なるほどうむむむ
突然、唸るキヌカ
ということはみすず様は、すでに美智お姉様というペットを持っていらっしゃるということではありませんか
以前はね
でも、今は美智ちゃんの方は、今でもみすずちゃんのことを敬愛しているけれどみすずちゃんにとっては、美智ちゃんはもうライバルなのよ
ライバル
美智ちゃんは有能過ぎる上に、可愛いのよ前は、お人形さんみたいな美しさだったけれど今は、この人と出会って、お花のように活き活きとした美しさになっているわみすずちゃんがさすがに嫉妬はしないけれど、警戒しちゃうぐらいの美少女になったのよ
ご自分のペットとして、可愛がる対象ではなくなってしまったということですか
そうねもうペットではないわよね主人と警護役という関係も崩れてきたっていうか、同じこの人の女信頼している姉妹という気持ちの方が強くなっていると思うわそれはみすずちゃんより、美智ちゃんの方が
美智が
ほら、美智ちゃん最初に来た時には、みすずちゃんにベッタリで他の子と交流しようとしなかったでしょでも、今はイーディが来て、仲良くなってあなたや年少組の子たちと朝練したりハイジちゃんや、あなたたち姉妹も来て家族の中で交流する人が増えたでしょ
そうか最近の美智は、家族の中での自分の役割を積極的に果たそうとしてくれている
もちろん、みすずのことは大切にしているけれどみすずにベッタリじゃなくなっている
それは家族にとっては良いことだから、みすずちゃんは納得してくれているけれどやっぱり、ちょっと寂しいんだと思うわだから、新しいペットの子を欲しがっているんだと思うの
そうか美智が自立し始めているから
ああだから、美智よりもさらに年下の子が良いんだな
みすずに頼ってくる子を可愛がりたいんだ
でも、可憐はそういう性質の子じゃなかったから
みすずの可愛がりが怖かったんだと思う
本当なら、コヨミちゃんみたいな内気で大人しい子が適任なんでしょうけれど巫女の力のある子だと、気が効き過ぎちゃうから
克子姉の言うとおりだそれに巫女がみすずたちに近付きすぎることは、ジッちゃんが嫌がるだろう
すると、ミタマが
ということはイチかバチか、わたくしがみすず様のペットになるというプランは難しいですね
みすずは17歳ミタマは18歳
みすずより、ずっと背が高く体格を良い
あたし、昔ホンモノの野性のシカを見たことがあるんだけれど
ホンモノのシカって、思ってたよりもずっと大きいのよねえ
ルームミラーの中の眼がミタマを見る
ミタマちゃんて野性のシカみたいよね
ペットとしては飼えませんか
ミタマが、克子姉を見る
個人宅じゃあ無理よねぇせめて、動物園じゃないと
うなだれる、ミタマ
ま、いいんじゃないうちは、あの人の野生動物保護パークみたいなものだから
そういうあたしも自分の本性は、シロクマみたいなものだって判っているし渚は、ユキヒョウみたいなスラッとスタイルの良い動物なのよとっても綺麗ででも鋭い爪と牙があるのよ
そうかもしれないな
みんな、保護されてるのよねだから、あなたのハーレムなのに保護担当官のあなたが1番忙しいのよ
克子姉は、明るくオレにそう言った
駅前のホテルに来たのは5月以来だ
あの時は敵に襲われて急遽、ここに逃げて来た
車ごと地下駐車場へ降りて警備員の居る特別のゲートを潜る
ここの警備員も今は、香月セキュリティ・サービスが担当しているらしい
それから、さらにゲートの奥にある秘密の扉を開けて、車ごと奥へ
そこはもう黒い森の秘密施設だ
はーい、降りて
車を停車させると、克子姉はみんなにそう言った
ちょっと肌寒いですわね
地下駐車場の空気を感じて、ドレス姿のありすがそう言う
建物の中は温かいわよ365日、裸でいても風邪をひかない室温に保たれているからそれは、うちのお屋敷も同じだけれど
つまり娼館なのだ
裸になるのが当たり前の施設だから
ま、入りましょう
克子姉は、入り口のキー・パネルに暗唱ナンバーを押して、平たい板の上に手の平を当てる
手全体の指紋をチェックしているらしい
セキュリティ関連は、総取っ替えしたのよ昔のことを知っている人がいると困るからまさかのことがあるかもしれないし
黒い森には、長いこと白坂創介が支配していた時期があるから
ここの施設のセキュリティ情報が、誰かに漏れているかもしれないと思ったのか
お屋敷の方は、定期的にシステムを入れ替えてたから心配は無いんだけれどここは、しばらく使ってなかったし部屋そのものの改装もしたけれど、セキュリティ関係のチェンジに時間が掛かったのよ前のシステムは全部捨てたわ一部でも残しておく方が安く済むし、手軽なんだけれど前の回線のどこかに、あたしたちの知らない盗聴システムとかが紛れ込んでいたらマズいから
新生・黒い森は、政財界の大物だけを顧客にするのだから
ここから情報が漏れと、大変なことになる
どんなことも、細心の注意を払ってやらないと
ピピ確認致シマシタロックを解除致シマス
電子音とアナウンスが聞こえた
はい、開くわよ
スーッと厚い鋼鉄のドアが、開いていく
さ、入りましょう
克子姉が言っていた通り、中の室温は温かかった
ああ、壁やカーペットが新しいものに取り替えられているけれど
建物の内部構造は、5月と同じだな
そりゃそうかこんなホテルの地下の秘密施設を、全面的にリフォームするのは無理だな
もっとも、オレも5月には、この施設の全ての部屋を見せてもらったわけではないし
ちなみに、今、あたしたちが入って来たルートは関係者通用口だからお客様は、ホテルの上の階から専用エレベーターで降りていらっしゃるようになっているのよそっちは、また別のセキュリティが掛かっているんだけれどここには、お付きや警護の人は入れないからお客様だけがここへ降りてくるシステムになるの
なるほどお屋敷には、娼館のお客の運転手や秘書や警護役が待機する部屋が玄関の近くに幾つかある
昔、雪乃を監禁した応接室も、本来はそういう用途の部屋だったらしい
でも、ここのホテルの場合地下施設に待機所を作る余裕が無いから
お付きの人たちは、上階のホテルの個室に残って
お客だけに地下へ来てもらうのか
はい、こっちよとにかく、お嬢様にお会いしましょう支配人室にいらっしゃるはずだから
オレたちは克子姉の後を追って廊下を進んで行く
なるほど支配人室という金のプレートがある
克子姉は、コンコンとドアをノックした