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関西へ戻るための移動手段として用意して来たと

それで、あたしとヨミさんが姿を現したら、すぐに猪鹿蝶一郎さんたちも行動を起こすでしょうから

はい、そちらはわたくしたちが全力で阻止致しまーすっ

木下さんが、明るくそう言う

外の騒ぎにカラオケ・ボックスの中のニンゲンの意識が集中している隙にアタシが内部に侵入して、女のコたちの安全を確保するネ

ではわたくしは正面から突入致します

美智が、いつもの無表情でそう言った

アンタは、アタシでもミチでもどっちに付いてもイイヨ

イーディは、アーデルハイトさんに言う

表と裏どっちが得意ネ

アーデルハイトさんは、イーディと美智を見比べる

表だと思います

まあ、正統派護衛役のアーデルハイトさんからしたら美智の方がイーディよりも、一緒に仕事しやすいと思ったんだろう

では、わたくしに従いなさい命令違反は許しませんいいですね

早速、美智がアーデルハイトさんにプレッシャーを掛ける

よーし、裏からアタシ、表からミチそして敵を全員行動不能にシテ、それをDarlingがダンボール箱に詰めて外に搬出するネ

うん、どうせオレはそんな仕事しかできない

寧は、女の子たちの誘導を頼むネ

あたしはあたしは何をしたらいいんだいっ

天童乙女が、ギロッと睨む

こいつはオレたちと一緒に行くつもりなんだな

やっぱり自分の仲間の女の子、特に、徳大寺園子さんという子のことが心配なんだな

そうねあなたは

ちょっとポーズってできる

何だいポーズって

今の天童乙女は、月子に支配されていることを忘れてしまっている

月子の力が、そうさせている

あのオーディオ機器なんかにあるでしょPAUSEよ

だから、何のことはうっ

天童乙女の思考がPAUSEする

はい、一旦停止致しました

月子が、穏やかに言った

天童乙女は大きく口を開けたまま、ポカーンと何も無い空中を見上げている

ここまでのところ、どう思う

ミナホ姉さんが、イーディに尋ねる

このコ自身はキホン的に嘘は吐いていないと思うネただ

そうよね敵にとっては天童乙女さんが、あたしたちに捕まるっていうのは最初から想定内なのよね

巫女の力でアタシたちから知っていることを全て話させられるというノモネ

そうかだから、天童乙女の情報はアテにしてはいけないのか

敵の大人の人数がこのコの証言と香月セキュリティ・サービスの調査で違っていたのが証拠ネ

天童貞男たちのメンバーにもう1人、天童乙女の知らない人間が加わっていた

その人が増えることを、天童乙女は父親から知らされていなかった

デモ、この子は変に誤魔化したりはしなかったネ悪意は感じられなかったヨ

ああ自分の知っている情報とゲンジツが食い違っていても

その場で作り話をしたりして、オレたちを攪乱しようとはしなかった

お父さんたちのことが嫌いで仲間を助けたいという気持ちだけは、本当なんだと思うわ

でもだからといって、信用していい子じゃないわいつでも、あたしたちのことを平気で裏切るわよ

天童乙女にとっても仲間は関西から一緒に連れて来られた8人の女の子だけなんだ

オレたちが彼女を完全に信用できないように天童乙女だって、オレたちが信用できるはずがない

確か一個だけ、確実に嘘を吐いていたよね天童貞男のメンバーのイワサキ・ヒロミさんだっけ

天童乙女は関西から来たヤクザたちの中で、イワサキ・ヒロミという人だけは自分の娘を連れて来ていないと言った

はい、嘘だということは判りましたわでもこの方は、そのイワサキ・ヒロミという人のことについては、心の奥の方へ沈めてしまっていますから

もちろん力を使えば、心の奥底の深いところにある記憶も強引に読み取ることはできますが

あんまり、人の心を無理矢理、底から掻き混ぜるようなことをすると心の中がグチャグチャになって再起不能になる

確かイワサキ・ヒロミという人の姉妹も一緒に来ているのよねイワサキ・ヨシミさんだったわよねヤクザの内縁の夫婦で来ていて娘さんのロリコン動画を売っているという

ミナホ姉さんが、月子に言う

はい、そういう方もいらしていると言っていましたわ

では、彼女の心の中のイワサキ・ヨシミさんの位置はどの辺にあるか判るイワサキ・ヒロミさんみたいに奥底に沈ませたりしている

月子は天童乙女の後頭部に手を置いて

いいえ他の関西から一緒にいらしたヤクザの方たちと同じ位置ですこの方にとってイワサキ・ヒロミという女性だけが、心の底に押し込まないといけない重いモノになっていますわ

お父さんの天童貞男さんと同じくらい

あ、そうですねでも、お父様のことは基本的には、心の底に落とし込んでいますがこの方は、頻繁に心の表層部に浮かび上がらせていますから

よくその人のことを思い出し考えている

だから、その記憶や思いを巫女の力で盗み見ることができる

そんなに、そのヒロミさんて人に同性愛の相手をさせられたことが嫌だったのかな

他の大人のヤクザと比べて1人だけ、記憶の底に埋めてしまいたいような相手なんだから

何とも言えないわねただそんなに心配するようなことではないと思うわ

ヤクザみたいな相手と闘う時はね考えすぎたらダメなのよ向こうは、あんまりよく考えないで突発的に行動していることの方が多いんだからこういう可能性も考えられる、もしかしたら、こういう罠を張っているかもしれない色んなことを考えすぎてしまうと自由に動けなくなるわよ

アイテは自分よりも、頭が良いかもしれナイあるいは自分よりも頭が悪いかもしれナイ

Darlingはイツデモ敵は自分より頭が良くて、能力もアルと想定して行動するのが良いところダケレドたまには逆の想像もしてみないとイケナイノネ

天童貞男たちは娘の天童乙女の話を聞く限りは、底抜けのクズでバカだ

親分や兄貴分の命令に従って暴力を振るうことに躊躇がない

警察に捕まったり、刑務所に行くこともヤクザ世界の中では、ハクの付くことだとしか思っていない

仲間の娘を犯したり、売春させることも平然とできる

自分の娘を敵の屋敷に潜入させて

そうだ、天童貞男は

天童乙女に、香月家の邸宅内で服毒自殺させようとしていた

ヤクザ組織からの命令を遂行するためには、自分の娘の命すら捧げる

そういうことをカッコ良いと勘違いしている、クズ人間だ

そうだなこっちの裏をかくような、複雑な作戦を思い付いたり実行できる人じゃないよな

感情のままに、いきなり刃物で斬り付けるだけの短絡的な人間だ