のフタをパコンと外し
急須に、お茶の葉をトトトと入れるが
愛ちゃんお茶っ葉入れすぎ
すぐに寧から、チェックを受ける
あううごめんなさい
また、おろおろと急須の中から、お茶を缶に戻している
あのさそんなの適当でいいから、早くしなさいよお茶っ葉の分量なんてザッパでいいのよそういうのはさ
雪乃が、イライラした感じで文句を言う
いや、でもお茶っ葉入れすぎたら、すっげぇ濃くなるぞ
たまにはいいじゃないのそういうのも濃くて苦かったら、水入れて薄めるからっ
雪乃、それは幾ら何でも大雑把すぎないか
ていうか雪乃、お前、文句言っているけれどお前が、みんなにお茶を入れたこととか、一度も無いんじゃないか