それでも、庶民ではないんだな
その3人の子たちは基本的に、グループになって固まっているのよというより徳大寺さんや黒沢さんたちとは、合わないのよねほら、あの子たちはヤクザ世界で成長して来た子だから
それも普通のヤクザ界から、さらにハミ出している天童貞男グループだしな
腹の括りっぷりは一番なのよ忍耐力はマックスよ徳大寺さんも黒沢さんも、もう地元には帰れないことは判っているし
天童貞男たちは仲間の娘である徳大寺さんを輪姦していたし
しかも、自分の親分の家に突撃して銃撃戦をして全員死んでいる
関西ヤクザの親たちに対しては、憎しみしか感じていない上に故郷にはもう戻れる場所が無い
でも、3人の子の方は今は、顔を合わせては家族や故郷のことばかり話しているのお互い似たような境遇だから、すっかり打ち解け合っているのよねでも、そういう彼女たちの様子が徳大寺さん、黒沢さんは嫌なのよ
自分たちには家族や故郷のことは思い出したくないから
逆に3人の子たちから見たら、徳大寺さんたちは柄が悪く見えるのよねヤクザの子だって黒沢さんが、一度機嫌が悪いときに、自分から話しちゃったから
ああそこそこの良い家の娘たちからしたら、相手の素性を知ったら警戒するよなぁ
で新人さんたち全体の空気が悪くなっているわけ
あれ美里さんは
他の子たちが、そういう感じになってて美里さんは、どうしている
それがねほぼ空気
空気
美里さんはお嬢様過ぎるのよ喋り方から、身のこなしまで優雅で上品なのよだからそこそこの3人からも関西の娘の2人からも敬遠されちゃっているのよ話も噛み合わないみたいだし
今まで、幼稚園からずっと超お嬢様校だもんなあ
普通の子とは合うはずがないか
それで美里さん1人と、そこそこ3人と、関西の子2人の3つのグループに分かれちゃっているのよ
それでも、美里さんはずっとニコニコして微笑みを絶やさないのよほんわかしているんだけれどでも、孤立しているから、ちょっと心配になってきちゃって
それで今日妹のありすや、ミタマ、キヌカと会わせるんだ
あなたちともね少しは、精神状態を和らげてあげないとパンクしちゃうかもしれないから
あなたを投入することで今、3つのグループに別れているあの子たちにショックを与えたいのよそれで何とか、6人が融和するように仕向けたいのよ
オレにそんな力はあるのか
ま、どっちにしても3人のそこそこの子のヴァージンは奪っちゃってちょうだい今日の研修のメインはそれだから
でもどんな子たちなの
オレはまだ会っていないし顔も見ていない
御名穂お嬢様が厳選なさったんだから美人よ
ニヤッと、克子姉は微笑む
後は実際に、向こうへ行ってから自分の眼で確かめなさい
ああ余計な事前情報はない方がいいのか
直接会って一つ一つ、自分で確認した方がいい
どっちにしても今日の研修に幸代ちゃんは入り込んでもらいたくないのよ
うんあの人は話をややこしくするだけだもんな
とにかくミナホ姉さんが、岩倉さんの介入を防いでくれることを祈ろう
車はお屋敷の門に到着する
食堂でお茶でも飲んでてあたしは、お嬢様にもう一度連絡するわ
バンをガレージに入れると克子姉は、奥の部屋へ入って行った
さっきのバイクのオッサンが、どれだけ爆走してもまだ駅前ホテルのミナホ姉さんのところに、岩倉さんを届けてはいないはずだ
今のうちにミナホ姉さんと、今日の細かい段取りについて相談したいのだろう
オレが、食堂に向かおうとすると
お戻りなさいませすぐに出発致しますか
ありすと可憐、ミタマとキヌカがやって来る
ありすと可憐は香月家のパーティに着てきた美しいドレスに着替えていた
ミタマとキヌカは見掛けない、セーラー服姿だ
その制服は
もう、元の学校の制服は着られませんのでこちらのお屋敷にあったものを拝借いたしました
ああミタマもキヌカも、鞍馬姉妹の護衛役として超お嬢様校に通っていたけれど
主の家が没落して、あの学校に通えなくなった以上はミタマ・キヌカも通えない
ミタマは、オレたちの高校にキヌカは、マナたちとミナホ姉さんが見つけてくれた中学に編入することになっているけれど
まだ、制服ができていないからな
なぜ、このお屋敷には様々な様式の女学生の制服が揃っているのですか
なぜなのですか
もしくは様々な様式の、女性看護師の制服が
服が
セーラー服とナース服
ミタマ、キヌカは真剣な顔で、オレにそう聞くが
オレも、ここのお屋敷に住んでまだ半年ちょいだから、よく判らないけれど昔、このお屋敷にコレクターがいたんだろう
男は、女の子にそういう服を着せてセックスするのが好きなんて、ホントのことを教えると
ミタマとキヌカは毎日、セーラー服とナース服を取っ替え引っ替えしそうだから
コレクター
レクター
世の中には、他の人には何で集めているのか判らないけれどひたすら、同じジャンルのモノを集め続ける人間がいるだから、きっとここに、制服コレクターが居たんじゃないのかな
オレも、真顔でそう答える
キヌカ、ミタマユキヒト伯父様が、珍しい切手のコレクションをなさっていたでしょあれと一緒よそうでございますわね、黒森様
ありすがオレに微笑む
まだ緊張している可憐の手を、ギュッと握りしめて
年下の妹ができたことで、ありすは変わった
憑き物が落ちた様に、晴れやかな顔をしている
なるほどそういうことですか
しかし、制服をコレクションしていた方は今、いずこに
ミタマとキヌカが、オレを見る
ごめん、それは克子姉に聞いておくよオレだと判らないから
とりあえず、誤魔化した
あー、克子姉が今、向こうに電話しているから出発は、ちょっと遅れるってさ食堂でお茶でも飲んで、待ってて欲しいって言ってたよ
慌てて、話を変える
そうでございますかでは、黒森様参りましょう可憐、黒森様と手を繋ぎなさい
ありすが、可憐に言う
ありすお姉様
可憐はおどおどしている
どうしたのですわたくしたちの大切なご主人様ですよ
可憐が、オレに手を差し出し
うん、可憐
オレは笑って可憐の手を握る
これで可憐は右手をオレと、左手をありすと繋いでいる
3人並んで廊下を歩くと、後ろからミタマとキヌカが付いて来た
身体は痛くないか
昨日、破瓜したばかりの可憐にオレは尋ねる
恥ずかしそうに、うつむく可憐
それでは判らないわ黒森様は、可憐を心配してお尋ねになられているのよ
優しくありすは言う