で、あんたたち何とかしてあげれたわけっ
そんなのできるわけないじゃないですか
柔道部の男だし、先輩だし
気持ち悪すぎるもんねあんな写メを送ってくるんだから
ああ、柔道部の進藤の勃起チンコ写メはみんなに見られているんだ
愛は相談する相手全員に見せてたんだな
そうよ、ストーカーなんて怖いし
うん、手下も変な人たちばかりだから喜代原さんと一緒に、眼を付けられるのも怖いし
何よぉっ、あんたたちは何もしなかったの
寧の問いに
何もしないわけないじゃないですか
そうよ、あたしたちは毎日、一緒に居てあげて
お弁当だって、一緒に食べてあげてたのよ
そうそう喜代原さんが、1人じゃ怖いっていうから
あたしたちなりに、助けてあげてたんだから
それぞれに、そう言う
でもさ問題の解決をしたのは、テニス部の可奈ちゃんなんだよっ
で、その可奈ちゃんに恩義を感じて愛ちゃんも、可奈ちゃんと一緒にパン屋の手伝いをしてくれることになったんだからさ
そんなはずないですっ
愛の友達は、即座に否定する
あの喜代原さんが自分から、そんなことを言い出すはずがないです
そうよそうよテニス部の先輩が、無理矢理、引きずり込んだんでしょ
喜代原さんが、文句とか言えない弱い子だからって
ひっどーい
どんどん勝手にストーリーを作っていく
もう、うるさい連中ねあたしが出てって、文句言って来てやるわよ
雪乃が、立ち上がろうとする
いや、雪乃ここでお前が出て行くと、話が余計にややこしくなるから
雪乃は校内では、まだアンタッチャブルな存在になっている
だってさあの子たち、友達のフリをしているけれど結局、この子のこと小馬鹿にしているだけじゃないのっ
雪乃は愛を見る
あんなやつら、友達じゃないわよっ
お前愛のために、怒っているのか
あたしもさ1日で、友達が全員いなくなったからああいう、上辺だけでカッコ良いことを言う人は大嫌いなのよ
雪乃は前はたくさん友達がいた
上辺だけの浅い関係だとしても
雪乃から友達を奪ったのはオレだ
あたしが出ましょうか
寧さんたちより、まだ、あたしの方があたし、部活で年下のナマイキな子たちの相手をするのは慣れているから
寧はダメなんだよなあ普通の高校生活をやって来ていないから
そういう意味では、克子姉も
メグとイーディも、まだ1年生だし
ああいう女子集団とは、上手く闘えないよな
そうだな可奈センパイ頼むよ
可奈センパイが、立ち上がる
それから愛も
ハッとして愛が、オレを見る
自分のことは、自分でするいや、自分でしろ
可奈センパイに付き添ってもらってあの子たちを何とかするんだ
な、何とかって
愛は震えている
どうするかは、愛が自分で考えて決めることだオレは、どうしろとは言わないよ
このまま、あの子たちと友達で居続けるのか
それとも、拒絶するのか
自分で考え、決めてあの子たちに告げる
あうううう
とにかく今のままじゃ、営業妨害だ愛が何とかしろオレは、それだけ命令するからな
オレは、キッパリとそう言った
昔、恐ろしかったこと
舞台の演出助手の仕事をしている時に、ある日、60代の演出家の先生から
先生ああ、今日ねちょっと稽古の後に、人に会わないといけないんだよ
私はあ
先生それでね、今日は多分ボクが、その人たちにご馳走しないといけないんだよ
私そうなんですか
先生でも、今、財布を見たら手持ちが少なくてね
私はい
先生君、悪いんだけれどそこの***(サラ金会社)へ行って、お金借りてきてくれないか
私
先生カードはここにあるからこれを機械に通したら、お金貸してくれるから
私そ、それって無人貸出機のことですか
先生そうそう、それちょっと行って来て
私いやだって
先生カード渡すから、これがあれば後は機械が貸してくれるから
い、いや
先生は、前にそうやって借りたのかもしれないけれど
無人機ったって、本当は無人じゃないんだから
カードのデータが、60代なのに
当時20代の私が借りに行っても、貸してくれないだろう
先生ほら、早く行ってきて
私あの先生私、前の現場の仕事のギャラ貰ったばかりなんで、今、少し手持ちがありますが
先生ああ、そうなんだじゃあ3万円ほど貸しといて来週、返すから
演出家にお金を貸したのは、あれが最初で最後だったけれど
いや、まあちゃんと返して貰えましたが
その人の仕事は、2度としませんでした
幾らメンドくさいとか、恥ずかしいからとかでも
フリーの助手に、サラ金へ金を借りに行かせないよなあ普通の人なら
827.セックス・キングダム / 羽化
あううあ、あたしは
愛は、戸惑っている
また思考が飛んで、逃避してしまいそうだ
だが、ここでシャッフルは使わない
愛、深呼吸しろそして、オレの話を聞け
はぁふぅぅ
オレに命じられるまま、愛は大きく息を吐く
お前、ここ何日かオレたちと暮らしてみてどうだった
愛は眼を丸くして答える
今まで、みんなお母さんにやってもらってたことを一つ一つ、自分でやってみて最初は慣れなくて大変だったろうけれど今は、どうなんだ
うううっやっぱり、大変め、面倒
あ、あたしぶ、不器用だし
顔を上げろ、オレの眼を見ろ
愛の大きな瞳が、再びオレを見つめる
オレもそうだったんだ不器用でダメな男で
ちょっと前の愛みたいにすぐにオタオタしてたし、キョドってたし、言葉だってドモりまくってた
愛は、キョトンとした顔でオレを見ている
ホントよすっごい気持ち悪い男だったわよいっつも、ガタガタ震えてて口を開いても、何を言っているのか全然判らなかったし頭の変な子だと思っていたわ
雪乃が、そう言う
まあたしのことが、好きなんだってことは判ってたけれどね
5月の連休前のオレはそんな人間だった
今の愛以上に、挙動不審で、コミュニケーション障害で
兄さんは、嘘は言っていませんそうだよね、コヨミちゃん
ルナが、オレの心を見てそう言う
うんホントにそうだったみたいです
コヨミちゃんも、オレの言葉を肯定してくれた
オレだって家族のみんなが居たから、変われたんだ
そして愛の作ったパンを、1つ手に取る
愛このパン、自分で作ってみて、どう思う
愛は自分のパンを見て
下手くそあんまり美味しそうじゃない
年下のアニエスちゃんたちまで上手に作れるのにあ、あたしは愛はダメだった