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少し練習したらアニエスやマナたちみたいに作れるようになるよ

オレの言葉に、愛はビクッと震えて

ううんあたしはダメな子だから

でも、誰だって練習したらそっちの売り場で売っているパンぐらいは作れるようになるんだぜ

アニエスやマナたちが毎日作っているパンは50円安い、簡単な方のパンだ

母親が植え付けた愛のコンプレックスの根は深い

そうかなオレは、4ヶ月前に初めてパンを作った時は、こんなに上手くできなかったよだから、オレより愛の方が才能があると思う

愛がビクッと震えて、オレを見る

オレだって最初は全然、ダメだったんだよでも、克子姉に毎日教えてもらって何度も、何十回も失敗しているんだよ

でも、今はで、できてる

こ、この何日か売り場に居たから愛にも判るお、お屋敷で、吉田くんがパンを作っているところも見たしい、今は、ちゃんとしたパンを作って、みんなに売っている

ああ、頑張っているからなオレ早くパン作れるようにならないと、家族を養っていけないし

ミナホ姉さんやみすずたちがお金持ちだっていうこととオレが手に職を付けて働いて稼ぐことは、全然別の話だから

今は、まだミナホ姉さんに養ってもらっているけれど

早いところ、稼げる男になりたい

それに今のオレじゃ、全然まだまだだしもっともっと、美味いパンが焼けるようにならないと都内で開業して、続けていくためにはね

本気なんだよオレは卒業したら、克子姉とパン屋を始めるんだ

オレは、愛に微笑んだ

ホントパン作りって、難しいよな1つ新しいことができるようになったらまだ次がある1回、できるようになったと思ってたことも、もう少し上達してから見直すと全然、仕事が粗いんだよそういうのはできるようになったとは言わないまた、やり直しだよ昨日まで、どうだって顔して売り出してたパンが、実はダメダメなものだったってことに気付くんだよ1つレベルが上がる度に、今までの自分の作ってた物が恥ずかしい物だったことに気付く毎日、オレは何て不器用なんだ、ああ、オレはダメだなあって落ち込んで、凹んでそんなことの繰り返しさ

でも、また明日は来る明日のパンは今日よりも美味くする同じ失敗は繰り返さないそうやって、少しずつ前に進むしかないんだよオレは、不器用なんだから愛と同じで

そうねあんたって、このバカの昔に似ているのかもね

うっそー、全然そんな感じしないけれど

可奈センパイは、呆然としていた

だって、ノブっていつも自信たっぷりで、余裕があって、懐が大きくて、大人っぽくてそういう強そうな男の子に見えるもの

可奈センパイにはそう見えるのか

自信や余裕は仕方ないノネ

Darlingが余裕を見せないとミンナが心配するノネ特に、年下の小さな子たちが

オレはアニエスや真緒ちゃんのパパなんだ

あの子たちは、いつもオレの見上げている

Darlingは、アタシたち家族の王様なのネ王様はいつも強そうにしてないといけないノネDarlingは、それが判っていて、実践できている人だからアタシたちの家族は強靱でいられるのネ

そんな、カッコ良いことではない

オレはオレの家族、オレの女たちに責任がある

彼女たちを幸せにして、いつも笑顔でいさせるためにはどんなことだって、しなくてはいけない

愛にもずっと笑顔でいて欲しい人ができたら、判るよ

その人に笑顔でいてもらうためには絶対に、その人の前で辛い顔をしてはダメなんだ心配ないよ、大丈夫だよ、何も問題は無いさっていう顔をしていないとさ

だから今、外に居る恵美はバカなのよ

このバカ恵美の前では、絶対に弱いところを見せないものあたしやイーディなんかより、よっぽど恵美の方が大事にしてもらっているのにあの子もバカだから、気付かないのよ

トイウヨリそれに自分で気付いてカラが、Darlingの女の次のステージなのネ

支え合うカンケイというのは気付くトコロから始まるノネ

そうね、恵美はこのバカにとっては、アニエスと同じ位置にいるのよね

雪乃は、ハァと溜息を吐いた

オレのことはいいよ今は、愛の話をしているんだから

オレは改めて、愛に向かう

ちょっと話を変えるよ愛今回、こうやってパンを作ってみて楽しくなかったか

ほら自分が作ったものを、こうやってみんなにお母さんにも食べてもらえたんだぞそれに面白いだろ、小麦を練って、発酵させて焼いた物がパンになったんだから

愛は、自分のパンを見る

形は歪でも愛おしくないか愛が、一生懸命作ったものだからなもっと、みんなに食べて欲しいと思わないか

こ、こんなのあ、愛が作ったものなんて

オレは、愛のパンを千切って食べる

美味いよ

オレの笑顔を、愛は驚きの眼で見ている

オレは愛が、必死になって生地を捏ねてたところも見ているからなだから美味いって感じるんだ愛の努力の味がするからな

ふーんどれどれ

雪乃が、オレの手の中のパンを千切って自分の口に放り込む

何よ普通に食べられるじゃないこんなの、ちょっと形が悪いだけで全然、オッケーよあんたが思っているほど、酷い出来じゃないわよ

あたしも貰うわ

可奈センパイも、愛のパンを食べる

うんパンよとりわけ美味しいわけじゃないけれど食べられないものじゃないわ

みんな無理に褒めることはしない

正直に、感想を述べる

ボクたちも、貰います

ルナがパンを1個取って、コヨミちゃんと半分こする

ボクも、一緒に作ってたけれどホント、ボクが最初にお手伝いした時よりも、ちゃんとできていますよ

ルナだって、パン作りを手伝い始めたのはほんの2週間前だ

愛さんは、ゆっくりだけれど丁寧だからわたしより上手になると思う

コヨミちゃんも、そう言った

人には自分のペースというものがあるノネアイはアイのペースでやっていけば、ちゃんと上達すると思うヨ

て、いうことだ愛

みんなの意見をまとめて、オレは言う

愛は全然ダメじゃないそんなことはこの、愛が作ったパンを食ってみれば判る

オレは残ったパンを口に放り込んだ

うん、愛は絶対にパン作りが上手くなるこれは、そういう味だ可能性が感じられる味だダメなんてことは、絶対に無い

そうよ、あんた自分で食べてみなさいよ

雪乃が、愛に彼女が作ったパンを差し出した

いいから、食べなさいっ

愛はパンを食べる

雪乃の言葉に、みんなが愛に注目する

愛のお母さんすら

うううそんなに美味しくない

愛は、涙目でそう呟いた

だけどダメじゃない

だから喜代原さんを、出しなさいよっ

あんたたちと、これ以上、話することなんて無いんだからねっ

喜代原さんは、あたしたちが連れて帰ります