他の方々も名家中の名家のお嬢様たちばかりでございますそういう場に、暴力団組織の方を潜入させるというのが、どれほど危険なことかお考えになりませんでしたの
いや、それはその、ごもっともですが私は、知らなかったのです全て父が水島家当主である父が、関西の連中との関係で仕組んだことでして
水島様のお家の中のことは、関係ございませんわもう一度、申し上げますが今日のパーティは、わたくし香月みすずの主催でございました
は、はいそれが
ああ判っていない
水島家が今回なさった不祥事はわたくしの名誉を傷つけるためのものでしたわ
みすずが呼び掛けて、色んな名家のお嬢様たちに来てもらったパーティに
関西ヤクザのスパイである天童乙女が潜入したというだけで不名誉なことだ
結果的には、サプライズ・イベントっぽく処理して、お客のお嬢様たちには楽しんで帰ってもらったから良かったけれど
本来は、メチャクチャとんでもないことだ
実際、天童乙女はみすずや香月家の評判を落とすために、高浜物産のお嬢様を使って裏工作をしていたし
先ほどは名家の当主同士のお話し合いと言うことで、お祖父様がお出になられましたしかし、本来はわたくしが処理しなくてはならない問題です水島家のなさったことで被害を被ったのは、わたくしでございますから
ああ、普段は自分のことをあたしと言っているみすずが
今はわたくしを使っている
つまりこれは、香月家の令嬢としての公式な対話ということになるのか
ご、ご迷惑をお掛けしても、申し訳ありません
可憐さんの父親は謝るが遅すぎる
最初に、みすずにそう言うべきだったのだ
みすずを娘だと思ってナメているから
お祖父様からは今回の件は、わたくしが被害を受けた以上これより先は、わたくしが処理するように言われておりますお祖父様が、水島家のご当主にお申し付けになられた内容はごぞんじですわね
いや、そのちょっと、手厳しいというか何とか、もう少し緩めていただけないかと思い、お電話したのですが
可憐さんの父親も水島家は長く続いた名家だから、ジッちゃんは最後の最後で許してくれると思っているのか
ホントに舐めているよな
あの、その、つまり香月閣下も、私たちが好きこのんで、関西の暴力団の指示に従ったのではないということはご理解いただけると思うんです仕方なかったんですからだって、相手は暴力団ですよ
そんな理由でわたくしのパーティに、良からぬ輩を潜入させるなどということが許されるとお思いなんですの
だって許していただくも、何も私たちには、他に選択肢が無かったのですから
ああダメだこりゃ
そうですかでは、今回も水島家に選択肢はございませんわ
あの他に無いって
すでにご当主様からお聞きでしょうが水島家が、今なさっている全ての事業は、他の名家に分配されることになりますから
みすずは、きっぱりと言う
いや、ちょっと待って下さいそれも父から聞きましたが何もかも、急すぎます横暴ではありませんか
名家の令嬢たちが集まるパーティに、暴力団関係者を連れて来ることは横暴では無いのですか
だって暴力団関係者って言ったって、あんな高校生の女の子1人じゃないですか
根本的にどうしようもない
香月セキュリティ・サービスの調査ですと現在、香月家の本家邸宅の周囲に、関西の暴力団の方たちが集結していますわ
水島様がおっしゃる高校生の女の子1人の手引きで大きな騒ぎを起こす計画だったんでしょうね今、香月セキュリティ・サービスの関さんや藤宮さんに対処していただいていますわパーティに来て下さったお客様たちも、無事に皆様、お帰りいただきましたけれど水島可憐さんの警護役として潜入した女の子に騙された、どこかの名家のお嬢様が誘拐されたりしていたとしたら考えるだけでも、恐ろしいですわ
いや、でもそういうことは起きなかったのですよね
可憐の父は言う
皆さん、無事だったのなら問題は無いではありませんか
水島家のなさったことに罪は無いとおっしゃるんですか
そ、そうは申しませんがちょっと、ご処罰が厳しすぎるんじゃないかと思うのですが
あら、これでも軽くしていただけた方だと思いますわ
と、とにかくみすず様とお話していても、ラチが開きませんあの香月閣下とお話させていただけませんか
お祖父様は、あなたとはお話なさらないと申し上げたはずです
いや、でもみすず様のようなお嬢さんとお話ししても
ダメだコリャ
みすずさん代わりますわ
ミナホ姉さんが、手を差し出す
みすずは、受話器をミナホ姉さんに託す
心配しなくていいですからね
電話の様子を、ずっと緊張しながら聞いていた可憐さんを抱き締める
きゃっ、み、みすず様
ビクッとする可憐さん
ちょっと抱き枕になっていてあたし、ちょっと頭に来ているからおっぱいも触るわよ
みすずは、可憐さんをモニュモニュと抱く
顔を赤くして耐える、可憐さん
お電話代わりましたわ黒森御名穂です
クロモリ
不審そうに聞き返す、可憐の父親
ええ水島様のお父様にはご贔屓にしていただきましたあの黒森でございますわ
ああ、可憐さんのお祖父さんは黒森楼時代のお屋敷には、来ていたんだ
可憐さんの父親が成人した頃はもう、白坂創介がお屋敷を乗っ取った後だから
この人自身は、黒い森の客になったことはないんだな
それで黒森の人間が、何だっていうんだ
不快そうに、可憐さんの父親は答える
あら、わたくし現在は、香月セキュリティ・サービスで情報分析の仕事をしておりますのよつまり香月家の裏の世界との対応を担当させていただいております
今回の件は関西の暴力団組織が絡んでおりますから、わたくしの担当案件となりました
そんな話はどうでもいいあのみすず様に電話を代わってくれいや君から香月閣下へ繋いではもらえないか
水島父は、高飛車な態度でそう言った
名家の人間が、自分の使用人に話すように
あら、まだお判りでないのですわね
わたくしも祖父の代から、名家の方々を相手にビジネスをさせていただいておりますが
だったら、気を利かせてくれっ私は水島だぞっ水島家の嫡男だっ
おい、君は名家の人間というものが、どんなモノなのか判っているんだろうそういうビジネスをしてきたんだから
黒い森は政財界の重鎮、名家の人間を顧客とした高級娼館だ
はい、判っておりますわ名家と呼ばれるお家の中でもお家の格によって、違いがあるということを
香月家のご令嬢であるみすず様はもはや、あなた様のような方とはお話しなさりたくないそうですわもちろん閣下も、そうお考えです