今回水島家によって、被害を被ったのは香月様ですだから、この件には歌晏様は介入なさいませんしできません
あらあなたは、ご主人様とは違って、良く判っているのね
翔姉ちゃんが、アーデルハイトさんに言う
わたくしはアカデミーで、各国の上流階級の事情というものも詳しくレクチャーされていますから
なるほど短期コースでも、そういう授業があるのね
この2人は同じヨーロッパのアカデミーの出身者だ
じゃ、ここから先はわたくしが解説致しますね
翔姉ちゃんが、にこやかに鳥居さんに言う
今日は、水島様と鞍馬様の不祥事がたまたま同時に明るみになってしまいましたが
水島家は関西ヤクザに脅されて、香月家に天童乙女というスパイを連れて来たこと
鞍馬家は外国人投資グループに騙されて、伝統ある鞍馬閣の建物と庭園を破壊してしまったこと
どちらも問題の根は同じですわ
同じ何がよ
鳥居さんが、聞き返す
全然違うでしょ水島さんは暴力団絡みだし鞍馬さんは、高層ホテルへの建て替えが上手くいかなくなっただけですし
困った状況になってもどうせ、最後には香月閣下がお救い下さるという甘えがあったことですわ
閣下が今の時代まで存続している名家は潰さずに次の時代へ残したいと考えられていることは、皆様、ご存じですから
ああ可憐さんの祖父の水島家の祖父は、ジッちゃんへの謝罪の電話で
今回の責任を取って、自分は当主を退くから香月家の力で、水島家を再建してくれみたいな要請を平然としていた
ジッちゃんが名家のリーダーの家の1つである香月家が、そうするのは当然なことだと言わんばかりに
鞍馬家だってジッちゃんの忠告を無視して、外国の投資グループを信じて、資金難になったのに
鞍馬姉妹をみすずのパーティに出席させて娘たちの口から、ジッちゃんに救援を直訴させようとした
そうしたら、きっとジッちゃんは、資金を提供してくれて鞍馬家の危機を救ってくれるだろうと考えて
そんなことは判っているわよだから鞍馬さんたちは、名家としての地位を剥奪されることになったんだし、水島さんはみすず様の臣下になることになったんでしょ
でもそれは形だけのことでしょだって鞍馬さんのご姉妹だって、水島さんだって名家のお嬢様ですわ
鳥居さんはみすずが、本気で可憐さんをペットにしようとしていることも
鞍馬さんが、娼婦に堕とされることになっていることも知らない
そうね鳥居さんだけでなく先ほど、お帰りになられたお嬢様たちも、そうお考えなんでしょうね
不祥事のペナルティとして、こういうことになったが現実には、香月家は彼女たちの名家の令嬢として手厚く保護するし、プライドを傷つけるようなことはしないと
でも、そうはならないわ
驚く鳥居さん可憐さん
だから、桃子お姉様は見届け役として、鳥居さんを残されたのよ香月家が、今回の件に対して苛烈な処分を行ったという証人として
はい二度とこのような不祥事が起きないようにするためには罰を徹底するしかありませんから
可憐があたしに試されているようにあたしも、今、お祖父様に試されているのよここで水島家という名家の令嬢だからって、臣下になったはずの可憐を甘やかしたらそんな人間には、将来の香月家の舵取りは無理ですものねあたしは、お祖父様の後継者失格になってしまうわ
みすずは翔姉ちゃんを見る
関さんや藤宮さんもそうここで、あたしを止めたり諫めたりしたら香月家セキュリティから、放逐されるわ香月家がどういう家で、どんな立場の存在なのか判っていないということだもの
翔姉ちゃんも、レイちゃんもただ笑っているだけだ
可憐あたしの臣下になった以上は、どんな理不尽な命令にも従いなさいそれが嫌なら、今からでも水島家にお帰りなさい
みすずは、可憐さんにそう言う
でも、わたくしが逃げ帰ったら水島の家は
滅ぼされることになるでしょうね香月家が直接手を下さなくても他の家が、全面的に水島家を攻撃するでしょうから
名家の秩序を乱す家を他の家は許さない
世の中を動かしている人たちが、全員、名家の人間というわけではないわむしろ、名家とは関係の無い政財界の人たちの方が多いのよだから、今の時代名家は結束して、お互いを助け合わないといけないそうしないと、新興勢力に呑み込まれてしまうから名家の財産を食い物にしようとしたり、栄誉ある古い名前だけを利用しようとする悪い人たちもたくさんいるんだから
残念ながらわたくしの鳥居家も、そういう家だと思われておりますわ
鳥居家は古くから続く名家ではない
ただ、鳥居まり子さんは祖父が、名家の狩野家の人だから、準・名家のお嬢様として認知されている
そんなことないわあたしたちが鳥居家に疑いを持っているのならまり子さんを今日のパーティに招待致しませんし、そもそもあたしたちの学校にだって通えないわまり子さんの考え過ぎよ
鳥居家が名家に敵対する家でないと評価されているから鳥居まり子さんは、みすずたちの学校に通うことが許されている
でも、今みすず様は、名家は結束するものお互いに助け合うものだとおっしゃいましたわね
鳥居さんは尋ねる
ええ、言ったわ
でしたら水島家の大人の世界のことは判りませんが、幼い可憐さんには優しくしてさしあげるべきなんではございませんか
あたしたちは、いつまでも子供のままではないのよみんな、大人になるのよ
可憐さんを見る
大人の皆様のことはお祖父様にお任せ致しますわでも、あたしたちはあたしたちの世代だって、すでに始まっているんですから
始まっている
鳥居さんが聞き返す
可憐だってあたしの臣下として、このまま香月家に残った方が自分と香月家の結び付きが強くなった方が、将来的に水島家にとって有利だと判断したはずなのよ
ジッちゃんとの会話した時に
そう考えたからみすずの臣下になることを承諾したわけで
だから、あたしが可憐に余計な気遣いをしてはいけないんですわこの子自身が、自分で決めたことなんですから元が名家の令嬢であろうとも、今はあたしの臣下ならあたしの命令は、全て従ってもらいます
命まで差し出せとは言わないわでもどんな時でも、あたしに仕えてくれていることを信じられないような子は、臣下として必要ありませんあたしたちが生きている世界は、本当に苛酷なんですから
みすずの臣下だけれど水島家のお嬢様だからって、可憐さんだけを特別扱いするわけにはいかない
思い空気が、浴室と脱衣場に漂う中
ホント全然、判ってないノネ
イーディが、苦笑してそう言う
鳥居さんが、イーディに尋ねる