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 瑠璃子が寝間着用の浴衣を二人に差し出した

ありがとうございます、瑠璃子様

瑠璃子で構いませんわ

 素子は17歳瑠璃子は15歳

奴隷姉妹としては、瑠璃子の方が年下だ

いえ、奴隷としてはわたくしたちの方が新参でございますですから瑠璃子さんと呼ばせていただいても構いませんか

いや、それじゃあ言葉が固いよせめてルリさんかルリちゃんて呼ぶようにしろ

 呼びかけは人間関係の原点だ  オレは、素子にそう命じる

かしこまりました、殿では、僭越ながらルリさんと呼ばせていただきます

はい、どうぞお呼び下さいませ

あたしとくるみさんは同い年だからあたしのことはマナでもマナちゃんでも構わないよあたしも今からはくるみちゃんて呼ぶから

ありがとうございますでは、わたくしもマナちゃんと呼ばせていただきます

 くるみが、マナに答えた

でも、マナちゃんは、わたくしよりもずっと大人っぽいですから同い年だと思うと、恥ずかしくなりますわ

そんなことないよくるみちゃんだって、すごく可愛いもん

 こっちの二人も仲良くなってくれそうだ

ほら、下着を穿かせてやる素子腰が痛むんだろ

 オレは素子の前にしゃがんでパンティを穿かせてやった

お兄さん、わたしらも

くるみちゃんにも、穿かせてあげてよ

 ということで、結局全員の下着を穿かせてやることになる

はぁぁ女の子の下着を脱がすことに命懸けの男の人はたくさんおるんでしょうけれど

お兄さんみたいに、下着を穿かせてくれる男の人はなかなかおらんと思いますわ

 双子かそう言った

ホント、何でも嫌がらずにしてくれるからお兄ちゃんは偉いと思うよ

 マナもそう言った

あなた、お風呂から出たらみんなで食堂まで来て

 壁のスピーカーから、克子姉の声がした

翔お姉さんが女医さんを連れて来てくれているから

 ああ、翔姉ちゃんも帰って来たんだ  オレたちは、それぞれパジャマや浴衣に着替えると大浴場を出た

香月記念病院から、香月セキュリティ・サービスの医療部に出向してもらったわ酒井田マキさんよ

 食堂に翔姉ちゃんは、20代半ば過ぎぐらいの綺麗なお姉さんを連れて来ていた  ボブカットに銀縁眼鏡の知的な顔の女性だった

経歴や背景は、香月セキュリティ・サービスで調査済みよそれから月子さんにも見てもらったわ

 ああ、食堂の隅に月子とルナも居る  巫女の力で心と記憶を読んで悪い人間でないかチェックしたのか

マキさんには、ここの専属医師になってもらおうと思っているわ日中は、香月セキュリティ・サービスの医療部に勤務してもらうけれど夜は、ここのお屋敷に住み込んでもらうつもりなの

 ああ確かに、お医者さんが一人常駐してくれているのは助かる

こちらで見聞きしたことについては絶対に口外致しません

 オレの顔を見て酒井田さんは、そう答えた  オレは、彼女の眼をジツと見る  この人は信用してもいい人なんだろうか  翔姉ちゃんの推薦だから大丈夫だとは思うけれど

ご心配でしたら、洗脳して下さっても構いませんわ

 酒井田さんは、そう言う

黒森家にはそういう力の持ち主がいると聞きましたわ

 この人ってもしかしたら

母が退院してきたのは良いのですが

帰って来たからこそ、色々と面倒な仕事も山積みになっていて

何とか、山場は切り抜けました

そっちの山場は

これから、もう1つの山場が始まるひぇぇぇぇぇ

この夏は地獄かもしれない

1335.後片付け / オヤスミ

・酒井田マキ/25歳香月セキュリティ・サービス医療部所属の女医

 香月セキュリティ・サービスの医療部に所属する女医・酒井田マキさんが怪訝な顔でオレを見る

いえ何となく、判りました

 この人の眼には、見覚えがある  この眼は復讐者の眼だ  復讐に燃えている人間特有の怒りと憎しみの混じったギラツキと絶望の色が見える

翔姉ちゃんこの人は

 オレは翔姉ちゃんを見る  翔姉ちゃんが、この女医さんをこのお屋敷の専属医師に推薦したということは  酒井田さんは、間違いなく才能の有る女医さんなんだと思う

オレたちの専属医なんかにしてもいい人なの

 本当に能力が高い人間なら医者としての王道を歩いているはずだ

そうね酒井田さんは、香月グループの病院で内科の特別研究チームに採用されていたひとよ本来ならそのまま専門分野の治療や研究を重ねて、医者としてさらにステップ・アップしていくべきなのよね

 オモテの世界の大病院から、香月セキュリティ・サービスみたいな特殊な組織の医療部には普通は、移籍したりしない  上流階級専門の警護会社なんだから、守秘義務が多すぎて医学の研究には適していないだろうし

あなたの考えている通りよ能力のある人が、こちらに移ってくるというのには理由があるの

 ニコッと翔姉ちゃんは微笑む  酒井田さんの方は、無表情のままだ

判った酒井田さんはオレたちに何をして欲しいんだ

 オレはストレートに尋ねる

そ、それはまずは医師として、こちらで勤務をしてわたくしという人間を信用していただいてから、お話するべきことだと思います

 酒井田さんが、そう言うのは  オレたちに貸しを作りたくないのだろう  まずは医師としての能力を認められなければ自分の望みを話すことは許されないと思っている  この人は、図々しい人ではない  むしろ、キチっとしていないと気が済まないというタイプの女性なんだな

悪いけどそういう、まどろっこしいことをするのは性に合わないんだ今、話してくれ内面に色んなモノを溜め込んだまま診療される方が心配になる

どうせ、翔姉ちゃんが酒井田さんのことは全部調べているんだろうしあなたがどういう問題を抱えていて、それを解決するために正規の病院から香月セキュリティ・サービスに移籍したのかさらに、オレたちの専属医になることを承諾したのかその全てを

 オレは酒井田さんの眼を見る

でも、オレはそのことを翔姉ちゃんの報告書を読んで知るんじゃなくて酒井田さんの口から直接、話してもらいたいと思うその方が、より良い信頼関係を築けると思わないか

 酒井田さんは、無言で考え込んでいる

酒井田さん、香月セキュリティ・サービスのオーナーが話せと言っているのよ

 翔姉ちゃんが、笑顔のまま言う  笑顔の後ろの強い意志に押されて酒井田さんは、全ての話すことを了承した

わたくしの父は、とある商社の経理部長をしていました

 酒井田さんは言う

1ヶ月前、その商社に不正経理が発覚し父が遺体となって、都内のホテルの中で発見されました