オレが思い付くようなことなら誰かがもう、やっているか
勉強するよもっとだから、今日は大恥をかく
そうよ恥ずかしい思いをしたことを、一生忘れちゃダメよ
あたしも一生忘れられないものあの時のことは
何をやったのか聞いちゃいけないんだろうな
ちゃんと恥をかいて、ちゃんと覚えているって大切だよねっ笑って誤魔化して、さっさと忘れちゃって延々と同じ失敗を繰り返している人って、結構居るもんねっ
寧が、顔だけ工房の中に出して笑って、そう言った
そういうことよ前に進みたかったら、恥かしいままの人間でいちゃいけないわよ
ほらほら、チャイム鳴っちゃうよいつもの3倍のスピードで、ヨッちゃん動かないとっ
オレは止まっていた手を、急いで動かす
克子姉も、手伝ってくれた
急いでも丁寧に、正確に作業するのよ
了解、克子姉
オレたちが働く様子を愛のお母さんと、コヨミちゃんがジッとて見ている
ルナや雪乃も見ているけれど温度が違う
ルナたちの視線は、身内の温かみがあるけれど
愛のお母さんとコヨミちゃんの眼は
これはオレを見計ろうとする、冷たい視線なんだろうか
ほらほら、ヨッちゃん、余計なことを考えないっ
そうよ、今は仕事に集中しなさいっ
いかんいかん
オレはパンのことだけに、集中する
はい、270円です
ありがとうねっ、またね
うん、2つねオッケーイ
そこ横入りはダメなのネちゃんと並ぶのネ
昼休みの死闘が始まった
いつもの通り、まずは克子姉と可奈センパイ、寧の3人が売り子に立つ
イーディは、列の監視
ヨシくん、左のパッド、残りが13の9
了解後、2分で第2弾の最初のオープンが焼き上がるから
メグが、売り場とパン工房を往復して、色々な用事を片付けてくれる
うわー、みんな大変よねぇ
雪乃は、パン工房の中で1人だけ平然と、弁当を食べている
愛のお母さんとコヨミちゃんは
第2弾が焼き上がって、売り場の方も一段落してみんなが順番に昼食を食べる時に、愛と一緒に食事して貰おう
今は、慌ただしくて何もできないし
愛のお母さんは、克子姉が持って来たノートパソコンで、隠しカメラに映る店頭の様子を見ている
さすがに、この生徒たちで溢れている学生食堂に愛のお母さんやコヨミちゃんが姿を見せるわけにはいかない
何で父兄や、謎の12歳少女が居るのか説明しようがないから
それでも、パンの売り場とパン工房は壁1枚隔てただけのていうか、入り口のドアも今は開けっ放しだしだから、売り子たちの声は生々しく聞こえてくる
あ、480円です
うう、2つで370円です
愛は相変わらず、寧の隣で計算だけを専門にやっている
授業が終わって、パン工房に来た時母親が来ていることを知って、ビクビクしていたけれど
仕事が始まったらすっかり、計算に集中している
こういう集中力のある子だということも最近になって、判った
人はホント見掛け通りじゃない
第一印象というのは、全然当てにならないな
よっし第2弾、出すよっ
オレがオーブンからパンを出し、パッドに並べると
メグ、イーディ、寧の3人で取りに来る
時間差で、次のオーブンも焼き上がる
はーい、第2弾焼けましたぁっ
食後のデザートに最高だよーんっほらほら、見て見て買ってって
焼きたてなのネッ
すでに12時30分を回っている
教室で自前の弁当を食べてきた生徒が菓子パンなんかを買いにやって来る
昼休み開始直後のようなお客さんの大襲来はないけれど
それでもまた、お客さんがどんどんやって来る
はーい、可奈ちゃん、愛ちゃん今日は先にご飯に行って
克子姉が、指示を出す
愛はいつも、寧か可奈センパイと一緒に昼食休憩を取る
メグやイーディだと、愛が緊張するから
はーい、ほら行くわよ愛
うううっ、はい
2人が、工房内に戻って来た
さーておば様たちも、ご飯にして下さいね
可奈センパイが、弁当の入っているケースから愛のお母さんやコヨミちゃんの分まで、弁当を取り出す
あたし、この子は初めてだけどノブ
ああ、コヨミちゃんに会うのは初めてなのか
コヨミちゃんは、ボクたちの従妹なんです
ルナが説明した
ふーん、そうなんだでまさかと思うけれど
残念ながらそのバカも、さすがにこの子には手を出してないわよ
ここまでつるぺただとこの鬼みたいな男でも、やる気が出ないみたいなのよ
まあそうねあなた、何年生小学校4年生ぐらいかしら
可奈センパイの問いに
コヨミちゃんはボクやアニエスちゃんと同い年です
黙っているコヨミちゃんの代わりに、ルナが答えた
何だ、そうなのノブもご飯でしょこっちいらっしゃい愛、あんたそこで何をやっているの
愛は母親と距離を取っている
母親の方も戸惑っている娘を見ていても言葉が出ない
愛これ
オレはパッドの中から、パンを取り出した
さっき、オーブンから出した時に取り分けたものだ
どれも少し形が悪く、歪んでいる
これらは、最初から売らないつもりで焼いたパンだ
愛はパンを見て、驚く
お母さんたちに愛から渡せよ
愛は、オレを見て小さく、頷く
あ、あのま、ママ
愛は、母にパンを差し出す
お母さんは、焼きたてのまだ温かいパンに触れる
こ、これこれねあ、あたしが愛が作ったパンなの
PM2.5が、東京にも襲来しました
空気がすえた匂いというか、工場や埃っぽい倉庫の中みたいでした
1960年代に描かれていた21世紀は、みんな科学の発達した理想都市ユートピアでしたが
1970年代になると、環境破壊の進んだデストピアのイメージに変わります
これは公害と石油ショックの影響で未来のイメージがいきなり暗澹としたものに変化してしまったのですね
第2次怪獣ブームは、怪獣も怪人も妖怪も公害の影響で出現したという裏設定が数多くありましたし
ノストラダムスの大予言とかもありました
そんな中で、筒井康隆先生の暗黒世界のオデッセイという、暗い21世紀を予想した作品がありましたが
そこに描かれているような、大気汚染の世界がまさか本当にやってくるとは
ちなみに、1980年代には21世紀の未来像は、核戦争後の地球になります
北斗の拳ワールドですね
モヒカンと肩パットが生きるためには、必須になります
824.セックス・キングダム / クロスセッション1
た、食べてママ
愛は、母親に自分の焼いたパンを差し出す
昨日、愛のお母さんをここに連れて来ることを決めた後にオレは、愛のお母さんに見つからないようにして、愛にパンを作らせた