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月子が巫女の力で、そいつを自死に追い込む

まあ、悪くすればね逆に、ヨッちゃんが可愛い女の子を見てさほんのちょっとでもセックスしたいなあとか思っちゃったら

月子によってオレとセックスしないといけないと思い込まされる

まあ、仕方ないんだけれどね今の月子さんにとっては、ヨッちゃんは生きる目的そのものなんだから

鷹倉神社の巫女を継ぐったって巫女は、ここ百年近くずっと関西のヤクザたちのオモチャにされていたわけだしさこれからの巫女は、何をどうしていくべきなのか月子さんにもビジョンは無いんだよ

でも天童乙女の仲間の女の子たちが、心に傷を負っていたら癒やしてあげるのは巫女の仕事だとか、言ってたよね

それもヨッちゃんがの心を読んだんだよ

もし、ヤクザの娘の8人の子がツライ思いをしていたら助けてあげたいと思っているのは、ヨッちゃんでしょ

それもオレか

月子さん自身が、本当はヤクザの娘さんたちのことをどう考えているかはあたしには判らないよ

そして寧はアーデルハイトさんを見る

アーちゃんも本当に自分の意志で、この作戦に参加したのっ

どう、自覚はあるもしかして月子さんが、戦闘要員が足りないと思って、アーちゃんに自分から参加させたとかないよね

寧も鳥居さんの警護役であり、この作戦には本来何の関係も無いアーデルハイトさんが、自分から参加を申し出たことを不思議に思っているらしい

わたくしは誰の意志の力にも左右されておりません

アーデルハイトさんはキッパリと答えた

寧はアーデルハイトさんの反応を見る

本心からそう言っているのか月子の力でそう思い込まされているのかをチェックしようとしているのだろう

わたくしにはこの作戦に参加する理由がございますから

アーデルハイトさんの眼は自分の心の底から思いを語る力と光があった

どんな理由

いや、もちろん言いたくなかったら、言わなくてもいいけれど

わたくしも売春窟の生まれなんです

売春窟ヨーロッパの

わたくしも、幸運を拾わなければ今でもあの売春靴の中でもがき苦しんでいたと思います

アーデルハイトさんが、13歳で警護人のアカデミーを卒業するまでには色々なことがあったらしい

わたくしの父はわたくしと母を捨てましたからだから、わたくしは自分の娘を苦しめるような父親が許せないのです

拳をギュッと握りしめて、ブルルッと震える

天童貞男たちが、娘たちを支配し苦しめているという話に怒りが込み上げてしまったんだ

判った信用するよ、アーデルハイトさん

オレは、彼女にそう告げる

でも作戦の間は、絶対に勝手なことはしないでくれよ全員の連携が大切なんだから

うつむいて、そう答えるけれど

頭に血が昇ったら我を忘れて、暴れ出したりしないだろうか

ヨッちゃんそんな顔しないのっミナホお姉ちゃんが言ってたでしょスピード勝負だって

寧がオレの腕をギュッと抱き締める

ヨッちゃんが今悩んでいるようなことはミナホお姉ちゃんだって、とっくに想定しているはずだし

そうかミナホ姉さんが、アーデルハイトさんをオレたちと組ませたのなら

心配なことは、何とかできるという算段ができているはずなんだ

月子さんも、ミナホお姉ちゃんには力を使っていないから

だって、ヨッちゃん月子さんは、こういうことの作戦立案とかはできないじゃない専門外なんだから無理にミナホお姉ちゃんの心を操作して歪な作戦になっちゃったら、ヨッちゃんやあたしたち全体が危険でしょそんな危ないことはしないよ月子さんてそういうところは、とってもクレバーだから

ま、いいやアーデルハイトさん、寧と手を繋いで

びっくり顔で、オレを見る

いや、今からの偵察で一応、仲良し3人組のフリをしていくんだからさ今から慣れておいた方がいいよ

あっ、そうだねアーちゃんだけ、あたしたちよりも身体が離れているよ親しい友達なんだから、もっと身体を寄せ合っていないと敵に不審に思われちゃうよ

何なら、ヤッちゃんじゃなくてオレと手を繋ぐ

躊躇っているアーデルハイトさん、そう言うと

いえっ、こちらの方と

ガシッと、寧と手を繋ぐ

オレが嫌いとか同性愛嗜好があるとか

そういう反応とは違うな

これは処女なんだな、この子は

オレは、そう感じた

ヨッちゃん、ちょっとしばらく英語で喋っててもいい

アーちゃんは英語は母国語じゃないかもしれないけれどでも、翔お姉さんと同じアカデミーに居たのなら、英語は話せるでしょ

えっとなぜ、英語なのです

アーデルハイトさんは、寧に尋ねる

ヨッちゃんに、あたしたちの会話の内容を教えたくないからだよっ

そして、それからは

物凄く早くて流暢な英語に切り替える

アーデルハイトさんも、必死で英語で話している

オレには時々、聞こえるSureとかRealyなんかしか判らない

そのまま寧が英語でワーッと喋って

アーデルハイトさんが、ぽつぽつ答える会話が続いていた

でもオレは知っている

こんな会話でも続けていけば、少しずつ仲良くなっていくということを

ミナホ姉さんが、アーデルハイトさんをオレたちの組に入れたのは

寧なら少しずつ、アーデルハイトさんの心の壁を崩していけると思ったからかもしれない

天童貞男たちの潜伏しているカラオケ・ボックスはそこそこ人通りの多いバス通りに面していた

通行人が途切れない

ああ、すぐ向こうが駅なんだな

空はすっかり暗くなっていたが街の灯りで、結構明るい

ただし、カラオケボックスは臨時休業の札が出され、看板なんかを照らすライトも切られている

その店の前だけ少し暗い

どういうわけだか、そのカラオケ店の前の街灯も消えたままになっている

薄暗さのせいで、通行人たちはカラオケ店に自然と近付かなくなっている

おっし、イーディと天童さんは裏に廻ったねっじゃあ、木下さんたちスタートしてっ

寧がさっき手渡された携帯に模した無線機で、指示を出す

どんでんどんでんどんでんどん

たったかたー、たたたっ、たったかたーっ

大きく口で出囃子を叫びながらシンゲンの衣装を着た安城姉妹が、カラオケ店の方へ向かって行く

わざと店の入り口を数メートル外した位置に陣地を張る

おいしょっ

こらしょっ

背中に背負っていた風呂敷をどすんと地面に下ろす

ピカッと突然、消えていたはずの街灯が点く

ああ、翔姉ちゃんか

ここだけわざと暗くしていたのは香月セキュリティ・サービスのしわざだったんだ

何あの子たち

急に明るくなった場所に現れた異形の女の子、2人

通行人たちの興味を惹く