ジッちゃんの影響力ってそこまであるのか
一番困るのは自意識過剰な連中だ私に一度会っただけで私は香月家の当主と仲が良いあの人は、私のことを高く評価しているなとど自己アピールに使おうとする輩もいる
一度会っただけでジッちゃんのお気に入りになったと、他の人たちに言いまくるのだ
もちろん、そういう輩には抗議する君のことなど、評価はしていないと公衆の面前で言ってやったこともあるだが、ああいう連中はね
こちらが、そういう対応をしても香月の当主が手の平返しをしたこの前は、あんなに評価してくれたのに何て尊大で身勝手な人間なんだろうと、私のことを悪く言うのだよ
そんな連中もいるのか
人間性を悪く言われるのは構わんが態度や意見をコロコロと変える人間だと思われるのは困る香月グループの信用に関わるからなだから、私は最初から、尊大で傲慢で我が儘でいつも不機嫌な人間でいることにしたのだよ
でも、そういうんじゃみんな怖がって、近付いてこられないじゃないか
ああだが、仕方ない嘘吐きや、馬鹿や、ドロボウを寄せ付けないためには常にそういう怖面の人間でいないとならないのだよ
なかなか大変なんだな
ホントお祖父様が、外ではずっと怖い顔をなさっていらっしゃいますものね
オレやアニエスなんかの前では笑ったりして、楽しそうなのに
そりゃ身内の前なら、そんな芝居はせずに済むからな
この後もみすずたちの学校の可愛らしいお嬢さんたちの前で、苦虫を噛みつぶしたような顔をしなくてはならん
ああ女の子たちの前でも、そうしないといけないのか
男よりも女の方が余計に気を遣うよ私が、どこかの名家のお嬢さんと、ニコニコしながら会話したりすれば
家によってはその娘をお祖父様の愛人に差し出してきますわね
そうなるとな断るのも、その娘に失礼だしななかなか、面倒なことになるのだよ
だから、お祖父様はずっと、黒森の娼館に通っていらっしゃったのですね
ああ、高級娼館の女なら後腐れが無いからな
とにかく変な話にならないようにするためには、不機嫌であり続けないといけない可愛い娘でも、冷たくあしらう興味を全く示さないそれが大事だ
うーん当主は大変なんだなあ
判ったな、良信
旦那様もあたしの相手、黒森公としてパーティに出席していただきますから
あもしかして、オレも
常に不機嫌に尊大で、傲慢で、我が儘な態度だぞ
ジッちゃんは、そうオレに命じた
新章突入、今度は香月家サイドです
ミクロマンの新商品が出るらしいのですが
1体3500円マジっすか
いや、昔の大きさのままのミクロマンなのに
だって、ミクロマンて35年前は400円くらいだったのに
10年くらい前のだって、1000円ぐらいだったばずなんですけれど
中国の人件費の高騰で、オモチャは全部値上がりしています
値段を抑えているのは、最大大手のB社ぐらいです
お金持ちのマニアしか買わない物になると、先細るだけなんですけれどね
841.ハイ・ライフ / 職業としての仕事
そんなこと言われてもさ
オレ尊大な態度とか
だってみんな名家のお嬢様たちなんだろ
オレがエラソーな態度とかしていたら失礼なんじゃ
取りあえず、旦那様これをかけて下さい
みすずが、サングラスを取り出す
公式の黒森公はメガネをかけているということに致しますから
ああサングラスでもすれば、オレのマヌケな顔を少しは誤魔化せるか
濃いサングラスは、相手に視線を気取られず済む
ただし目下の人間の前だけでかけろ特に、対等な立場の人間との駆け引きの場では、絶対にサングラスはするな
サングラスをしていれば、心を隠していると思われる真剣勝負の場で心を隠そうとするのは、余裕の無い証拠だナメられるぞ
今は良い名家の娘たちには、お前が自分たちのことなど少しも関心が無い完全に無視していると思い込ませられるからな
オレはみすずのくれたサングラスをかける
このサングラスはみすずの趣味か
いいえ翔お姉様です
あたしの選んだサングラスは、他の皆さん全員に却下されました
相変わらずみすずはオレに関する物についてだけは、趣味が変わっている
あたしはもっとワイルドなサングラスの方が良いと思ったのですが、みなさんエレガントな方が良いと
うむこれで良いと私も思う
ジッちゃんもそう言うんだからワイルドは控えてくれ、みすず
今日のスーツにも合っているそのスーツは例の店で作ったのか
ああ、ジッちゃんが教えてくれたお店で作ってもらったよ
香月家関連の行事の時用にオーダー・メイドのスーツを作れとジッちゃんに言われた
店も教えてもらって全身、寸法を測られて仮縫いとかも何度もして
克子姉のオレ用に直してくれたスーツも気に入っているけれどあれは元は、ミナホ姉さんのお祖父さんのスーツだし
これ以上、形見のスーツをもらうのは悪いから腹を括って新調した
どうだ、自分の体型にぴったりと合ったスーツは着心地がいいだろう
うん何かすごく軽くて、動くやすいし、疲れないんだよこのスーツ
ホントさすがプロの技は凄い
生地は、あたしと瑠璃子と克子お姉様で決めました
スーツの生地のこととか、色や柄がどうとかオレには判らないから
一緒に店まで付いて来てもらって決めた
美智もいたけれど、一言も喋らなかった
まあ美智も24時間ずっと制服しか着てない子だし
あんまりファッションのことは判らないみたいだから
これはあたしの意見も聞いていただきました
うむ、少し派手で艶っぽい生地だが良信は若いのだし、今日はビジネスの場ではないまあ、いいだろう
落ち着いた席のためのスーツも、作りましたわそちらはあたしの意見は採用されませんでしたが
残念そうに、みすずは言う
克子くんの見立てなら問題はあるまい彼女の顧客には、私を始めたくさんの洒落者がいたからね良い生地、良い仕立てをたくさん見てきているお前や瑠璃子よりも、眼が肥えているよ
ジッちゃんは、そう言ってクククと笑った
さてでは、貴婦人たちのいる中庭へ行くとしようか
ジッちゃんは、立ち上がる
おう、そうだ良信いや、今からは黒森くんと呼ぶべきだな
オレを見て笑う
さっきも言った通り、私は公の場では権威のある人間として振る舞わないといけないだから、悪いが私に少しは気を遣ってくれよ