吉田くんが言ってくれました
最初に作ったパンはあ、愛の方が上手だったって
だから愛パン、やります頑張ってみます
突発的な感情だけで、決めたことじゃないんだな
愛は、覚悟している
そうじゃあ、教えてあげるここに来なさい今からはパンを食べることも勉強よ
どんな材料を使って、何をどうしたら、こんな味になるのかそういうことを一つ一つ、想像しながら食べるのよ
ただ美味いとか、不味いだけじゃダメなんだな
どう美味いのかどうして美味いのかあるいは、不味いのか
それが具体的に判らないといけない
パン屋さんのアルバイトなら、そんなことまで考えなくても生きていけるでしょうけれどあたしたちは、ホンモノのパン職人になるんですからね
克子姉はあたしたちと言った
克子姉は、このパン・コースの講師だけれど
オレと一緒に、パン屋を始める仲間でもある
愛も一緒にオレたちのパン屋に
いずれは、日本中の美味しいパン屋さんを廻って実際に味を確かめるからね一口食べただけで、原料の配合や、発酵時間や、焼き上げる温度が判るようになるわよそこまで舌を鍛えるからね
愛は、コクンと頷く
愛との関係は、1年間とラインを引いたんだ
全ては、1年後愛自身に決めさせよう
その後オレたちとパン屋をやるかどうかも
うわ、パン屋さん巡り楽しそっあたしも、付いていきたいっ
コヨミちゃんが、オレたちに話し掛ける
オレたちが振り向くと
わたしにもパン作り、教えて下さい
パン屋さんになるかどうかは、まだ判らないけれど覚えてみたいんです
真っ直ぐに、オレの眼を見る
わたしも自分ができることを身に付けて、自分に自信を持ちたいから
そして愛の母親に
小母さんも一緒に始めませんか
今日も父の病院の付き添いなどはふう
また、感想欄の返信を溜め込んでおります
ただ、しばらく忙しいので返信が遅れます
どれだけ遅れても、必ず返信致しますので
大変申し訳ございませんがお待ち下さい
829.セックス・キングダム / 愛の夢
一緒にパン作りを教わろうというコヨミちゃんの申し出に
愛の母親は、逡巡する
この数日喜代原さんは、昼間は渚の店にお手伝いに行ってましたよねどうでしたか、ああいう仕事をやってみて
克子姉が、愛の母親に言う
あんな大きなお店を、若い人が経営しているなんてびっくりしました
愛のお母さんは40歳前後だろう
まだ21歳の渚が、花屋を切り盛りしていることに驚いたらしい
でも、あの子がちゃんとやれているんですあたしの同級生だった渚が
克子姉は、愛おしそうにパン工房の中を見渡す
だから、あたしも負けないで頑張ろうって、思っているんです
この小さなパン屋さんはパン・コースの生徒のための教室ということになっていますけれどあたしにとっても、勉強の場なんです
克子姉だって、高校1年で誘拐されてからは娼婦としてしか働いていない
最初は、渚みたいにいきなり、お店を開いてガツーンてパン屋の世界に飛び込んじゃおうって考えていたんですけれどあたしと渚では、資質が違うんですよね
あたしは勢いだけのオンナですから、渚みたいに人をやんわりと包み込む包容力はありませんから
そう今みたいに、高校生相手なら元気だけでやっていけますけれどプロの仕事として店員さんたちを仕切っていくのは、無理だったと思います
渚はミユキさんという正社員1人と、4人のアルバイト、ええっと今は5人だっけ
その全員を上手にコントロールしているというかペットにしている
今は学校に通えていない月子やマナや、マルゴさんたちが手伝いに行くこともあるけれどみんな、渚のペットとしての本分を守って、渚の妹たちを迎えてくれるらしい
オレが最近行かないのは渚の前での処女喪失を望んでいる子が何人かいるからだ
というか、渚の妊娠を知って自分もオレに孕まされたいと希望している子までいるらしい
これも、その内何とかしないといけないんだけれど
あたしも勉強中なんです今は、働いてくれている子が身内だからあたしが上手く指示できなくても、笑って受け流して働いてくれていますが本当に自分の店を持ったら、こうはいかないでしょうから
アルバイトの子とか雇う方も気を遣うんだな
パンを作って焼くのも、売るのもみんな、克子さんと兄さんたちで続けていけばいいのに
そうねそうしてもらえたら、嬉しいけれどあたしがやりたいお店は、ここみたいな小さなお店じゃないから
広い店内に、たくさんパンが並んでいて朝から夜まで、時間に合わせて次々新しいパンが焼けてくるのよ朝は朝食用お昼用午後のティータイム夕食後に食べたり、翌日の朝用に買って帰るパン
ああ、パンはどんどん、別の種類のものを焼き続けないといけないんだ
もちろん、朝でも昼でも夜でも好まれるパンもある
それから、ちょっとしたカフェ・スペースも欲しいしそしたら、ウエイトレスさんには可愛い制服を着て欲しいでしょ
克子姉が次々に夢を語る
今は、毎日考えているんですお店にはどんな絵を置こうかとか、どんな音楽掛けようかとか夢のお店の図面も、毎日書き直しているんです
まだ、どこに店を作るか決まっていないけれど
いや、ジッちゃんから使って良いというか、オレたちに売ってくれるという土地の候補が20ぐらい示されている
ミナホ姉さんが、決定を保留にしているのは完璧なセキュリティが築ける土地かどうかなのを調べるためと、克子姉がパン屋の仕事に慣れるのを待つためだろう
ここでオレたちがパンを売り始めて、まだ1ヶ月と少ししか経っていない
それに、毎日、ここでこうして、実際にこの子たちと作業してみることであたしのお店はこうしようっていうアイデアがいっぱい出て来るんです
このパン工房も克子姉が設計したけれど
どれだけオレたちのパンが売れるようになっても、全校生徒が買いに来ることはない弁当の子が大半なんだから
あくまでも、この学校の昼休みで売れる分のパンが作れればいいのだから
ていうか、パン・コースの生徒がそんなに増えるとは思っていないから、最初から広めには作っていない
学生食堂の脇の開いていた土地に、夏休みの間に急いで建て増ししたんだし
そうあたしがあたしの夢のお店をやっていくためには、あたし自身がグレード・アップしないといけないんです今のままではダメなんです
大きな立派なパン屋を開くためには
そっか美味いパンが、作れるようになるだけじゃダメなのか
オレは呟く
いいのよあなたは今は、自分のやるべきことをやりなさい課題というのは、人それぞれで違うんだから