ちょっと考えさせて
工藤遙花は言う
あたしは、空手で男性選手とも組み手をしたことがあるから男女の体力差は、良く判っているわ自分はマルゴさんやイーディみたいな特別な身体ではないってことも正直、今の自分なら確実に男性選手に勝つ自信は無いわもちろん、相手によるけれど
じゃあ、考えといてねっ一応、男子選手と女子選手両方の候補者をリストアップしておくから、後で見てみて決めるのは、それからでいいから
寧はすっかり、チーム・クロモリのマネージャーとなっている
わたしは、男と闘いたい
イーディの横のグレース・マリンカさんが呟くように言った
強い相手なら、誰でもいいから
この人は何かを抱えているそれは確実だと思う
わたくしとくるみが槍で対戦できる相手は、いませんか
肩に朱色の柄の槍を担いで武闘派お嬢様の栗宮さんが笑顔で言う
わたくしたちもこちらのお屋敷に置いていただくのですからできましたら、試合を組んでいただきたいですわ
栗宮さんの護衛役の御厨くるみさんもにこやかに言う
うーん、槍の対戦相手ねー
寧は困り顔でそう言うと、オレを見て
でも、その前にさヨッちゃんヨッちゃんは、栗宮さんたちをここに置いておくのどうするつもりなのかなっ
まだ、そもそもの問題が片付いていない
わたくしたちをこちらに置いていただく理由は昨夜、申し上げしましたわ
栗宮さんが、オレを見る すなわちジッちゃんから香月セキュリティ・サービスを受け継いだオレが、暴走することがないように 名家の中でも、中堅クラスの家からオレの監視役として、送り込まれる予定なのが栗宮さんたちということだ そのために、栗宮さんたちはオレの側室になるという
論理的に考えればわたくしたちも、黒森様もこの運命を受け入れるしかないと思いますが
その栗宮さんの言葉にオレはカチンと来た この人は、オレの側室になると言っているしオレに身体を自由にされることも、オレの子を産むことも、もう覚悟していると言っていたけれど オレの女になる気は無いんだな
ごめん、悪いんだけどさ
オレは彼女に言う
オレ論理的じゃないんだよ理屈で割り切れるほど、人生は甘くないからさ
私の家は東京23区内で駅まで5分の開けた場所にあるのですが
昨日家の中にヘビが入って来たそうです
母が驚いて、何と警察を呼んだのだそうですが警官が来る前に、ヘビはいなくなったそうです
しかしどこから来たんだ
この周囲に、ヘビが棲息できるような環境があるとはとても思えないのですが
確かマンガの陰陽師では、家にヘビが現れるのは瑞兆だったはずなんですけれど
1276.ネガティブ潰し / 電動戦士ドリル&アナル
・グレース・マリンカ/21歳女子レスラーほややんとした性格ほか
あら、わたくしもくるみも、黒森様に全てを捧げると申し上げておりますのに何がご不満なんですの
オレの側室になると言い張っている武闘派お嬢様栗宮素子さんは笑顔で言う
わたくしたちは、昨日お見せ致しました通り家事は一通りできますし
確かに、栗宮さんと警護役の御厨くるみさんは昨日、素晴らしい料理の腕前と家事能力を発揮していた
さらに、この槍で黒森様とご家族をお守りする力も持っております
稽古用の袴姿の栗宮さんは片手に握りしめている、自分の朱槍を見る
そして、わたくしとくるみはまだ男性を知りません全て、黒森様のお好きなように染めていただく覚悟をしております
しております
御厨さんも、自分の槍を片手にオレに微笑む
いや、それは全部上辺だけのことじゃないか
2人の眼を見て言う
あなたたちは、オレの側室になるというけれど、オレの家族になるつもりはないんだろそんな人たちに、オレの家族を守ってもらうわけにはいかないよ
遠慮なさらないで下さいどうぞ、わたくしたちの持つ能力と武を惜しみなくお使い下さいませわたくしもくるみも、力は有り余っておりますから
余裕たっぷりに、ニコッと微笑む ああ、なるほどこの人は みすずや瑠璃子や、桃子姉ちゃん、桜子たちとは違うタイプだけれど やっぱり名家の令嬢なんだな 美人で自信家で能力も高いけれど
現実を理解してはいない
いや、その栗宮さんたちの有り余っているっていう力が信用できないんだよ
オレは、栗宮さんたちにはオレの大切な家族は預けられないな
ニコニコしていた栗宮さんの表情が曇る
それはどういうことなのですか
オレは、オレたちを見ている女の子たちを見て
言葉の通りだよ例えば美智やイーデイは当然だけれど、オレはそこにいるハイジや、キヌカ、ミタマにだって家族の警護を任せられるでも、栗宮さんは信用できないから、警護は頼めない
わたくしたちがそちらの子たちに劣るというのですか
13歳のハイジやキヌカを指して、栗宮さんはオレに嚙み付いてくる
戦闘能力はもしかしたら、栗宮さんたちの方が上かもしれないって思うけれど、その他のもっと大事なことが、栗宮さんたちは全然ダメだからさ
ですから何がダメなのか教えて下さいと申し上げているのです
アナタたちはアマチュアなのネダカラ、大切なことは任せられないノヨ
わたくしたちがアマチュアで、あなたたちがプロフェッショナルだと言うのですか
ムッとする栗宮さんに、イーディは
違う違う、そうじゃないネ職業的なコトではナイヨもっと、根本的なハートの問題ネ
常在戦場
わたくしたちは、常にそう考えて日々の行動をしております
いつでもどこでも戦場に居るという覚悟で、気を引き締め続ける
そんな覚悟なら、わたくしたちだって持っていますわ
栗宮さんは、そう言うが
違うネアナタたちは常在戦場という言葉の意味を知っているダケなのネちゃんと判ってはイナイヨ
イーディは、ニヤニヤしながら答えた
ダッテ、アナタたちはちゃんと負けて来てないモノネ
それはしょうがないよ、イーディこの人はお嬢様なんだからさっ
寧が、そう言って栗宮さんを見る
さっきの話だけれど栗宮さんたちの試合を組むのは、ちょっと無理だよっ探せば対戦相手は見つかるのかもしれないけれど今の栗宮さんたちじゃまともな試合にならないからさっ
あなたまで、わたくしたちに力が無いと言うのですか
栗宮さんは、スッと槍を構える
栗宮家槍術、ここまであなどられるとは不快ですわっ
オレもヤッちゃんも、美智もイーディも栗宮さんたちの槍の力をバカにしているわけじゃないよただ戦闘能力があるっていうのと、それをきちんと使うことができるっていうのは、別のことなんだ