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ジッちゃんの声が言う

私は、どんな身分の人間の言葉でもまずは、積極的に聞いてみようという態度を示すべきだと思うねもちろん、嘘吐きもいる君たちを騙そうとしている、悪辣な連中もいるしかし、名家に属している人間ならば常に紳士・淑女でなくてはいけない品の良い態度で礼節を保つことが肝心ではないのかね

歌晏さんが謝った

そうだ、歌晏さんはミナホ姉さんの話は聞いていたけれど態度は良くなかった

狩野さんの方が、きちんと品良く話を聞いていたと思う

君は、ミナホくんの話に価値は見出せなかったのかね今後の君の会社経営や、人生にとって、有益となる教訓は何も感じられなかったのかね

そ、そんなことはございませんわ色々とあのわたくしとは違う考えですけれどそういうモノの見方もあるのだなと、感じました

自分とは違う意見をもっと大事にしたまえ

それが、今の日本の大きな問題になっている自分とは違う考えを持つ存在に対しての不寛容さだ

自分とは違う考えを持つ人たち

今の日本人は考えの違う人を馬鹿にし過ぎている考えが違うというのは、意見が違うだけのことであって自分と同じ考えにならないからといって、その相手が劣っているように感じるのは間違ったことなのだよ

オレはAと思うけれど、あいつはBだと言うこんな簡単なことが判らないあいつは、バカなんだって、考える人たちは確かに増えていると思う

人間というのは立場によって、見えているものが違うさっきの君たちの話でいったら経営者と末端の雇用者では、まったく立場が違う苦労が違うやらなくてはならないこと、考えなくてはならないことが違う

雇用者全員に確実に給与を支払えるようにしなくてはいけいというプレッシャーは、かなりのモノだよ会社には株主というものもいる長く続いた会社なら、私の代で潰すわけにもいかない会社は退職者たちにも年金を払っているんだからねもし、会社が潰れたら雇用者や株主だけでなく、長年会社のために働いてくれた退職者の老後の生活さえ破壊してしまうもちろん、取引して下さっている企業にも迷惑は掛けられない私の会社のせいで、連鎖倒産などさせてしまったら生活が崩壊してしまう人が何倍も増える

そういうことをわたくしは、これまで一度も考えてはいませんでした

歌晏さんが言う

そりゃそうだろう君が遊びでやっている3社ぐらいなら、もし経営が行き詰まっても、君の一族が何とかしてくれるだろう

歌晏さんの一族はメモル・グループという大きな財閥を形成している

だが、世の中の一般の会社の経営者は、そうはいかないんだよ人を雇っている以上は、その人間とその家族の生活を守らなくてはならないんだもちろん、自分自身の家族もな個人経営の自分1人だけでやっている小さな商売なら、好き勝手にやるのもいいだろうだが、他の人間を巻き込んでいるのなら責任があるのだそのことを絶対に忘れてはならない

歌晏さんが、返事をする

ふん、そうやって私の話ならば、熱心に聞くようだね

まあいい話を戻そう

ジッちゃんは、少し間を置く

経営者には、経営者の責任があり苦悩がある管理職もそうだ役員には役員の部課長には、部課長の係長や主任だって、それぞれの立場でそれぞれの苦悩があるみんな、決して毎日、遊び呆けているわけではないからなそれぞれ働いていれば、良いことばかりじゃない辛いこともある腹立たしいことも理不尽に感じることもこの私だって、そういう思いを毎日している

香月家のトップであるジッちゃんだって、何から何まで自分の思い通りになっているわけではない

だが、今の日本人は立場の違い立場が違うから、見えるモノが違う悩む内容が違う考えが違うそういう人と自分の違いを洞察して、受け入れることができなくなっているように思う

上司は、自分の考えの判らない部下をバカだと思い込む何で、指示する通りにできないんだこんなこと、簡単にできることだろうと自分で、それをやらないのに部下が上手くできないことを、能力が劣っているからだと思い込む今の若い奴らは全然ダメだと

だが部下の方も何でこんなムダなことをさせるんだ自分なら、もっと上手くやるのにと、自分とは考えの違う上司をバカにするあの人たちは全然、判っていないと

ところがだそういう上司と部下が一緒になると、また別の人間をバカにし始める会社の上の人たちは判っていない、取引先の連中はロクでもないやつらばかりだ、隣の部署の連中は、頭の悪いやつらしかいない、今年の新入社員は、みんな使えないうちの会社の社長は、もうどうしようもないとね

上司と部下で、お互いに相手をバカだと思っているのに

二人っきりになると、一緒に他の人たちをバカにしだすのか

いつも、自分の考えが正しいと思っている正しい考えができるということは賢いということだだから自分とは考えの違う人間は、みんなバカだと思うのだろう

ジッちゃんの声が、静かに響く

そういう人間が増えている私は判っている私は正しいだから、私と違う意見の人間はみんなバカなんだと

おっしゃる通りだと思いますわ

歌晏さんが、呟く

わたくしはわたくしの会社でも、いつも部下の皆様がわたくしに色々と忠告して下さっているのに全てこの人たちは、判っていないわたくしの考えが正しいのにと取り合って来なかったように思います

今では君の会社の重役の中には君の言うことなら、何でもハイハイと受け入れてくれるイエスマンがいるだろう

ジッちゃんの問いに、歌晏さんは

いるはずだよこの歌晏家のお嬢様は、オレたちのことをバカにしている何を言っても、受け入れてくれないのならイエスマンに徹してしまった方が楽だ歌晏家から睨まれずに済むむしろ、このお嬢様に媚を売って、出世の糸口にしようと考えるのさもちろん、そういう人間は君のことも、会社のことも内心ではもう、どうでもいいと思っている

ゴマスリに徹して、自分がどうやって次に出世するかしか考えていないんだから

そして、そういうイエスマンが馬鹿な経営者を、さらに暴走させるさっき、君たちは会社の金をギャンブルに使ってしまった企業のトップの話をしていたが

ああ、マカオのカジノに泊まり込んで何十億円も使い果たしてしまった

あれだって、イエスマンの部下がいなければ絶対にあんなことはできない真っ当な企業なら、誰かが気付いてあんな真似はさせない何年間も、不正に金が引き出されていて、誰も気付かないはずがないんだしかも、会社の金を使い込んだ当事者には罪の意識があったはずなんだイエスマンが大丈夫です後で辻褄を合わせておきますなどと言わない限り、創業者一族のボンボンが1人でやれることではない