そういうことでもないんだよ何がフィクションで、何がゲンジツかなんてことは、普通の人間には関係ないんだからさ
関係無い
大事なのは自分自身に関係あるかどうかって、ことだけなんだよ自分の生活に影響が無ければ、多くの人間は遠くの国で戦争が起きてもへえ、そうなんだとしか感じないからねその人にとって、ゲンジツの戦争とドラマの中で起きている殺人事件に、どれほどの差があるんだろうね
自分の生活に関係無ければそれがゲンジツかどうかは、問題ではない
むしろフィクションの世界で起きている可哀相なできごとに、共感しちゃったりするだろ**ちゃんがとっても可哀相とかホントは、それはドラマの中の世界のできごとで実際には、誰も死んでいないとしても
前にある映画監督が、学校での講演会でこういう実験をしたんだけれどさ
まず最初にシェイクスピアっていう大昔の劇作家がいるでしょあの人の歴史劇の中にさ、戦死したイギリスの貴族たちの名前を読み上げる場面があるんだよそのセリフを学生の1人に渡して、みんなに読み上げてくれっていうわけ
それはさ、イギリスの中世のばら戦争の時の話だからさ戦死したのは、**公爵、**伯爵とか仰々しい名前ばっかりなわけだから、読み上げる方も笑っちゃうし聞いている方も、真面目に聞けない
それは、まあそうだろうな
大昔の戦死した人たちの名簿とかを、真面目に読むのは
で、次に同じ学生に、この間の大震災で亡くなった人たちの名簿を渡して読み上げろっていうわけ
震災でなくなった人
今度は**町の**さんとか**村の**さんという名前の読み上げになるよね読み上げる学生も、とても慎重に緊張して読むし聞いている他の学生たちも、シンと静かになって真面目に聞いたんだそうだ
どうして、シェイクスピアの歴史劇の中の戦死者リストを読むと笑いが起きて震災で亡くなった人の名前を読み上げるとシンとなるんだと思う
だって震災は本当にあったことでその人たちは本当に死んでしまったからですよ劇の方はフィクションじゃないですか
シェイクスピアの作品は劇だけどばら戦争は本当にあった戦争なんだよ劇中で読み上げられている戦死者たちは、本当にその戦争で死んだ人たちなんだフィクションじゃなく、みんな実在していた人なんだよ
本当に生きていた人たち
亡くなった人の名簿という意味では2つは同じ
学生たちが震災の名簿でシンとなったのは、まだまだ記憶が鮮明だからだろもしかしたら、学生の身内や友達も被災したのかもしれないし
だから、真摯に受けとめてしまう
シェイクスピアが生きていた時代の人たちにとってばら戦争は、お祖父さんやお父さんの代に起きたことだったんだだからその戦争で死んだ貴族たちの名前が読み上げられるのは、当時の観客たちにはリアルだった自分の直接の先祖が仕えていたり、殺されたりした相手の名前なんだからね
今の自分と密着したことには人は真面目に受けとめるしかない
自分とは無縁なことだと感じたら本当にあったことだって、気に留めないこともある
その映画監督の実験は最後は同じ学生に、震災で亡くなった人の名簿を読む時の気持ちで、歴史劇の戦死者の名前を読み上げるように指示するんだそうするとさっきは、くすくす笑いの起きた戦死者**伯爵も真面目に読み上げられる聞いている人たちも、真面目に聞くようになる
キョーコさんたちの戦闘力がホンモノだっていうことは、誰の眼にも判るでも、自分に対して敵意が向けられていないと感じられれば楽しいショーだとして受けとめちゃうんだよ普通の人たちは
ただのショーだから終わったら、もう気にならない
レイちゃんのところで、キャーキャー笑い合うことができる
あの闘いが何だったのか改めて意味を考えたりはしない
キョーコさんの一番恐ろしいのはああいうことが平気でできるってことだよあの闘いの意味が感じ取れなかった子たちは今後、どこかでキョーコさんに会っても、警戒したりしないからね
例えばどこかの高級ホテルで、ばったりキョーコさんと出会ってしまったとする
お嬢様からすれば香月家のイベントで、レイちゃんと闘っていた体の良く動く愉快なお姉さんでしかない
テレビの中でのレイちゃんとの闘いも、香月セキュリティ・サービスの宣伝キャンペーンなんだと思っているだろう
そうだあの時は、この人は自分に敵意を見せなかっただからこのお姉さんは、信用できる人なんだと感じてしまう
世の中で一番怖い人はねこちらに敵意をまったく見せないで、近付いて来る人だよもっと、怖い人になるとこちらに好意を持ってくれているんじゃないかって思い込ませる人は自分のことを好きでいてくれる人にはとても弱いからね
そしてこちらの懐の内側まで、潜り込んだところで豹変する
敵じゃないと思っていた人自分のことを好きでいてくれると思っていた人に
いきなり刺される
良信くんはあたしやキョーコさんのことをどう感じている
敵意を感じる君に何か悪いことを仕掛けて来る人だと思う
むしろ、オレに好意を持ってくれていて、優しくしてくれると思っていた
ほら、君もキョーコさんの術にハマっているもしかしたらあたしにもね
ニヤッとマルゴさんは、笑った
いつもこちらに敵意を向けてくるやつらなんて大した連中じゃないんだよ君も、これからは本当の敵と闘っていかないといけなくなるんだよ
友人の振り仲間のフリをして、近寄って来る敵か
そして、こちらが心を許した瞬間に急所を刺してくる
キョーコさんは、ああやってわざとショーみたいに闘いをやって見せて今日、集まっているお嬢様と警護役の女の子たちを試したわけ誰がダマシやすいかもこちらの仕掛けに気付いたのは誰なのかっていうことも
本当はメチャクチャ強いキョーコさんが、わざとふざけた闘いをしてみたことに違和感を感じた人も居るんだ
人はね能力があるだけじゃダメなんだよ洞察力もないとねあそこには警護役として鍛錬を積んで、とても強くなった子もいるでも、戦闘力を持っていてもキョーコさんの詐術にあっさりとハマるような子なら、使い物にならないむしろ、今はそんなに強くなくても洞察力のある子の方が欲しいと、キョーコさんは考えているよ
マルゴさんは、中庭を見てそう言う
戦闘力は鍛えれば、ある程度までは上達するけれど洞察力があるか無いかは、その子の資質に掛かっているから洞察力だけは、他人が稽古で磨いてあげることはできないんだ自分で掴まないと、手に入らないものだから
洞察力
さっき、君が言ってたあそこにいる警護役のグループ分けだけど、3つじゃなくて6つだから
6つ
1つ目はあたしやレイちゃんのところに集まって来た子たちで、キョーコさんの詐術に気付かなかった子本当のミーハーの女の子だよね名前だけのホントにイジメ対策のためだけのご学友をやっている子