愛や真琴さんのプライベートなことまで話さないといけないのは、とても心苦しいけれど
ジッちゃん香月家との関係は、オレたちの生命線だから
特にお前が、新しく抱いた女たちのことは、詳しく話せよ
ジッちゃんはニヤッと笑う
私自身の楽しみのためにもな
そして、小さく溜息を吐く
お前も知っての通り私は老齢過ぎて、もうセックスはできないからな正直、お前が羨ましいよ
ごめん、ジッちゃん
そういうことは、考えていなかった
病気で点滴して、何日も食事しないで安静にしている人の前で美味しい大盛りラーメンの話をするようなもんだよな
何を謝る気にせずに、もっと奔放になれますます、私を羨ましがらせろ私はこれからも、お前から艶っぽい話を聞きたいぞエロティックな体験談をなそれが、私にとっては最高の若返りの薬となる
口惜しいとか、羨ましいという気持ちも人生にとっては大切なスパイスだ特に、高齢者にとってはな
何もかも諦めて枯れてしまうよりコンチクショウメと罵りの言葉を吐く方が、よほど健康的だ
この老人はまったく
オレと瑠璃子のセックス映像はあいかわらず、盗み見しているんだろ
当たり前だ瑠璃子は、なかなか良い表情をするようになったな
これだ
だが、私だったら20代の私だったら、もっともっと瑠璃子をよがらせることができたと思うぞ
オレはまだ10代だよ
なら、仕方ないかふふふふふっ
楽しそうに笑うジッちゃん
何にせよこれからも、瑠璃子を可愛がってやってくれ頼むぞ
ジッちゃんの瑠璃子に対する愛情は、屈折し過ぎている
みすずのことはいいの
馬鹿を言えみすずたちのことはわざわざ口に出して、お前に頼むことではないだろう
瑠璃子のことだけジッちゃんは、オレに頭を下げるのだ
さてとお前の方の近況報告は、それで終わりだな
ジッちゃんは、話を変える
ああ、そうだけど
では、今日の話をしようちょっと待ってくれ
ジッちゃんは、傍らのインターフォンを押す
この声は翔姉ちゃんだ
今はどうなっている
お客様は、7割方到着なさってますわ
客の相手は
美子様と瑠璃子様がなさっています
みすずはどうした
閣下のご指示を待たれています
ああこの部屋の脇に控えているのか
はい、そのようでございます
ではこの部屋に通せ良信との話は終わった
ジッちゃんは、インターフォンを切る
みすずめ私の指示待ちと言うが、実際はお前のことが心配なんだろう
オレは愛たちのことをジッちゃんに報告するために
ジッちゃんと、2人きりでの対話を希望したから
やっぱりみすずたちには、愛や真琴さんの個人的な話は聞かせてはいけないと思うし
ドアが、ノックされた
もう来たか入れ
ガチャッとドアが開きパーティ・ドレス姿のみすずが入って来た
お話は、お済みですか
みすずは、穏やかな笑顔で尋ねる
ああ、今、終わったところだ中庭の方はどうなっている
今日は、良いお天気ですし風もありませんガーデン・パーティには最適ですわ
そう今日は、この香月家の本家の屋敷で
みすずと瑠璃子主催のガーデン・パーティがある
もう7割方客が揃っていると聞いたが
良い人材はいそうかね
それは、翔お姉様や谷沢さんそれに美智が、1人1人チェックしていますわ
今日はみすずたちの超・お嬢様学園の女生徒たちを招待している
それも、学校に私的な警護役を連れてきている子だけ
つまり、お嬢様中のお嬢様だ
当然、警護役も一緒だ
もっともあちらはあちらで、あたしたちの警備態勢を値踏みしていらっしゃるおつもりのようですけれど
今回は学校内での警護が連携できるように
それぞれの主人と警護役を交えた親睦会ということになっている
ゲストが、翔姉ちゃんとレイちゃんで
香月セキュリティ・サービスの警護体勢についてのレクチャーもある
まあ主たちの方は、半分が麗華お姉様とお話がしてみたくていらしたみたいですけれど
レイちゃんは、香月セキュリティ・サービスの広告塔として、テレビにも出ているから
元々、麗しき男装の美女だからファンが多い
みすずや瑠璃子の警護で、学校への送迎を担当することもあるからお嬢様たちの中には、レイちゃんと親しくなりたいと思っている子もいるんだろう
藤宮くんを自分の担当の警護人にしたいと言い出す者も現れるんじゃないのか
それは今、担当なさっている警護の方が、嫌な顔をなさるでしょうから
ああ、ご主人様に連れて来られて気分を悪くしている警護人もいるのか
そうだよな、自分は自分のやり方で主人を守っているのに
今更、香月セキュリティ・サービスのレクチャーを受けるとかそういうのを嫌がる人もいるだろう
警護人なんて、一匹狼な性格の人が多いと思うし
私は最初に一度だけ顔を出す
機嫌の悪い連中も私の顔を見れば、気持ちを入れ替えるだろう
わざわざ、香月家の当主が顔を出すのだから
ジッちゃんの価値は、それほどまでに高い
ところで良信
私は普段、人に会うときは、できる限り不機嫌な顔をすることにしているそして、尊大で傲慢で誰の話も聞かないような嫌な人間を演じるのだ
オレと2人きりで話すときは、陽気でいつも笑っているのに
いや確かに、ジッちゃんは、人前じゃもの凄く偉そうにしているけれどさ
あれってホントに偉いからなんじゃないの
オレの答えに、ジッちゃんは苦々しく微笑む
私は自分自身を偉いとは思っておらんよ
わざわざ偉そうで、不機嫌な態度を取るんだ
まるで自分から相手に嫌われようとしているみたいじゃないか
するとジッちゃんは
その通りだ私はできる限り、初対面の人間に嫌われるように振る舞うのだよ
香月家当主の業ですわね
私が誰か初対面の人間に会うとするたまたま、私はその日、上機嫌だっただから、初めて会った人間にも優しく、丁寧に、明るく応対したとする
あくまでもたまたま、その日の私の機嫌が良かっただけのことだしかし、その時の印象が彼の心に残る
ああ、ジッちゃんは明るくて優しい人間だと、思い込むんだ
そして、人に吹聴する香月家の当主に会ったが、なかなか明るい人間だったよとかな
だが、その人間と次に会った時たまたま、私が不機嫌だったとするその人間とは関係の無いことが原因でな
そういうこともあるよな
しかし、その人間からすればこの前、会った時はあんなに明るく、優しい人間だったのに一体何が起きたんだと疑心暗鬼になる自分や自分の会社が、私に嫌われたとか勘違いをしてな
そして、また吹聴する香月の当主に嫌われたから、私の会社はもうお終いだとかそして、良からぬ噂が巷を駆け抜けあちこちに影響する株価が上がったり、下がったり関係の無い会社が、経営危機になったりな