原材料だけ、車に積む
えっと、学校へ行くのは
オレと、克子姉と、メグと、可奈センパイと、愛と、寧と、イーディとマナ
お待たせ、ヨシくん
ああ、みんな制服に着替えて、やって来た
こんなんでいいお兄ちゃん
マナは、少し大人びた赤いロングスカートを履いてきた
うん、確かに14歳には見えない
不思議な色気と、謎の貫禄がある
今のマナさんなら、うちの部の女の子たちも高飛車な態度には出られないと思うわよ
可奈センパイが、太鼓判を押してくれた
ああ、オッケーだマナ
オレは時計を見る
午前8時15分
日曜だから運動部の練習開始は、ほとんどが9時からだ
みんな部室棟に居るだろうから、練習前にお礼に行こう
ありすちゃんたちに、着替えて待っているように言っておいたわ
ああメグたちは、そのまま一日学校だけれど
オレと克子姉は、朝だけですぐに、御名穂姉さんの新しい娼館へ向かわないといけない
そこへは、ありすとミタマとキヌカも連れて行くから
あ、可憐さんも連れて行くわよ
可憐も
お医者さんに連れて行かないといけないでしょ
ああ処女喪失後の検診か
今日は、あっちの施設に池田先生に来ていただくことになっているから
オレが研修で、娼婦候補の子の処女を奪うから
そのまま、池田医師に診てもらおっていうことか
だから、一緒に可憐さんも
うん可憐はありすに懐いているから、もうしばらくは一緒にさせておく方がいいな
判ったとにかく、学校の方を済ませてしまおう
昨日のお礼と無料試食会の説明をして
克子姉は、パン工房でテニス部の子たちにマナを講師として紹介しないといけない
後は愛を中心に、みんなでやってもらう
オレと克子姉は、先にお屋敷に戻って車を替えて、御名穂姉さんの居る駅前ホテルの地下施設へ向かう
そういう段取りになる
ふわぁぁ、お早う何で起こしてくれないのよ
雪乃が眠そうな顔で、やって来る
学校へ行くけれど雪乃はどうする
あたしは行かないわよ日曜日よ部屋でゴロゴロしてるわよ
あ、そうなんだ
あんたが出掛けるっていうから、顔を見に来ただけよっはい、行ってらっしゃい気を付けてね
やる気なさそうに、雪乃はそう言った
ああ、行ってくるよ
雪乃って、ホント面白いわよねそんなに公のこと好きなの
まり子が、渚とハイジと一緒にやって来た
ちょっ、あたしは違うわよっ
照れない照れない可愛いわよ雪乃っ
まり子ちゃん、あたしたちはこっちの車よ
はーい、渚さん
お先に失礼致します
渚の外車に、まり子とハイジが乗り込んでいく
はーい、学校へ行く人たちも乗って
ふん気が変わったわやっぱり、あたしも行くから
雪乃が、バンに乗り込もうとする
いや、雪乃定員オーバーだから
オレは制止する
ほら、オレと、克子姉と、メグと、可奈センパイと、愛と、寧と、イーディとマナこのパン、8人乗ったらいっぱいだよ
ペットボトルの段ボールと、パンの材料も積んでいるし
ユキノの席、無いノネ
イーディが、ヌフフと笑った
というわけで、久々の学校編へ
雪乃を連れて行くがどうかは、これから考えます
それからGレコは面白いです
1095.新しい朝 / ケイ・オン
何か、あんたたちだけ学校に行かせるのはシャクなのよあたしも行くわ
しかし、連れていっても雪乃の居場所が無いぞ
パン工房は、テニス部の子たちに来てもらうんだし
寧と一緒に、校長室の下の部屋で2人きりっていうのも
ていうか、昨日のメグのお礼をしに行くのに雪乃が一緒だと、ややこしくならないか
マナもいるしな
お邪魔のようですから、雪乃さんはわたくしたちとお留守番致しましょうね
とガレージと屋敷の中を繋ぐドアから、月子が現れるヨミも一緒だ
な、何よあんたたち
公様のお見送りですわルナたちは、アニエスちゃんとお勉強に行きましたから
雪乃さんも、わたくしたちと一緒に笑顔でお見送りですわ
あたしあんたたち姉妹が、一番苦手なのよね
雪乃がムスッとして、月子に言う
存じ上げておりますわ
わたくしたち、雪乃さんの心の中も読めてしまいますから
そうですわだから雪乃さんの足止めには、わたくしたち姉妹が適任だと思ったんですわ
ヨミの発案か
うん、ヨミ1人よりもここは月子の出番だな
鷹倉姉妹の巫女たちの中でも月子だけは、雪乃より年上だし
不思議な包容力があるけれど雪乃は、そういうふんわりした感覚が極めて苦手だから
何でしたら、力で、お屋敷にお残りいただくことになりますけれどどうなさいます
挑戦的に微笑むヨミに、雪乃は
判ったわよ残ればいいんでしょ、残ればだから、その変な力であたしの頭の中を弄くらないでよねっ
あっさりと敗北を認めた
じゃあねーっ、留守番よろしく、お姉ちゃーん
マナが車の中から、実姉に言った
では、行ってらっしゃいませ皆様
皆さん、気を付けてね
うな垂れる雪乃の横で月子とヨミが、オレたちに手を振る
さて、出発だ
克子姉の運転する業務用バンでお屋敷の外へ
渚の車は、学校とは反対側の方向へ走っていった
車のリアウインドウから、ハイジとまり子が手を振ってくれた
みすす、瑠璃子、美子さんが居るから正門外の香月セキュリティ・サービスの人たちは、通常通りの数の車輌が揃っている
一方、公安警察の車輌は1台きり
これは、キョーコさんとミス・コーデリアが、現在、関西で暴れ回っているからだろう
学校の裏門から入って、そのまま部室棟に横付けしちゃうわ
運転席から、克子姉が言う
あ、だったら、あたしは途中で降りるよいつもの教職員用駐車場から、地下通路を通って、監視室へ行くから
お屋敷からオレたちの高校までは、ほんの数分だ
しかも、裏口なら正門へ廻るよりも早い
監視装置やセンサーが山のように仕掛けられている裏口の門を克子姉は、遠隔操作で開ける
黒森の人間しか、この秘密のゲートを開けることはできない
そのまま教職員用とは名ばかりの、実際は黒森家専用の駐車場へ向かう
表から見られないように駐車場の前を隠しているコンクリの無骨な倉庫が実は、黒い森の隠しガレージであり、校長室の地下の部屋へと通じる秘密通路の入り口になっている
ありがと、克子お姉ちゃんじゃ、ヨッちゃん、みんな頑張ってねっ
寧がバンから降りる
開けるわよ
隠しガレージの入り口も、克子姉が車の中から遠隔操作しないと開かないようになっている