靴の踵に仕込むとか、色々とできますから
それで天童乙女は今は靴を履いていないんだな
それで何か見つかった
いいえ例の毒薬のカプセルだけです
木下さんは、答える
そりゃそうネコウヅキ家の本家のパーティに、スパイを潜り込ませることはできても
そうねこっさり爆発物を持たせて自爆させるような度胸は、暴力団の皆さんには無いでしょうね
イーディの言葉に、鳥居さんが続けた
そんなことをして名家のお嬢様たちに死傷者が出たら暴力団組織は、確実に壊滅することになりますもの
今は香月家と関西ヤクザが対立しているだけだ
他の家も巻き込んだらこの国の政財界の権力者全員を敵に廻すことになる
あたしは、何もしゃべらないからなっあんたは、あたしの心の中が読めるんだろっそれで勝手にあたしの中から情報を引き出しなよっあたしは、協力する気は全くないからねっ
天童乙女は、また大声で喚く
そんなことしなくてもイイのネ
ダッテ、アンタは組織の捨て駒ネロクなことは知らされていないだろうしむしろ、敵はアタシたちの中に人の心が読めるコがいることを知っているノネ最初から、アンタに嘘情報を教えてアタシたちをかく乱するつもりなのネ
さあ、どうだろうねっ
天童乙女は、強気でそう言うが
ダッテアンタ自身が、組織に教えられた情報を嘘だなあって思っているんダロ
うろたえる天童乙女
イーディさんのおっしゃる通りです
月子が心を読んでいる
この人は、記憶の中でそんなのありえない信じられないって思っていらっしゃいますから
ああ、組織に教えられたことを天童乙女自身が、信じていない
そ、そんなことはないからなっあ、あたしはっ
慌てて叫ぶ天童乙女
ちょっと、でかすぎるぞ声が
うん、うるさいですわ耳が痛いです
そんなに怖いのかこうやって、オレたちに捕まっていることが
ギョッとてして、オレを見る天童乙女
こ、怖いだってあ、あたしがっ
潤んだ眼を大きく見開いて、オレを睨む
そんなこと、あるわけがないだろっああああんっ
ああ必死で虚勢を張っている
まあ、そうだな怖いに決まっているよな
怖くなんてないって、言っているっ
だからいいって、怖がっているのはよーく判っているから
怖くないってんだよぉっ
あの黒森さんも人の心を読む力があるんですの
鳥居さんが、オレを見る
いや、そんなの無いですよ
じゃあ、何でこのスパイが、怖がっているって判るんですの
こんなにでっかい声で、ギャーギャー喚いているからですよ
腹を括って、覚悟ができていたらもっと小さな声で、それも低い声でゆっくり話すんですよ人間は
ああ、鳥居さんには、よく判らないらしい
マリコは頭は良いけれど修羅場を潜り抜けてきた経験は、アタシたちのDarlingの方が断然多いのネ
多分なんだけれど天童さんは、スパイとして今日のパーティに潜入して死ぬ覚悟で行けって言うか、ホントに死んで来いって言われてきているんだよね
オレは、彼女にそう言う
この娘は馬鹿ではないと思う
関西ヤクザに使い捨ての捨て駒にされるということは最終的には、香月家の敷地内で変死しろということだというのまで、ちゃんと理解しているはずだ
で、天童さんはそう命令されたんだから、こんちくしょう、死んでやるって覚悟して、ここへやって来た
だからパーティの時の、天童乙女の行動は大胆だった
堂々と、香月家が不利なるような裏工作をやっていた
でも、本当のところは心の一番奥底では、こんな下らないことで、死にたくないって思っているんだよね
オレの言葉に、天童乙女は物凄い形相でオレを睨むだけだった
だから最初に意識を取り戻した時は、反射的に逃げようとしたんだ隠しておいた毒薬を飲んで、自殺するわけでもその場に居た月子を人質にするわけでもなく、真っ先に部屋から脱出しようとしたんだからそれで、イーディに阻止されたぐらいの時になってハッと自分は死ななくちゃいけないってことを思い出したんだよね
だから、月子に髪や下着に隠した毒薬の存在を関知されてしまった
で、アタフタしている間にイーディがノック・アウトしたのかそれとも、月子が気絶しろって命令したのか
アタシが気を放って、動きを止めた瞬間にツキコが命令したノネ
つまり天童さんは組織に命令されたから死ななくちゃいけないって思っているけれど、同じくらい死にたくないって思っているんだ
アンタはあたしを馬鹿にする気かいっあたしは死にに来たんだっ命を捨てに、ここへやって来たんだよっ
ダーカーラー
声がデカイのネ
喚けば喚くほど天童乙女の心の不安が透けて見える
ダイタイ、マンコ丸出しでソンナことを言ってもカッコ付かないノネ
ホラ、興奮しているカラ乳首を勃起しているヨ
ノーブラにされた天童乙女の服の胸先にポツっと乳首が浮いて見える
恥辱に顔を赤くする天童乙女
無理することないよ天童さんだって、まだ高校生だろ命令されたから、はい、死にますとかできるわけないってば敵の本拠地に1人で潜入しろとか、そこで憤死しろとか怖くてたまんなくて当然なんだよ
むしろ、この人はよく頑張ってたと思う
怖がってなどいないっそんなことは、あたしには許されないんだよっ
また大きな声で、天童乙女は叫ぶ
あたしは日本一の侠客の娘だよっここで死んでみせなくちゃ、あたしの侠気がすたっちまうんだよっ
色々と込み入った事情が、お有りなようですわ
月子が彼女の心を読んでいる
ソウでもないネ意外と単純なことだと思うヨ
ドコの国でも裏社会の組織にとって、一番大きな仕事は嫌がらせネ
嫌がらせ
人殺しとかは、リスクが高いだけであんまりお金にならないのネ基本は、嫌がらせヨ誰かに頼まれて、誰かに嫌がらせをすることもあるネ自分から嫌がらせを仕掛けて、お金持ちから金品を強請り取ることもあるネ他の仲間の組織と組んで、嫌がらせを止めさせてやるからって仲介料を取ることもあるノネとにかく嫌がらせが一番の稼ぎの元なノネ
あああからさまな犯罪行為をするよりも
ネチネチと嫌がらせを繰り返して、繰り返しお金を強請り取る方が楽なのか
ダカラ、裏組織というものは基本的に人が悪いノネ性根の悪いヒトでないと出世できないノヨより陰湿な嫌がらせを堂々と仕掛ける方が自分が悪いのに、逆ギレしてさらに酷い嫌がらせをするような人でないとボスになれないのよ
ああ、なるほど勉強になるわ
そういう人間の集団だからよく、身内同士でも嫌がらせをし合ったりするノネ