アーデルハイトさんは、拳をギュッと握りしめたまま返事をしない
ありす様わたくし、絶対、この人たちと同じくらい強くなりますから
安城キヌカさんが、主の鞍馬ありすさんに言う
いえ、キヌカわたくしたちが目指すべきは、この方々の上ですこの方たちよりも強くならなければ鞍馬家をお守りすることはできないわ
はい、姉上
姉の安城ミタマさんに、キヌカさんが答える
でももう、鞍馬家は
鞍馬家の姉の美里さんが、ブルブルと身体を震わせる
美里お姉様
ええ、わたくしは大丈夫ですよ、ありす
誰もが4人の大人たちの闘いを見ている
この中庭に居る全員がまるで、美しい芸術表現でも観ているかのように
マルゴさん、キョーコさん、レイちゃん、ミス・コーデリアの闘いに引き込まれていった
よしもういいだろう
スッと、キョーコさんが闘いを止める
マルゴあんた、その道を進むんだね
改めて弟子に問う
はい、キョーコさん
そうかならいい
師匠と弟子は、優しく微笑み合う
頑張りなあたしは、どこまでもあんたを応援するよ
ありがとうございますいえ、ありがとうございました
その言葉でオレにも、マルゴさんが何をしにアメリカへ行っていたのかが判った
マルゴさんは、表の世界で格闘家として生きていくために
キョーコさんから習った技の裏の世界の匂いを取り除いてきたんだ
マルゴさんが今後キョーコさんの犯罪を手伝うことはない
2人の師弟関係は永遠だけれどボスと部下の関係は、ここで解消する
そのために2人は、綺麗な闘いで拳を交わしたんだ
ま何にせよ、あんたの人生はあんたのモノだ精一杯生きるんだね
そしてキョーコさんは、翔姉ちゃんに振り向き
あたしの出番は、ここまででいいだろ
はい本日は、ご足労いただきましてありがとうございました
翔姉ちゃんも、笑顔で頭を下げる
いやあたしも来て良かったよマルゴにも会えたしこんなにたくさんの可愛いお嬢さんたちとも知り合いになれたからね
キョーコさんは、会場中の少女たちに向かって微笑む
何人か誘拐して帰りたい気分だけれど今日は止めておくさあ、さっきの話あたしんトコも新人募集しているっていうのは、本当だからね可愛い女の子限定で腕は未熟でもいい稽古は、あたしやミス・コーデリアがつけてあげるから朝も昼も夜も
それってベッドの中までってことですよね
だけどあたしは、裏社会の人間だあたしのトコじゃ、今見せたみたいな綺麗な技は身に付かないからね薄汚くなってもいいっていう子しか、来ちゃダメだよ綺麗なまま、強くなりたいのならそっちの麗華ちゃんや翔ちゃん方の道を進みな
そして、クスッと笑って
今日のギャラは、あたしの口座に振り込んでおいてね
翔姉ちゃんは、あくまでもキョーコさんの参加がビジネスであったことをみんなに示す
さてとそれじゃあ、あたしはブラジルの懐かしの我が家に帰るけれど
キョーコさんは安城姉妹を探して、指差す
さっきのあんたたち
ギロッと睨む
わ、わたくしたちでございますか
急に呼ばれて、さすがの安城姉妹をギョッとしている
さっき、あんたたちがやってたことだけどさ
えもしかしてスカイラブ・ハリケーン・ミキサーのこと
あれはさこうやるんだよッ
キョーコさんが、いきなり加速する
コーデリアッ
オーケイ、キョーコ
名前を呼ばれた時には、ミス・コーデリアはすでに地面に寝転んでいた
ホップ
キョーコさんが、ミス・コーデリア目掛けて、大きくジャンプする
ミス・コーデリアが、足でキョーコさんを受けとめ発射台《カタパルト》となるッ
ジャンプッッ
ホントに2倍のスピードで飛び込んで、3倍のジャンプをして、4倍の回転で
キョーコ・メッサーが空を飛ぶ
じゃあね、みんなバイバーイ
そのまんま、キョーコさんは香月家の屋敷の開いていた3階の窓の中へスワッと消えて行った
あれ、ミス・コーデリアもいない
みんなの視線が空中のキョーコさんに向いている隙に、姿を消したんだ
ホント騒がしい人でごめんなさい
弟子のマルゴさんがみんなに詫びた
◇ ◇ ◇
あ、あのお名前は
キョーコさん退場で、一旦休憩となったが
レイちゃんと並んで座ったマルゴさんがお嬢様たちに取り囲まれる
マルゴ・スタークウェザー・クロモリです
ハーフなんですか
いやいや、生まれも育ちもアメリカだよ日本の家の養女になったんだ
インディアンの血筋のことは言わないのか
それであのマルゴ様も、香月セキュリティ・サービスの方なのでございますか
お嬢様の1人が尋ねる
いいや、違うよ
ええ、マルゴさんは香月セキュリティ・サービスとは関係の無い人です
レイちゃんも笑顔で、そう答える
それで、あの今はどちらのお宅の警護役をなさっているんですの
もし、よろしければわたくしの家に
あっ、ずるいですわわたくしが先にお伺いするつもりでしたのに
わたくしから、父にお願い致しますから
わたくしのところへおいで下さいませ
あー、そういうことになるのか
でも、いいのかそんな話をしてて
今現在の警護役の子たちが悲しそうな顔をしているぞ
残念だけれどあたしは、もう警護役は引退することになっているんだよ
マルゴさんはニコッと微笑む
実はアメリカで格闘技の大会に出ることになったんだよだから、警護の仕事はもうしないんだ
まあ、そうでしたの
そう言うお嬢様たちに
でも、皆さんが応援してくれたら、嬉しいなあたしはねまずは女子の世界チャンピオンになって、その次は男と闘いたいんだそれも世界一強い男の人と
とても面白そうですねマルゴさんなら、屈強な男の人たちでもバッタバッタと次々薙ぎ倒していくんでしょうし
レイちゃんが、笑顔でそう言う
ああ、それ楽しそう
面白そうですわ
わたくし応援致します
お嬢様たちが、口々にそう言う
あれがマルゴの狙いネ
イーディが戻って来て、小声でオレに囁いた
ああやって、あの子たちを自分のファンにしてあの子たちの父親に格闘技興行のスポンサーになってもらうノネ
ダカラ、さっきはキョーコたちもああいう闘いをしたノネ
マルゴさんの綺麗で正統派の綺麗な闘いを見せるために
オレは2人の様子が心配だった
それも大丈夫ヨ屋敷の中で、寝ているネミチが看てるのネ
まったくキョーコさんたち相手に、無茶するから
2人とも鷹倉神社の巫女として生きることを断念したのはいいけれど
何で、あんなイチかバチかみたいなことをしたんだろ