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ま、いっかこんなにペラペラな槍なら、ケガさせないで楽にいけそうだし

藤宮さん、わたくしにも槍を下さいませ

 栗宮さんも、レイちゃんから練習用の槍を受け取る

くるみわたくしが闘いますあなたは、そこで見ていなさい

素子お嬢様

こんな人1対1で闘って勝たなければ、栗宮流槍術の名折れとなります

 栗宮さんも、ブンッと槍を振る

栗宮流槍術は、戦国の世から続く戦場の槍です先祖代々受け継いできたこの技受けてみなさい

 ザッと槍を構える

あの、栗宮様、老婆心ながら申し上げますが

 横からレイちゃんが言う

その槍普段お使いになっておられる栗宮流槍術の槍とは、長さも重さもバランスも素材も異なっております

 うん、栗宮さんたちの家の槍はもっと長い  材質もゴムの穂先にカーボンの柄とかじやないし  もっと戦国時代そのままの重々しい槍だ

槍の違いをまずは確認なさって下さい

そんなこと藤宮さんに言われなくても、判っております

 栗宮さんは、槍を上下左右にブンブン振ってしなり具合やバランスを確かめる  同じことを木下さんもしていた

麗華さーん、これ練習用って前のと違いませんかぁ新しい槍なんですかね前に使った時よりも、よくしなりますていうか、しなり過ぎぃ

 うんカーボン製の柄が、波打つようにしなっている

あらこの間、新人研修用に追加した分よ前に発注したのと、同じ仕様で作ってもらったんだけれど

そんなことないです前よりも、しなってます後バランスもちょっと違うな前のより重心が2センチくらい後ろですね

 そんなことまで判るんだ

判ったわ調達担当者をとっちめておくから

よろしくお願いしまーすま、これはこれで使えないことはないですけれどね練習用ですし

 ビシッと木下さんは、美しいフォームで槍を構える

んじゃそろそろ始めましょう

 ニィッと栗宮さんに微笑む

え、ええいいわど、どうぞ

 栗宮さんも槍を構える

それでははじめっ

 レイちゃんが、対戦のスタートを宣言する

トイヤァァッ

 先手必勝とばかりに、栗宮さんが木下さんに突進する

ほいほい、ほほいほーい

 鋭い突きを、木下さんは難なく避け栗宮さんの槍の先を靴でバコッと蹴り上げる  驚く栗宮さん

人の槍を足蹴にするとは礼儀知らずなっ

そんな、あなたのところのルールを持ち出されても困りまーす

 木下さんは、槍を繰り出さず栗宮さんの槍を靴でガンガン蹴っていく  ああ、これって靴の爪先と底に何か金属が入っているな

相手の槍の穂先を靴で踏みつけるなんてのは中国武術でよく使ってる手だしジャッキー・チェンの映画とか観たことないんですかーっ

映画が何なんですこれは真剣な闘いですわ

 栗宮さんは、ギッと強く木下さんを睨む

判ってまーす真剣だからこそ何でもアリなんじゃないんですかーこれ実戦を想定したお稽古なんですからっあらよっと

 木下さんは、ガシッと栗宮さんの槍の穂先を踏みつける

隙ありぃ

 栗宮さんが槍から片手を離して、木下さんの身体に触れようとする  あ女子格闘技大会の会場で見せてくれた気を打ち込む技

雷照印だ

残念、隙なしーっ

 しかし、木下さんは栗宮さんの手が自分の身体に触れる前に華麗にすわっと躱す

うっわープロをナメ過ぎですよーっくぷぷっ

あなたの気の技は、相手の身体に直接触れないとダメなんですよねー知ってますよーんうっふふーん

 木下さんは栗宮さんの技を知っている

わたしたちはプロだからあなたのことも、あなたの技のこともよーく知っているんですよねぇ

工藤さんで、ああ見えてとっても真面目な人ですから

 レイちゃんが、工藤父の名前を出す  そうだあの会場には、工藤父が居た  栗宮さんの技をこっそり見ていて雷照印という技の詳細を香月セキュリティ・サービスに報告していたのか

香月セキュリティ・サービスの仕事は、名家の人たちを護ることですが栗宮様が、何かの間違いで、香月家の敵になってしまうことだってあるかもしれませんから

わたくしたちは、常に考えられる全ての可能性を想定しています

だからちゃーんと、あなたたちの技だって調べ上げているんですよーっ

 木下さんはニコッと微笑むと、槍を構え直す

そして今度は木下さんから、栗宮さんに突き込みを開始する

栗宮流槍術というものの弱点だって、知っていますよーわたしたちは、あなたたち以上にあなたたちの流派のことを知っているんですからっほほいほーい

 鋭い突きがビュンビュンと打ち込まれる  栗宮さんは、防戦一方となる

あ、あなたたちに解析されるほど、栗宮流槍術は浅くはありませんわ

 栗宮さんは、起死回生の一撃を木下さんに放つが

あっまーい

 木下さんは、栗宮さんの槍を打ち込んだ腕が伸びきった瞬間に  栗宮さんの槍の穂先のすぐ下の柄をグワシッと掴んで  ギヌワアッと、捻るっ  見た目は華奢だけど普段から重い粉砕フレイルを振り回している怪力の持ち主だ  栗宮さんは、あっさりと自分の槍を木下さんに奪われてしまった

ほらねっ

 笑う木下さん

た、対戦中に相手の槍を掴んで奪い獲るなんて、考えられませんわ

 栗宮さんは、反射的に抗議するが

えー、実戦じゃ何でもアリでしょこういう攻撃もあるかもしれないって、想定していない方がおかしいよね

 木下さんは笑う

ほら、もうちょっとやりましょう槍だけに、ぷぷぷ槍は返してさしあげますから

 木下さんは、ポンと栗宮さんの前に槍を投げ落とす  それでも栗宮さんは、槍を拾い上げグッと強い眼で、木下さんを睨む

あー、それもダメダメ感情的になって、1人の敵だけに気持ちを集中しちゃダメですよー

だって、ほらもしかしたら、今この瞬間にあなたの後ろから、別の敵が斬りかかってくるかもしれないですよねーここに居るのがわたしたちだけじゃないかもしれないじゃないですか

こ、香月セキュリティ・サービスが、そんな卑怯なことはなさらないはずですわ

 栗宮さんは、そう言い返すが

えー、わたしたちって結構、卑怯ですよプロですから、卑怯だろうが何だろうが、勝たなきゃダメなんですし

 木下さんは、笑顔でそう言うと

わたしも、昔、バービーさんたちによく怒られましたーどんな時でも自分の周囲の状況をチェックしないといけないだから眼の前に見えている敵だけに集中しないで、戦場全体を俯瞰するように気を巡らせないといけないって

 眼の前の敵だけに集中したら周りが見えなくなるということか