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オレが許可しているのは身を守ること

それも、相手の心に深く突き刺さらない簡単な命令だけだ

この方だけは、例外ですわこの方にはわたくしに従いなさいと命じてしまいましたから

そうだ月子は、天童乙女にそういう命令をしている

ですから、わたくし必要がない限りは、ずっと黙っておりますわわたくしの発言がキッカケで、この方の意志が変更されてはいけませんから

そうネここまでのアンタの決定に、ツキコの意志は影響していないヨ

イーディが、そう天童乙女に言う

アンタが、アタシたちと手を組もうとしたコト父親を見捨てる覚悟を決めたのは、アンタ自身の意志だそうだヨネ

それはそうだと思うよ

天童乙女は、巫女の力で自分の意志を曲げられていないことを確認する

あなたには幸いこうやって話す時間が取れたわでも、他の女の子たちにはそんな時間を取ることは無理よ

だからさらに覚悟して欲しいの天童さんも公、あなたも

オレも覚悟をする

8人のヤクザの娘さんたちには巫女の力を使うしかないわそして、強制的にお父さんたちを見捨てさせるのよ

ちょ、ちょっと待ってくれよあの子たちの中にはどうしょうないクズ野郎だとは思っていても、それでも父親のことを慕っていて簡単には、見捨てることのできない子だって居るんだよっ

では、そういう娘さんはお父さんたちと一緒に見捨てなくちゃいけなくなるわね

いや、待ってくれそれはあたしが1時間、いや、30分でもいい時間をくれればみんな説得するから

そういう時間を与える余裕は無いっていう話をしているのよ

ミナホ姉さんはきっぱりと言う

8人の女の子を助けるためには巫女の力で、一気にあたしたちの側に付かせるしかないわ迷ったり、躊躇している時間は与えられないだって、その子たちには監視が付いているはずだから

ドタバタしている間に大人のヤクザたちが来てしまうネまあ、全員、ブッ倒せばいいんだけれどアンタの仲間の女の子を人質に取られたりしたら、厄介なことになるヨ

ああ、親を捨てる決心ができない子が、人質になったら

その子が自分の意志で、こっちに逃げてくることもないだろうし

公あたしはあなた、強大な力を持っていても、可能な限り天童さんに情報開示し、自分の意志で自分の運命を決めさせるという考えは素晴らしいと思うわあなたの常にフェアであろうとする熱意と信念を誇りに思うでもね

いつでも、こうやってたっぷりと時間を掛けていくことが許されるとは限らないのよ時間との勝負の時もあるわだから

時には、敢えて罪を犯す覚悟をしなさい

仕方ないときはどうしようもないと、諦めて

罪を犯す

天童さんもよ8人の仲間の女の子を助けたいのなら一生、その8人に罪を詫びる覚悟もしなさい

彼女たちの意志を無視して強制的に、親を捨てさせる

巫女の力で命じてしまったらその8人の女の子たちは、親を捨てたことを、後悔することさえ、生涯ないんですからね

ああ巫女の力で親のヤクザは見捨てて、自分だけ助かるためにオレたちに付いて来いと命じたら

8人のヤクザの娘たちには親を見捨てたのは当然のことだったという記憶しか残らない

あの時、お父さんを見捨ててしまって良かったのだろうかと、後で後悔することさえ自分ではできなくなる

巫女の力による命令は絶対なのだから

どうするネ

イーディが、天童乙女に尋ねる

それはちっ、判ったよ腹を括るよ

うつむいてそう言う

それでもさこのままオヤジたちと一緒に、ヤクザの世界に囚われていたらさあの子たちの未来は暗いまんまなんだからさ

ヤクザの娘として生まれたということ

ただのチンピラなら、全力で抜け出すこともできるけれどあたしたちのオヤジは、ソコソコに名が通っているからね偉くはなれないけれど、無名でもないだからあたしたちも監視されるまともな学校は、願書を出しただけで落とされる仕事だって、まともな会社は雇っちゃくれないだろうよかといって、裏の商売だってオヤジの名前が知られているから、みんなビビっちゃって雇っちゃもらえないこんなんじゃさあたしたち

グッと奥歯を噛みしめる天童乙女

チクショウ、判ったよあの子たちに対しては、あたしが一生、罪を背負うその代わり、絶対にオヤジたちから、関西の組織からあたしたちを守ってくれよっ

追い込まれた表情でそう言う

アイツらと完全に切れるんならあんたたちの下で、売春でもなんでもするよっちくしょうっ

何で売春するんだよ

オレは、呆れて尋ねた

だってお前んとこは、売春組織じゃないか

いや、黒い森は確かにそうだけれど

だけど黒森御名穂っていう女は、配下の売春婦にはきちんと金を払っているって聞いているよ待遇は良いって引退した売春婦の面倒も、きっちりと見てくれるっていう話だった

地元の関西から離れて親を見捨てて何のコネもないあたしたちが、こっちで暮らしていくんなら、他に生きる道は無いだろ世の中生きていくのには、金が掛かるんだからさ売春させられるぐらいのことは判っているし、覚悟しているよ

あの天童乙女おい

アンタは、そこそこ腕が立つんダカラボディガードとかの仕事もできるネ

イーディが、そう言うが

あたしはそうでも、武術も何もできない子だっているんだっ他の子が売春するしかないってのに、あたしだけ他の仕事ができるかってのっ

最初に言ったと思うけれどあたしの娼館は、可愛い子しか働かせないのよ

あたしはどうなんだいあたしの器量じゃ無理かい

グッと、顔を突き出す天童乙女

あなたは顔と身体は、まあ合格ね

セックス、舐めるな

オレは天童乙女に言った

うちはさ高級娼館なんだよ若くて可愛けりゃ良いっていうんじゃないんだよセックスだってそれなりに才能のある子じゃなきゃ、使えねーんだよっ

アンタvirginダヨネ

イーディが、呆れ顔で言う

天童乙女が、処女であることはさっき風呂場で確認した

そんなのヤりながら覚えるさっ

ヤる前にヤラれるのネアンタ、オンナなんだカラッ

先のことは、8人の女の子たちが助かった後にするわ実物を見ないと、どうしようもないもの

食い下がる天童乙女

すると月子が

ああ、8人の娘の中にとても可愛らしい方がいらっしゃるのですね

天童乙女の心に湧いたイメージを読む

可愛い子だから娼婦にされると思うのですねだからその方と一緒に同じ運命を辿りたいと

自分も一緒に、娼婦になりたい

あなた、その方を愛しているのですわね