翔姉ちゃんの指示でやって来る歌晏さんとは顔を合わせないようにして、マルゴさんと鷹倉姉妹たちは退去した
オーケイ、いいわよ歌晏様の警護の方にも確認していただいたわよね
翔姉ちゃんが、携帯式の無線機にそう告げる
鷹倉の巫女姉妹を完全に撤収させたことを確認しないと、この中庭には入って来ないというのか
了解皆様歌晏様がご入場なさいます大きな拍手でお出迎え下さい
翔姉ちゃんが、会場中の少女たちに大きな声でそう言った
中庭の向こう香月家の屋敷の中から
ハロー、マイ・フレンズ
とっても背の高い、美しいお姉さんがニコッと微笑んで現れた
他のお嬢様たちと同じように、銀色のパーティドレスを身に付けている
いやただ
背中は大きく開いているし前も
横から覗き込んだら、全部丸見えだろっていうくらい大胆なドレスを着ている
アカデミー賞の会場のハリウッド女優みたいな
ただ、鼻が高くて眼がぱっちりとした派手顔の美人で体格もスラッとしていて、自信たっぷりに堂々としているから
とってもこの綺麗なお姉さんには、合ってはいるんだけれど
ようこそ、歌晏様
みすずと瑠璃子、そして他のテーブルに居る美子さんも立って歌晏さんを迎える
他の少女たちは、全員で拍手している
歌晏さんはニコニコしながらコツコツとハイヒールの音を立てて、真っ直ぐにみすずたちのテーブルにやって来る
その後ろから真っ黒のスーツで男装した、これまた背の高い少女が歌晏さんを追う
この人が警護役か
お姉様こちらにどうぞ
鳥居さんが立ち上がって、自分の席を譲った
香月家、狩野家、歌晏家が3大名家なら3人並んで座るしかない
同じテーブルに座るのは失礼だと、あの鳥居さんが気を利かせている
あなたたちも立ちなさいお姉様のお席よ
鳥居さんに言われて、鞍馬姉妹も慌てて席を立った
まあ、まり子相変わらず、気が利くわね
歌晏さんが、微笑む
はい大切なお姉様のためでしたらわたくし
鳥居さんが頬を赤らめる
このまり子はわたくしの株式の弟子なのよなかなか、見所のある子だから可愛がってあげることにしたの
歌晏さんは、会場中の少女たちにそう言う
血縁はありませんけれどまり子はわたくしの心の妹ですからまり子の敵は、わたくしの敵なんですわよろしくて、皆様
笑う歌晏さん
で、どうだったまり子今までのところはまさか、誰かまり子をイジメた人とかいなかったでしょうね
屋敷の中の控え室でこのパーティ会場の様子を観ていたくせに
歌晏さんは、楽しげにそう鳥居さんに聞く
いいえ、お姉様特に香月様にはとても親切にしていただいておりますわ
鳥居さんは、そう答える
あら、そうみすず様、瑠璃子様まり子が色々とお世話になったみたいで、申し訳ございませんわ
歌晏さんの言葉に、みすずは
本日は、おいで下さいましてありがとうございます
瑠璃子も、合わせる
狩野さんを始め、他の少女たちに対する態度とは、明らかに違う
ええお邪魔させていただきますわ本当はもう少し早く着いていたんですのよでも歌晏家のわたくしが、まさかキョーコ・メッサーや暴力団組織のスパイなどが居る会場に立ち会えるはずがないですから
スパイなどのなどは鷹倉家の巫女を指しているんだろう
わたくしの立場ではねえそうは思いませんか、みすず様
ニタッとみすずに微笑む
おっしゃる通りですわ申し訳ございません歌晏様
みすずは謝るしかない
この歌晏さんはオレたちの裏のことも、全部知っているんだ
キョーコさんとの関係も、関西ヤクザとの確執も
はーい、では座らせていただきますわみすず様も瑠璃子様も、お座りになってそれじゃあ、まるでわたくしがお二人を困らせているみたいではありませんか
みんな、着席する
ごきげんよう歌晏様
はい、ご機嫌よう狩野様お元気
お陰様で
香月家に続いて、狩野さんが歌晏さんと挨拶を交わす
あ、あの歌晏様
歌晏さんの来席で、立たされることになった鞍馬ありすさんがいきなり話し掛ける
お、お止しなさいありす
慌てて、姉の美里さんが止めようとするが
悪いけれど答えはノーですわ
歌晏さんは、ニヤッと笑ってそう答えた
あなたたち鞍馬家は元から香月様の家の系列ですわよね香月様があなたたちのお家を助けないとお決めになったのに縁もゆかりもない歌晏家が、助けて差し上げられるはずがないでしょ
あこれで判った
歌晏さんは、オレたちの様子をホントに最初の最初から観ている
ジッちゃんが鞍馬姉妹を拒絶したのは、懇親会パーティどころかレイちゃんのレクチャーの始まる前だし
そんな前から来ていながら今までずっと別室に居たのか
それに、あなたたちの家が潰れるのは当然よあなたたちのお父様がしたことを考えれば、香月様がお見捨てになられるのも当然ですわ
歌晏さんは、そう言う
鞍馬家は一体、何をしでかしたんだろう
娘を娼婦に堕とさなくてはいけないほどの負債って
ありすお止めなさいと言っているでしょ
鞍馬美里さんが、妹の口を塞ぐ
大変、失礼致しました
スッと頭を下げる
そうねホント、失礼
歌晏さんは、フンと鼻を鳴らす
関さん鞍馬さん姉妹を、奥の部屋にお通しして
翔姉ちゃんの指示で、メイド部隊の一人がやって来る
さあ、こちらでございます
鞍馬ありすさんはどうしていいのか判らない顔をしている
ありすわたくしたちが、このままそこにいると歌晏様のお気に障るようですわみすず様にもご迷惑をおかけすることになります
まだお帰りにはならないでねもう少し、お話をおうかがいしたいから
ただしお祖父様の決定は絶対ですからあたしたちでは、お二人の力にはなれないと思いますけれど
ありがとうございますお気持ちだけでも、嬉しゅうございます
美里さんは、みすずに深々と頭を下げる
そして会場の少女たちに
皆様、おそらく皆様のご尊顔を拝するのもこれが最後になると思いますわたくしも、ありすも今までわたくしたちに賜りましたご厚意、ご友情の数々、大変ありがとうございましたどうぞ、皆様末永くお元気でいらして下さい
美里さんはそう言って、頭を下げる
ありすさんも
み、皆様のことは忘れませんだからどうか、わたくしと美里お姉様のことも覚えていて下さい皆様ありがとうございました
ペコリと頭を下げる
参りましょうありす
鞍馬姉妹が、パーティ会場を後にしようとする
美里様
ありす様
慌てて、警護役の安城姉妹が主たちを追い掛けようとするが