まあ、本当に可愛らしいですわ
そんなアニエスの困惑した表情も、お嬢様たちにはキュートに見えるらしい
はい学校に通うようになりましたらどうぞ、皆様、プリンセス・アニエスのことをよろしくお願い致しますわ
香月家に縁のあるプリンセスでございますから
みすずに、こうまで言われたら他の名家のお嬢様たちは、アニエスのことを気遣ってくれるだろう
そうねま、可愛い方だしわたくしも、可愛がって差し上げますわ桜子もいいわね
香月家に並ぶ家柄、歌晏家の桃子お姉ちゃんも、そう言ってくれた
は、はいそうですわね
狩野桜子さんも、アニエスを受け入れてくれる
ば、バケラッタ
真っ赤な顔で、苦しそうにコヨミちゃんにそう言うアニエス
うんプリンセス・アニエス様は、お水が欲しいとおっしゃっています
巫女の力で心を読むから、コヨミちゃんにはバケラッタで通じる
ハイジお水を差し上げてっ
はい、まり子お嬢様
鳥居まり子さんに言われて、警護役のアーデルハイトさんがアニエスのために水を取りに行ってくれる
いや、香月セキュリティ・サービスのメイド部隊の人がササッっと準備したペットボトルの水とコップをアーデルハイトさんが受け取って
はいお水でございますわ
差し出されたボトルとコップは、コヨミちゃんが受け取る
直接、アニエスが受け取ってはいけないこういう時のためのお付きなんだから
ばバケラッタ
それでもアニエスが、お礼を言う
プリンセス・アニエス様は、ありがとうと
それぐらいは判りますわ
アーデルハイトさんは、コヨミちゃんにツンとして答えた
ハイジ、そういうことを言うものではないわよプリンセスが怖がっていらっしゃるわ
鳥居さんが、自分の警護役を窘める
ほら、アニエス
オレは、コヨミちゃんからボトルを受け取って
うわ、よく冷えてるボトルの周りには水滴が付いている
ボトルのキャップを外してコップの中に水をトクトク注ぎ
さあ、飲んで
オレの顔を見て、アニエスはニコッと微笑み
両手でコップを掴んで、コクコクと冷たい水を飲む
何て可愛らしいの
幸せそうな顔で、水を飲むアニエスを見て
お嬢様たちの中から、溜息が零れた
お嬢様たちの視線をアニエスから外さないと
いつまでも、こんな無理な誤魔化しが通用するとは思えない
みすず水島可憐さんから、皆様にご報告したいことがあるそうだ
オレの言葉に、オレたちの後ろに控えていた可憐さんが前に出る
あら、どうなさいましたの
みすずは、ニコッと微笑んで可憐さんに尋ねる
可憐さんは、大きく深呼吸をしてから
香月みすず様、歌晏桃子様、狩野桜子様本日、お集まりになっていらっしゃる全ての皆様に申し上げます
スッと、深く頭を下げる
この度は、わたくしども水島家の不祥事により皆様に大変、ご迷惑をお掛け致しました本当に申し訳ございませんでした
それはお家の方の問題でありあなたは、巻き込まれただけの被害者にのだから、気にすることはないと先ほど申しましたわ
みすずは、笑顔を崩さずにそう言う
いえ今、さっき、そちらのお屋敷の中で香月様とわたくしの祖父、水島家の現当主が、お電話にてお話し合いを致しました
可憐さんは、会場内の少女たちに言う
香月様が
水島様と直接
名家同士の問題だから、お嬢様たちの関心が一気に可憐さんに移る
よしよし、オレはアニエスの背中を撫でてやる
パパ、お尻触って
小さな声で、アニエスはオレに囁いた
うん、この様子なら大丈夫だろう
オレは、ススッとアニエスのお尻に手を伸ばし、12歳のまだ硬めの尻肉をクイッとつまむ
はぁぁ、バケラッタ
大きく息を吐いて、リラックスするアニエス
結論から申し上げますと祖父は、香月様に大変失礼な態度でお話致しましたですから今後の水島家に関しましては、ご容赦いただけないものだと考えております
まあ何て、馬鹿なことをなさったの
歌晏桃子さんが、溜息を吐く
ここは全面的に頭を下げて香月様のお許しを請うことが肝心でしたのに
わたくしもそう思いました
辛そうに、可憐さんは言う
つまり水島様は、香月様に正しくお詫びなさらなかったということなんですわね
桃子姉ちゃんの言葉に、可憐さんは
はいわたくしには、そのように見えました
そうなるとわたくしたちも、水島の家をお助けするわけには参りませんわよ
桃子姉ちゃんは言う
暴力団関係者を連れていらしたことで、危険な目に合いましたのは、ここに居るわたくしたちですからこのことが父や祖父が知ることになれば、全ての家が水島家とご縁を断ち切ることになります
桃子姉ちゃんの言う通り全ての名家によって、水島家は村八分にされることになるだろう
大事な本家の娘たちを窮地に陥れたことになるのだから
また、香月家からすれば本家の邸宅でのパーティにそんな輩を連れて来られるのは顔に泥を塗られたも同然のことだし
唯一、間に入ることのできる歌晏家までが、水島家を責めるということになったら
水島の家を擁護してくれる家なんか、見つかるはずがない
まあ何てことかしら
でも仕方ないのよね
ええこれは、水島様がなさったことが原因でございますもの
わたくしの父も水島様をお許しにはならないと思いますわ
そうですわねわたくしの祖父もきっと
香月様のお家に対するご無礼だけでなくわたくしたちの家、全ての名家に対する不祥事ですものね
水島老人はここまで大きな問題になるとは、全然考えていなかったんだろう
関西ヤクザにどういう経緯に脅され天童乙女をスパイとして潜入させることに同意させられたのかは判らないけれど
もし、バレでも適当にジッちゃんに謝れば、許してもらえると思っていた
それはずっと名家というぬるま湯の中で生きてきて、困ったことがあればジッちゃんや歌晏家みたいな大きな家の人に相談すれば、大抵のことは何とか助けてもらえたから
そういう甘えた関係が、ずっと続いてきたからのことで
では水島家は、お取り潰しになるの香月様は、そういう決意をなされたの
桃子姉ちゃんが、可憐さんに尋ねる
水島様の家も古いお家ですわこんなことで、消えてしまうのは
狩野さんも、残念そうにそう言う
名家は減らしたくないというのはジッちゃんだけの思いではないらしい
わ、わたくしそれであの決意を致しました
可憐さんはジッちゃんからの提案でなく、自分の意志として話をしようとしている
わ、わたくし水島可憐は香月みすず様の臣下にしていただきたいと思います