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損得勘定でなければ、何で判断しろというのです

必要かどうかだよ

お互いがお互いを必要としているかどうかが、大切なんだ

それが損得勘定ではないのですか

アーデルハイトさんは、オレを睨む

違うオレのためにオレの家族がいるんじゃないオレは、オレの家族を幸せにしたいからどんなことだって、頑張れるんだもし、それで家族が幸せになるのならオレは、いつ死んだって構わないと思っている

ヨッちゃんそれはダメだよっ

強い声で寧が言った

そんな理由で、ヨッちゃんが死んだら家族のみんなは幸せになれないからねっヨッちゃんも、ちゃんとみんなと一緒に自分も幸せになることを考えないとさっ

家族の幸せ

水島可憐さんがポロっと、そう呟いた

家族とわたくし

ああ、色々と悩む状況にあるんだな

あなたの家族は、あたしたちよ

みすずが、可憐さんを抱き締める

すぐに、その意味が判るわ

判ったよ負けだ負けだ負けだあたしの負けだ

天童乙女が、大きな声でそう言う

よくもまあ、ここまで専門家に尋問させるどころか、拷問もせずこのオンナの巫女の力で強制的にあたしの心をこじ開けるでもなくあんたたちの愉快で楽しそうな、ヘンタイセックスまで見せつけてくれてさホント、馬鹿にされたもんだよちくしょうっ

苦々しげに、そう吐き捨てる

アンタ黒森御名穂さんかい

天童乙女が、ミナホ姉さんを見る

天童乙女は、関西のヤクザに命じられて潜入して来たのだから

巫女の力の秘密も、黒い森のことも知っている

あんたはあたしたちを助けてくれる気があるのかい

それは、あなた次第ね

ミナホ姉さんは、相手の眼をジッと見つめている

あたしたちが助かったらあんたのところで働かされるのかい

ああ黒い森は、娼館だから

うちは、高級娼館なのよ高く売れない子は、必要ないわ

でも、今のままのあなたたちなら売春だってできないんでしょ

あたしたちが判っていることを話してもいいかしら

天童乙女は答える

関西から上京してきたヤクザの皆さんたちそのリーダーがこの子のお父さんの侠客、天童貞男さんなんだけれどね

ミナホ姉さんは、オレたちに言う

はっきり言うわ全員、半端モノの酷いメンバーだわ捨て駒にしてもいい組織にとっては、どうでもいいヤクザたちを送って来たのよ本当に関西の人たちは、香月家に嫌がらせがしたいだけなのね天童貞男さんたちが、どんなに騒ぎを起こしても関西の組織の人たちは私たちとは関係の無い人たちですって突っぱねるつもりなのよ

最初っから、トカゲの尻尾切りにできるメンバーしか送り込んでいない

逆を言えば送り込まれて来た連中は、ここで大きな成果を上げないと、組織の中で立場が無いような切羽詰まった人たちしかいないのよ

ああ、ヤケクソで来ているんだ

だからこそ、とんでもない無茶なことも一か八かでやりかねない

そういう困ったヤクザの人たちの一団が娘さんたちを連れて、上京してきたわけ

天童乙女さんだけじゃないのよ今回はみすずさんたち、お嬢様をターゲットにして来たでしょだから、関西の組織はただの半端モノでなく、お嬢様たちと年の近い娘のいるヤクザを選んだわけそして、一緒に東京へ来させたのよ

何のためにです

若い女の子同士なら、気を許すネヤクザの娘たちを使って

そうよみすずさんたちの学校に通うお嬢様たちに、無差別テロを仕掛けようとしたのよ

イーディの言葉に、ミナホ姉さんが答える

無差別テロですの

警護役のいないお嬢様も多いだろそういう子と接触して誘拐するとか、途中でオヤジのヤクザが現れて乱暴するとかそれで恨むんなら、香月家を恨めって言い捨てればさ

それをさお嬢様たちが警戒する前に、オヤジと娘でグルになって同時多発的に事件を起こせって

なんて酷い

鳥居さんが、怒りに震える

でもあなたは、お仲間の娘さんたちに、そんなことをさせたくなかったのですわね

天童乙女の中に湧き上がった記憶を月子が読む

当たり前だろっ何だって、オヤジたちの犯罪に、あの子たちが付き合わないといけないんだよっそれも女の子の誘拐やレイプの手伝いなんてさっそんなんで、警察に捕まったらオヤジたちは何年かムショ暮らしをしたら、また組織に戻るんだろうけれどあの子たちの将来はどうなるんだいっ

天童乙女は、叫ぶ

あたしたちは、ヤクザの娘に生まれたってだけなんだっあたしたちまで卑劣な犯罪をやんなくちゃいけないなんて、そんなのはおかしいだろっ

だけどさアイツは言うんだよこれも渡世の義理だやらなくちゃならない仕事なんだってアイツは馬鹿だよっ人間のクズだよっ恩の深い兄貴分からの命令だからって罪も無い女の子たちを傷つけることに渡世の義理があるもんかっ

溜め込んでいた感情を天童乙女は叫ぶ

だから、あなたはお父さんを説得して、自分が潜入工作する作戦に切り替えさせたのね

そうだよっあいつらホント、口ばっかりでじゃあ、どうやって誘拐するとか、レイプするとか何も具体的なプランが思い付かないんだよっ東京へ出て来ても、パチンコ打つか、麻雀するかでさっでも、一緒に連れて来られてきた子たちは学校だってあるんだしさこのまま、いつまでもグダグダやっていたら、関西の親分たちから処分されちまうだろだから、あたしが作戦を立てて関西の組織に提案して、実行したんだ

水島家の警護役に入り込む作戦は天童乙女が立てた

水島様の家を指定したのは

それは組織の上の人からの指示だよあたしの計画を読んでそれなら、水島家へ行けってメールが来たんだ

組織の誰から

ミナホ姉さんが、詰め寄る

口籠もる、天童乙女

あなたもう戻れないのよ

だけどあたしにも、義理がある

ギロッと、ミナホ姉さんを見る

斉藤組の若頭の猪鹿蝶一郎さんという方です

あ、あんた

わたくしに心を読まれたのですから仕方がないですわよね

ニコッと、月子が微笑む

ありがとう月子さん

ミナホ姉さんも、礼を言う

ということは外には3種類の人たちがいるのね

3種類

何にしろ今日のパーティが、天童乙女さんの潜入工作のピークになる予定なのよ何かしらの騒ぎを起こして、香月家の名声を傷つける

そ、それはそうだな

お嬢様たちの集まるパーティで仕掛けて来たんだから

だからもちろん、天童さんのお父さんたちの半端モノのグループも動いているそれからそのヤクザさんたちの娘さんたちこの子たちは天童さんを何とかして助けたいと思っているはずよ

オレたちは外に、天童乙女を救出したいと考えているグループがいると予想していた