ちゃんとした格好って、Yシャツにネクタイして背広ってことか
そうじゃなくて別に、いつもそんな格好していなくてもいいけれどでも、今の人はちゃんとしていないと思う
うーん工藤父はなあ
うんわたしのお父さんだって、もうちょっとちゃんとしていたと思う
コヨミちゃんが、そう言う
コヨミちゃんのお父さんはヤクザだったよな
お母さんの清美さんと共に今はもう、この世にはいない
そうねあのオジサン、何であんな格好をしているのかしら
雪乃の疑問に、克子姉は
ああいうスタイルがカッコ良かったんだと思うわ工藤さんがお若かった頃は
いやいや、克子お姉ちゃん工藤さんが若い頃だって、ああいうファッションは一部でしか流行ってないからっ
でもご自分がお若かった頃のファションをずっと続けていらっしゃる方って、たくさんいるわよ
ああいたねえお屋敷のお客様には
寧は娼館が営業していた頃、監視カメラで客たちの様子を観ていた
背広にタートルネックのシャツを着てるお爺さんとかあれでベレー帽を被ったら大昔のマンガ家みたいな格好だったもんヒゲに夜でもサングラスしてて
あの方は、とても有名な美術家なのよ
へえ、あたしはてっきりガラ*の*面に出て来る劇団オンディーヌのオノデラ先生だと思ったよっ
可奈センパイがいないと思って弾けてるな、寧
まあ、確かに自分のお父さんが、変な格好をしているのは嫌だけれどさでも、あんまりにもオシャレすぎるのも困るわよあたしのパパとか夏に、純白の麻のスーツとか着てたけどさまあ、そこそこ背丈もあるし、パパ美男子だから似合っているんだけれどやり過ぎだから、いつも周りから浮いている感じだったのよ
雪乃が死んだ白坂創介の話をする
あの男はナルシストが服を着て歩いているっていう男だったものね
克子姉が、懐かしそうに言った
もう、白坂創介に対する恨みはほとんど残っていないようだ
あの時、徹底的に復讐したことで、憎悪を引き摺らずに済んでいる
かつて白坂創介に苦しめられたお屋敷の女たちが、全員そうならいいんだけれど
まあ、広告代理店なんてところに勤めてたんだからチャラチャラしてたのは、しょがないんでしょうけれどパパの会社の人も、変な格好の人が多かったなあみんな、無理して若々しく見せようとしていてさ40過ぎて、若いタレントの男の子たちと同じ美容院で髪を切ってる人とかさ眉毛とかも、綺麗に剃ってて気持ち悪いのよ全員がそうってわけじゃないんだけれど
白坂創介は、芸能界とくっついて、女のタレントとかにも酷いことをしていたからチャラチャラした仲間が多かったんだろうな
やっぱり男はさ年相応に、ファッションを変えていって欲しいわよね
失脚しちゃった白坂本家の大叔父様とかそういうところは、ちゃんとしていたから
名家の当主ともなれば、おかしな格好はしないわよ
白坂の家は新聞社とテレビ局の創業一族だから、そこそこの名家だ
もちろん、名家中の名家である香月家には敵わないけれど
そういえば、ジッちゃんも、いつもピシッとした格好をしているよね
それはそうよ香月様みたいな方だと、24時間、いつでもよその人が近くにいるんだから
よその人
ボディガードや、香月セキュリティ・サービスの谷沢さんだって雇っている人であって、家族ではないでしょ
香月のオジイちゃんレベルになると、真夜中でも誰かが尋ねてきて、話をしなくちゃいけないこともあるよね
そうよだから、香月様はご自分の寝室か、あたしたちのお屋敷でしか、くつろいだ格好をすることができなかったのよ
自室と娼館だけ
いつも、誰かの視線に囲まれているから気が抜けないのよ
みすずや瑠璃子も、そうだな
家族の前ですら、普段はピシッとした格好をしているし姿勢も崩さない
その分セックスの時は、開けっぴろげになって乱れまくる
本当に裸になった時しか、心も裸になれないんだな
きっと、ジッちゃんも
ご自宅では、寝室の隣には、もう警護の人が何人も付いているでしょうけれどあたしたちのお屋敷は、ボディーガードは控え室までしか入れないことになっているから
そうだった前に、ジッちゃんが来た時も、大徳さんや張本さんたちは警護員専用の控え室で待っていた
お屋敷はそういう意味では、香月様がくつろぐことのできる空間だったのよ監視カメラがあるけれど観ているのは、お嬢様かキョーコさんだったからキョーコさんは、香月様が連れて来て下さった人だってことは知っているわよね
ああ、信頼できるキョーコさんという人材が、キョーコさんが娼館内を完全に監視し、警護しているということでジッちゃんは、黒い森の娼館の顧客に復帰したのか
そして、他の古くからの顧客たちも、一緒に戻ってきてくれた
キョーコさんが居るから、白坂創介もお屋敷の中で無茶なことがやりづらくなったわけだし
ただ、キョーコさんがジッちゃんから任されたのは、娼館の警護だけだから
黒い森全体の経営を、白坂創介から奪い取るのにミナホ姉さんは、長い時間を必要とした
その間に、キョーコさんの仕事をマルゴさんが引き継いだりしてうん
そういう話は、いいでしょここではさとにかく女の子は、自分の父親にはパリッとした格好をしていて欲しいってことよ
雪乃が、話を変える
父親の無残な死のことを、思い出したくないんだろう
そういえばさあんたも、最近はいつもちゃんとした格好をしているわね
おオレ
制服のシャツとかも、いつも綺麗だしスボンもアイロンがかかっているしさ普段着だって、いつもセンスの良いのを着ているじゃない
いや、それは克子姉や渚がみんなが、やってくれているんだよ
オレ服とかよく判らないから
全部、みんなに任せている
あたしたちだけじゃないわよ他の子も、この子に何を着せるか、意見を出し合って決めているわ一緒に買い物に行くこともあるし
運転しながら、克子姉は言う
ただみすずちゃんは、いつも変な提案をするのよねえ
うん瑠璃子は、普通なんだけどなあ
みすずは、オレにやたらと変な格好をさせたがる
変な提案て
雪乃の問いに、寧は
ミィちゃんどうしてだか、妙にワイルドな格好をさせたがるんだよねえヨッちゃんに
5月には、リーゼント頭にされたこともあったっけ
何よ、ワイルドって
この間は革のジャンに革の帽子とかさどういうイメージなんだって聞いたら、インディ・ジョーンズって言われた
はぜんぜん、あんたと合ってないじゃない
その前はヘビ柄のジャケットとかさワイルド・アット・ハートって映画知ってるか
知らないわよ