ちゃんとした服を着ているのはオレと寧と真緒ちゃんだけだ
もっとも、真緒ちゃんがこの後、外に出動するわけがないけれど
はーい、冷たいお茶の準備ができていますよっ
ソファなんかのある大きめの広間にマナが待ち構えていた
マナも裸Yシャツにエプロンを掛けていた
あら、綺麗な子ね
鳥居さんが、ついそう言ってしまうほど今のマナは、美しい少女になっている
あ、お兄ちゃんがお世話になっていまーす
ペコッと頭を下げる
あたし、お兄ちゃんの妹のマナですっ
妹黒森さんの
それで、確かそっちの人はお姉さんだったわよねぇ
鳥居さんは寧を見る
何か文句あるのっ
いえお姉さんと妹さんは、とてもよく似ていらっしゃるけれど黒森さんとは、あんまり似ていないなあって
寧とマナが似ている
いや、寧は超絶美少女だしマナもどんどん綺麗になっているけれど
ああ、あたしとお兄ちゃんは血は繋がっていないんです
マナは、ニコッとしてそう言う
はいだからいっぱい、セックスしてもらっていますお兄ちゃんの赤ちゃんだって産みますよ血が繋がっていないんですからっ
軽やかにそう言うマナに、鳥居さんは
そ、そうなのま、人の家のことは良く判らないから、何ともわたくしには言いようがないけれど
マナは、お兄ちゃんに幸せにしてもらっていますからっ何も問題はありませんっ
あ、はい、そうですか
タジタジになる鳥居さん
アナタはお嬢様たちの中では、規格外で自分は飛び抜けていると思っているんダロウケド
イーディが、鳥居さんに言う
世間ではもっとブッ飛んでるコたちがいるノネユキノとかと話をしたら驚くと思うヨ、あのコ、アバンギャルドなのネ
ああ、そうだな
鳥居さんみたいな子は、雪乃と話してみるといいのかもしれない
あ、来たわね
ミナホ姉さんが部屋に入ってくる
もちろん2人とも、ちゃんと服を着ている
皆さんはくつろいでくれていていいんだけれど天童さん関係の話を詰めちゃいたいから
そっちのソファのあるコーナーにみんなで座って話しましょうか天童さんと月子さんは付いていてくれる
はい、黒森様
麗華さんは外していて天童貞男さんの処理は、香月セキュリティ・サービスでなく、黒森家で行うことになったから
はいじゃあ、真緒ちゃんたちとあっちでお茶をいただいています
はい、お兄ちゃんたちちょっとお仕事の話があるから、向こうへ行ってようねっ
マナが真緒ちゃんに声を掛ける
えー、やっとパパと遊べると思ったのに
わがまま言ったらダメですのっさっ、向こうへ行きますのっ
アニエスが率先して、マナを連れて行ってくれようとする
コヨミちゃんとルナちゃんも真緒ちゃんと一緒に居てあげて
つまり、ヨミは実働部隊に組み込むのか
真緒ちゃんの好きなカフェ・オレもあるからっ
真緒ちゃんが好きなのはミルクをドバドバ入れすぎているから、カフェ・オレというより、コーヒー牛乳に近い飲み物なんだけれど
判ったパパ、真緒、向こうに居るからね
ああ、みんなと仲良くしているんだぞ
マナが真緒ちゃんたちを連れて、部屋の奥へと向かう
わたくしも、あちらへ行っておりましょうか
瑠璃子が、そう言うが
いえ、瑠璃子さんはみすずさんと一緒にここに居てちょうだい
一応、何がどうなっているのかは知りたいでしょ
ですがわたくしは別に、後でお知らせしていただくだけでも結構ですから
マナちゃんだけに、小さな子のお世話をお任せするのは申し訳ありませんし
瑠璃子の心は、すっかり主婦になっている
大丈夫だよレイちゃんもいるし
レイちゃんも小さい子好きだから真緒ちゃんたちと仲良く遊んでくれると思う
香月セキュリティ・サービスの皆さんには外れていただきましたけれど香月家の方には、この場には居ていただきたいのよ
そういうことでしたらあの、御名穂お姉様
美子お姉様は今はどちらへ
姿を見せないもう一人の香月家の娘美子さんのことが気になるらしい
克子と一緒に、皆さんのお夕飯の準備をしているわ大丈夫よあの子の方は、克子が見ていてくれるから
ああ、克子姉と一緒なら大丈夫か
こういう時に、どう振る舞うべきか美子お姉様は、まだ決めかねているんだわだから、今はね
みすずが、瑠璃子にそう言う
で鳥居様とその警護のアーデルハイト鹿取さんでしたわね
ミナホ姉さんは、2人を見る
そ、そうよそれが何だって言うのよ
鳥居さんは、ミナホ姉さんに少しビビッている
鳥居様は、歌晏桃子様からのご依頼で見届け役としてこちらにいらっしゃるようですが
ここから先は後戻りできなくなりますよ今のうちに、向こうの女の子たちの方へ行かれた方が良いと思いますけど
な、何なのよあなた
プレッシャーに負けて、鳥居さんは強く出る
さっきもソウだったけれどあなた何者どうして、わたくしに名乗らないの
そうださっきパーティの席に姿を現した時も
ミナホ姉さんは、自分が誰なのかを話していない
名乗らないことが答えなのよ
みすずが、鳥居さんに言う
はあ意味が判らないわこの人は、わたくしが誰なのか知っているのに自分のことはわたくしに話さないそういうのって不公平なんじゃありませんかっ
裏の世界の方だからですよ
アーデルハイトさんが鳥居さんに言う
裏の人間だからこそまり子お嬢様が、この方と面識があるというのはマズいことになるんだと思いますこの方のお名前を知るべきでないでしょうしこうして、今、話していることも記憶から消すべきなんだと思います
そして天童乙女を見て
天童さんが関西から持ち込んで来た災厄は非合法な手段でないと、解決できませんから香月セキュリティ・サービスはオモテの世界の企業ですからあんまり無茶なことは、できませんわだから、ここからは裏の住人あたしたちの出番ということになるんです
そういうことになるんだろうな
ですからまり子お嬢様は、あちらへ
はぁ、ハイジあなたは残るつもりなの
この方はまり子お嬢様にしか警告なさっていませんわたくしはもう
もうって、何よ
あのわたくしたちは、先ほどの浴室でそのみすず様や瑠璃子様たちのとてもプライベートな状況を見てしまったんですよ
ちゃんとセックスって言いなさいネ
絶対に外部の人間に漏らしてはならない秘密を知ってしまったんですまり子お嬢様は、それでも鳥居家のお嬢様ですから、お目こぼしがあるでしょうがわたくしは
どうなるって言うのよ
鳥居さんは、ポカンとして尋ねる
この人は、全然、自分が背負っているリスクに気付いていない