ミナホ姉さんは、微笑みを崩さない
そうさあんたたちとは違うのさだって、あんたたちはあたしたちよりも何だ全然、上っていうか思いっきり、レベルが上じゃないか
オレたちを睨み付ける、
何だよあんたたちのとこの小さな子たちはしりとりで、ルイ何世とかさっアッタマ良さそうにしやがって普通、ルイならルイ・ヴィトンだろうそれかお笑い芸人のルネッサーンスとかつーか、るの言葉だったらルーラとかルシファーとか思い付かないのかいっ
ルーラって何ネ
イーディが、寧に尋ねる
ゲームに出て来る呪文だよどこにでも行ける
Thank YouネLUCIFERは知っているネキリスト教の悪魔ネ
バカなこと言うんじゃ無いよ携帯ゲームのキャラだろっ
天童乙女が、イーディを睨む
キリスト教の悪魔の名前を携帯ゲームが使っているだけなんじゃナイノカ
あんじゃ、何だよルシファーって、マジでいんのかよっ
携帯ゲームじゃないんなら、ホントにいるってことだろああーっ
アタシは自分の眼で見たモノしか信じないネだから、イルかイナイかは判らないのネ
イーディは、穏やかにそう言う
あっそとにかくさあんたたちは、みんな頭が良くて、お高く止まっていてあたしたちみたいな、ヤクザの子供のバカ娘たちとは違うんだよっだから、あんたたちにはあたしたちの気持ちなんて絶対に判らないのさ判られてたまるかっての
今まで抑え込まれていた分キレまくる天童乙女
ところで、あなたのお父さんは何で42歳の天童貞男って呼ばれているの
ミナホ姉さんが、にこやかに尋ねる
ああ、それはさあたしのオヤジは42歳まで、バカでダメで最下層のチンピラをやってただけだったんだよ年下のチンピラにまで小馬鹿にされて使イッパとかまでやらされてさ
それがさ42歳の時に、組同士の抗争事件があってさオヤジのとこの組長さんが、全員に集合を掛けてさ誰か、鉄砲玉で敵の親玉をブッ刺してこいって言い出してさみんな、そんな仕事やりたくないからオヤジに押し付けてこれを持っていけとか言われて、兄貴分の人からドスとか手渡されてさそしたら、オヤジはさ頭の中のブッ太い血管がブチブチ切れちゃったみたいでさそれまでは気弱なだけのクズだったんだけどさ行ってきまーすって、そのまま出掛けてホントに相手のヤクザをブッ刺してきちゃったんだよ
42歳にして大役を果たしたわけね
ミナホ姉さんが、相の手を入れる
大役っつーかさ破れかぶれだったんだろうけどさ詳しくは良く知らないよ
どうしてネ
だって、オヤジそのまま3年くらい帰って来なかったから
帰って来ない
いや、目撃者だらけのところで人を刺したわけだからさ、すぐ捕まって裁判で、懲役だから
そんで帰ってきたらさオヤジがブッ刺した人が、そこそこ名のある人だったらしくてさ**さんを刺したあいつは凄いとか言われて、変なハクが付いちゃってさそんで、オヤジもその気になってさ親分さんや兄貴分の人たちにどんな命令でも、自分は必ず成し遂げますなんて言っちゃってさそんで、ホントにやるんだよ後先、考えないからホントに、指示されるままどんな相手だろうと、殴ったり、蹴ったり、刺したりするんだよオレはアニキたちのスーパー・イエスマンですからとか本人は言っちゃってさまあ、その度に警察へ行ってささらに2年懲役も食らってたんだけどさ
ああヤクザの鉄砲玉専門になっちゃったのねリスクが多い代わりに上の人に褒めてもらえたり、下の人にチヤホヤされるのが嬉しくて
そうなんだよっだから、この6年あたしは、あのオヤジとロクに生活はしていないんだよっ捕まっていた方の時間が長いからさ
何という親娘関係だ
とにかくさ、42歳で突然、人が変わったみたいになっちゃったからさ42歳の天童貞男って呼ばれているんだよオヤジ自身はさオレは、若い頃に報われなかったチンピラでも、40過ぎで花開くこともあるっていう実例でみんなの希望だとか言っているけれど周りの連中は、バカで使えないクズ野郎だと思っていても、長年頭を踏みつけていたら、天童みたいにイカレた野郎にクラス・アップしちまうこともあるから気を付けろって言ってるらしいけどね
であなたのお父さんは、今回のこの仕事を請けた
ミナホ姉さんを見て、天童乙女は
だってオヤジはスーパー・イエスマンだから組の命令なら何でもやるよ娘を利用しろっていうのも、組からの命令だからさ
ヤクザの娘たちを使ってみすずの学校のお嬢様たちに工作しようというのは、組からの指示なのか
オヤジ以外の連中もみんなそうさただのチンピラじゃなくってあいつは、ちょっとヤバイっていう評判を立てたことで何とかギリギリ組の中に居場所を作っている連中上の人間に命令されたらどんなことだってやるイエスマンたちだよ園子のオヤジなんて園子の身体を兄貴分の人に献上してたしさそれを見て、あたしのオヤジはお前も、もう少し色っぽかったらオヤジやアニキに抱いてもらえたりになぁとか言ったんだよあたしたちのことなんて、自分たちの地位を守るための道具だとしか思っていないのさ
憎々しげに、天童乙女は言う
あなたの気持ちは判ったわだから、とにかくお父さんたちとの関係を断ち切りたいのねあなた自身と8人のヤクザの娘たちと一緒に
ミナホ姉さんが、天童乙女の眼を見る
当たり前だろうこのまんま組のスーパー・イエスマンにとっ捕まっていたらさ命が幾つあっても足りないよ同じ身体を売るにしたってさオヤジたちから離れられれば、カネは自分のものにできるんだろ
そうね仲介のマージンは引くけれど
それでもゼロじゃないよねあのオヤジたちの下なら全部、巻き上げられるからね
天童乙女はそう言う
判ったよ園子とドサクサに紛れて逃げ出すとかは諦めるからあたしも腹を括るよオヤジたちとの縁切りさえできれば何でも良いその後売春でも何でもするからだから、あたしと園子とあそこに囚われている女の子たちを助けてくれよ
天童乙女の言葉は、真剣だが
オレは、天童乙女の隣に座っている月子の顔を見る
月子はオレに向かって、小さく首を横に振る
つまり嘘だ
天童乙女は、オレたちを利用したいだけで隙を見付けて、逃げ出したいと思っている
天童乙女が、月子のその動きに気付かないのは
巫女の力で制しているんだな
今の天童乙女は月子のことを忘れてしまっているし、存在も見えなくなっている
まあいいわあなたのお父さんの仲間のことを教えてちょうだい
女の子たちの方はいいわどうせ、逃げないように1箇所にまとめられているでしょうし8人なのよね
そうさ、8人だよ