でも、木下さんは香月セキュリティ・サービスの警護人だよ年齢だって、栗宮さんたちより上だし
うん、そうだけどあたしたちは、そのことを知っているけれどあのお嬢様たちは知らないでしょ
木下さんて半年前に、香月セキュリティ・サービスに入ったばかりでしょしかも、表の仕事はそんなにしてないはずだから栗宮さんたちは、木下さんの正体を知らないんだよね
オレは木下さんが、バンバルビー3のメンバーだった頃から知っている だけど、何の情報を無ければ
木下さんてロリコンのダダドムゥおじ様を惹き付けちゃうくらいの童顔ロリータ・フェイスでしょ
そうだ何も知らなければ、木下さんは高校生ぐらいにしか見えない
栗宮さんたちからしたらレイちゃんが、香月セキュリティ・サービスの研修生か何かを連れて来たぐらいにしか思ってないと思うよだって、ほら木下さん、あの調子だし
わたし、スパゲッティとかハンバーグとか子供っぽい料理、大好きなんですよねーもちろんピザも大好きです
屈託が無いというかケラケラと無邪気に良く笑う イーディも、そうだけど 本当は、こういう開けっぴろげ風な人の方が実は怖い そのことを栗宮さんたちは、判っているだろうか
イーディだと計算ずくで、相手が油断するように仕掛けたりするけれど木下さんは天然だもんね何も考えずに、自然にああできるんだから恐ろしい人だよ
ピザビザピーザ、うっふん美味しーなっキャッホゥ
うん計算じゃない元から、ああいう人だ
改めて、考えるとルビーさんバービーさんて、木下さんの性格が判っていて、上手にコントロールしていたんだなぁ
いつも木下さんばかり闘わせて2人は後ろでサボッている印象だったけれど これだけ子供っぽい性格なのに鬼みたいに強い人だからな
いや、木下さんは香月セキュリティ・サービスに入ってからの方が、さらに強くなったと思うよやっぱり、あのままバンバルビー3に居たら今ほど伸びてはいないと思うな
バービーさんたちには、悪いけれど香月セキュリティ・サービスには、木下さんの能力を、さらに上達させるためのアドバイスができる人が何人もいるからさ
そうだなバービーさんたちでは木下さんの育成は、すでに限界だったかもしれない 香月セキュリティ・サービスには、大徳さんや張本さんみたいな、ホンモノのバケモノみたいに強い人がいるし 翔姉ちゃんみたいに、警護の技術を総合的に学んできた人もいる 木下さんを、香月セキュリティ・サービスに託したのもよく判る バービーさんたち自身も、現状のままではマズイと考えて
次のステップに進みたくてキョーコさんの部下になったんだし
ほら、栗宮さんが木下さんを何なの、この人って顔で見ているよね
寧の言うとおり、栗宮さんは食事を止めて対戦相手の様子をチェックしている
あれじゃ木下さんの本質には気が付かないかもな
そりゃ気付かないよ栗宮さん、木下さんみたいな人と闘うのは初めてだと思うもん
栗宮さんの弱点は実戦経験の不足なんだな
オレは理解する 警護役の御厨さんと、どれだけ槍の稽古を重ねても ホンモノの強者とガチの戦闘を経験しないと殻を破ることはできない 寧が、オレの言葉にうなずいた 食後すぐにオレたちは中庭に面した部屋に移動した もう夜で庭に出ると寒いからオレたちは全員、透け透け服のままだしこの部屋からガラス越しに、栗宮さんたちと木下さんの闘いを観ることになった 栗宮さんと御厨さんは、栗宮流槍術の正式な道着である白袴に着替えて来た 木下さんは、香月セキュリティ・サービスの職員らしく黒のパンツスーツ姿だ 中庭には、対戦者たち以外に見届け人としてレイちゃんと、ミタマ、月子の3人が出ている
これが香月セキュリティ・サービスの研修で使っている槍です
レイちゃんは、香月セキュリティ・サービスの研修施設から持って来たという暴漢撃退の練習に使う槍をオレたち全員に見せる
絵の部分はカーボン製でよくしなりますが穂先の部分は、ゴム製です人を斬ることはできません
なるほど白くてペロンとしたゴムの刃が黒い槍の先に付いている
麗華さーんどれくらい、やっつけちゃえばいいんですか
木下さんが、レイちゃんに尋ねる
ケガしない程度にううん、ケガさせないように注意して
レイちゃんは笑顔で、そう言う
はーい、判りましたー
木下さんの軽い言葉に、栗宮さんはムッとした表情を見せる
実戦を想定した稽古ということにしますから基本的に、相手をケガさせない以外のルールは有りませんどんな技をお使いになられても結構です
レイちゃんは、栗宮さんたちに言う
では、勝敗は何で決めるのですか
栗宮さんが、尋ねると
どちらかが負けたと自らの敗北を認めるまで続けて下さい
ああ、このお嬢様たちに負けを認めさせればいいんですねーっ簡単簡単、じゃ、チャッチャカやりましょうっ
木下さんは、気軽に言う
そんでわたしは、こちらのお2人をいっぺんにブッ潰しちゃって良いんですよね
え木下さんVS栗宮さんと御厨さん2対1の闘いなのか
あなたのお相手はわたくし1人で充分ですわ
栗宮さんは、木下さんを睨む
いえ、素子お嬢様わたくしが先に闘わせていただきますっ
御厨さんも、1人で闘う気だ
麗華さーん正直、ちょっとこっちの人はどうかと思いますけど
木下さんは、御厨さんを見てそう言う
お二方ともひよっこですけどこっちの人は、卵から出て来たばかりじゃないですか
御厨さんはまだ14歳だ プロ警護人の木下さんから見れば闘う相手として幼な過ぎるのかもしれない
失礼なことを言わないでくるみは、栗宮流槍術に入門して、もう8年になります
御厨さんと栗宮さんが強く抗議する
えたった8年
木下さんは、ニヤッと笑う
そんなんじゃ、基礎も終わってないじゃないですかぁ
木下さんに呑まれる、栗宮さんたち
あー、麗華さん判りましたこの人たちは、現在の自分たちの到達レベルが判っていないんですねぇ
木下さんは、レイちゃんに微笑む
だから、わたしがとことん、ブチのめしてあげないといけないんですねーなるほど、なるほど、わっかりましたー
木下さんはレイちゃんから、練習用の槍を受け取る
わたしはフレイル専門だからこういう先が重くないのは、久しぶりなんですけれど
ブンブンッと槍を上下に振る