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そういう手応えは感じた

うん、来週辺りにまた試してみよう

週末に、お屋敷で実験してみた方がいいかもしれないし

とにかく、克子姉の意見を聞きたい

オレは、オーブンの小窓から、中で焼けていくパンを見てそんなことを考えていた

何で、さっきからジーッと黙って、オレのことを見ているんだよ

だって兄さんが、とっても真剣な顔をしてるから

ルナが、オレに言う

ついつい、見とれちゃったんですそうだよね、コヨミちゃん

ルナは、隣のコヨミちゃんに声を掛けるが

コヨミちゃんは、答えない

自分の側に座っている愛のお母さんに身体を寄せる

愛のお母さんも、困惑した表情でオレの仕事ぶりを見ていた

退屈じゃないのか

全然とっても、面白いですそうだよね、コヨミちゃん

困ったなとてつもなく、変な空気だ

兄さん、何か手伝うことありますか

ルナが、そう言ってくれたが

いや、別にないよホントに忙しくなるのは、もう少し後だし克子姉も、すぐに戻って来るからさ

克子姉は、理事長室に行っている何かお屋敷に持って帰って、ミナホ姉さんの印を貰わないといけない書類があるらしい

今なら、ここから出て、学食の中を見てきてもいいぞ外に出るのはダメだけど

まだ校内は4時限目の授業中だ

学生食堂の中には、生徒はいない

いいですここで兄さんを見ていたいですから

ルナは、そう言った

コヨミちゃんと愛のお母さんは、黙ったまま座っている

あ、そうだボクがみんなにお茶を入れようか

ルナは、そう言って席を立とうとするが

あ、今はダメだもう数分で、どんどんパンが焼き上がるんだオレ、ここでバタバタ動き回るからここの中の作業台の方には近付かないでくれよ

どんどん焼き上がったパンを、パッドに並べていかないといけない

ここに慣れていないルナが近くにいると、危ないかもしれない

お茶なら、そっちの奥の待機室の中に、コーヒーメイカーも電気ポットもあるからさ3人でそっちへ行って、飲んでてくれよ

えー、ボク兄さんが働いているところを見ていたいです

ルナは、そう言う

いや、ルナはそうでもコヨミさんと喜代原さんは、そうじゃないんだろうしそっちの部屋に居た方がいいんじゃないのかな

こういう時に限って、雪乃が授業をサボッてここに居たりしない

今、雪乃が居たらこの3人の相手を任せられるのに

オレにはちょっと、相性の良くない取り合わせだ

昼休みになるまではまだ10分ちょっとある

えー、ボク、見てたいよねえ、ここに居てもいいよねコヨミちゃん、喜代原さん

ルナは、2人に尋ねる

そうしましょうか

コヨミちゃんと愛のお母さんは、小さな声で答えた

どうして、この3人がオレの高校のパン工房へわざわざやって来たかと言うと

今日はついに金曜日だ

仙台の赴任先から、愛のお父さんが帰宅する

だから、愛と愛のお母さんを家に戻さないといけない

仙台からはいつも通りの時間に帰るとだけ、愛のお母さんの携帯にメールが届いた

ていうか、そのメール1通きりで他には連絡が無い

ホントに、愛の両親の関係は冷え切っているみたいだ

愛のお父さんが定時に仙台の事務所を出てこっちに到着するのは、夜の9時ぐらいらしい

それでも、愛たちはここ数日、家を留守にしているから掃除や片付けもしないといけないだろうし

お父さんとのコンタクトについて、心の準備もある

だから、今日は学校が終わったらそのまま、みんなで愛の家に行くことにした

今いきなり、愛と愛のお母さんを2人だけ帰宅させるわけにはいかないし

何しろお屋敷の中では、ここ数日、親娘の会話はほとんど無い状態なのだ

お母さんからすれば、溺愛していた娘をオレに無理矢理、強奪されたのだし

それも幼いままで居て欲しかった娘を、大人の女にされてしまったんだ

一方、愛の方は母親に任せきりにしていた生活を改めさせるために、今はみんなに監視されながら自分のことは自分でするという教育を徹底されている

母親には、どう接すれば良いのか判らないのだろう

助けを求めるような表情を浮かべただけでみんなから叱られるのだから

はーい、ごめんなさい用事は済んだわ

克子姉が、書類鞄を抱えて戻って来てくれた

はあ、助かる

オレ1人では、どうなるかことかと思った

あたし、売り場とレジの支度をするわこっち、よろしくね

手だけ洗うとそのまま、学生食堂の方へ行ってしまう

はあ仕方ないな

ピピピピ

オーブンが、焼き上がりを告げる

よっしゃ、やるか

オレは、オーブンのドアを開けてパンを出して行く

克子姉確認して欲しいのが、幾つかあるから

了解今、行くわ

昼休み前の修羅場が始まる

愛のお母さんに、愛がパンの売り子をしているところを直に見せるべきだと言ったのは、ミナホ姉さんだった

家に帰す前に、愛の変化を確認させるべきだと

それで今日は昼休み前に、克子姉が学校に来るタイミングで愛のお母さんを連れて来た

ルナが一緒なのは、巫女の力の担当だ

愛やお母さんの心の状態をモニターし、場合によっては従わせる力も使う

従わせる力は、ルナよりも姉のヨミの方が得意だけれど

2人ともすでにヨミの力の威力は知っているから、ヨミが一緒に来ると警戒して緊張するだろう

ルナも日々、巫女の鍛錬を続けているから従わせる力の方も、ヨミほどできないけれど使えないわけではない

むしろ、喜代原母娘は、ルナは心を読む力しか使えない子だと思い込んでいるからもしもの時の切り札としては、丁度良い

まあ、実際のところは愛も愛のお母さんも、すでに充分、ヨミの力でオレたちに逆らえないようにしてあるから、トラブルは起こらないと思うけれど

両方の力をどちらも自在に使えるのは長女の月子だが

ここのところ、月子はすっかり鷹倉神社の巫女らしい神秘的な雰囲気を纏って、貫禄が出て来たから

愛も愛のお母さんも月子のことは苦手みたいだみすずや瑠璃子並みに

来たよーっおおっ、コヨミちゃんも来たのっへーっ

今日は、寧が先に現れた

あれ、ヤッちゃんまた授業の途中で抜けて来たの

いいんだよ、ヨッちゃん終了7分前までは、教室に居たんだからっ

相変わらず、フリーダムだな

お腹空いたぁぁ

雪乃も、チャイムが鳴る前にやって来た

というか、雪乃の場合昼休みをパン工房で過ごしていることは、みんなには秘密になっているから仕方ないんだけれど

あれれ、あんたも来たの

雪乃も、愛の母親が来ることは朝、聞かされていたから驚かないが