無いよ実際に話したことはあの子たちが、部室でダベッていることを、よく盗み聞きしているから監視システムでさっ
だから、あの子たちがオタクとしては知識が実にウスーイってことは、よーく知ってるんだよっ
ああ、やっぱりそうか
じゃあ、寧お姉さんがその子たちに色々と知識を教えてあげればいいじゃないですか
えー、何でさどうして、そんな嫌われることをわざわざしにいかないといけないのさっ
寧は苦笑して言う
あたしのオタク知識とか、ふんふんって一生懸命聞いてくれるのはヨッちゃんぐらいなんだからさ
アニメとかが好きな人たちデモ、興味があるトコロは人それぞれネ同じジャンルの話題でも、興味の無い知識を押し付けられたら嫌われるのは当たり前ネ
アタシは知識は、どんなものでも興味があるケドネ
イーディという天才少女はありとあらゆる知識を呑み込んでいく
特に映像文化はそれを製作した民族の習俗を映し出しているノネ下手なガイドブックを読むより10本でもその民族の映画を観た方が、生活習慣やモノの考え方、歴史的な因習がよく判るヨ
なるほど、イーデイはそういう目的意識を持って寧の映画やマンガ、アニメのコレクションにまで眼を通しているのか
例えば日本のテレビアニメには、海へ遊びに行く話と温泉旅行に行く話が、やたらと多いネこれは日本人にとって、海水浴や温泉というものに特別なシンパシーがあることを示しているネ
ああ、そうだよね海の無い土地に住んでいる人たちなら海水浴の話とか作らないよねっ温泉が豊富なのも、日本の特徴だし
確かに生まれてから一度も、温泉に浸かったことが無いなんていう日本人は極めて少ないと思う
ただ判らないのは日本のアニメはなぜ必ず海辺でスイカ割りをしているノネ
アタシが調べた限りスイカ割りはソンナに日常的に海水浴でする行為では無いネアニメの様に、海へ行ったグループが必ずするような催しでは無いヨ
確かにそうかも オレもスイカ割りとか、個人ではやったことが無いもんな
それはね、イーディいわゆる1つの様式美ってやつなんだよっ
そういうのは昔の方がもっと多くて今は大分、減ったんだよ80年代くらいまでのアニメや特撮だと、お正月には必ず羽子板をして勝負に負けた方が墨で顔に落書きされてたからそんなのホントにやっている家はほとんど無かったのに
ハゴイタで勝負してスミって何のことだろう 羽子板って板に布とかで人の絵を作ってるやつで 毎年、その年の出来事とかを絵にして飾るやつだよな 年末近くのニュースでとかで、よくやっている あんなので何の勝負をするんだ 今年の顔の似顔絵が似ている方が勝ちとかうーん
グレンダイザーがヨーロッパでゴルドラックってタイトルで放送されて大人気だったんだけどお正月回に、やっぱり羽子板やってたけれど、ああいうの向こうの人は何だと思ってたんだろうねデュークフリードや甲児くんたちが和服着てたりするんだけれど
寧の話は、時々よく判らない
アタシたちに何か用なのネ
不意にイーディが背後を振り向いて言う 他校の制服を着て、背中にリュックを背負っている綺麗な女の子が立っていた 高校生だよな長い黒髪の毛をお下げに編んでいる その眼は何か思い詰めている雰囲気があった
失礼致します黒森公様でございますね
オレを、そっちの名前で呼ぶってことは
いや、違いますオレ吉田です吉田良信ですから
オレは笑顔を作ってそう言う この高校ではオレは、吉田良信なのだ 黒森公は、オレの名家の人たちに対して使う表の名前でしかない さらに戸籍上ではオレは黒森家の養子になったから黒森良信だし その上、オレは寧の弟さんの戸籍も貰ったからそっちも黒森家の籍に入って黒森恵人という名前になっている
あ、あの大変、申し訳ございませんがわたくしに付いて来ていただけませんでしょうか
黒森公ではないと否定したのにお下げの少女は、オレに言う
こちらの学校の外にわたくしの主が、車を停めておりますそちらで、主とご面談下さいませ
学校の外の車 そこに、この少女の主人がいる
あー、悪いけれどオレ、今、休憩時間中だからさそんなことに時間を取られているわけにはいかないんだけれど
このリュックの中に爆薬を仕込んでおります
少女は、真顔でオレに言う
来ていただけない場合はこの爆薬を炸裂させますわたくしも黒森様たちも死ぬことになりますいえこちらの校舎にも大きく破壊することになるでしょうから、たくさんの犠牲者が出ることになります
ここで自爆テロを仕掛けるってことっ
あのもし、わたくしと一緒に来ていただけないのなら不本意ながら
少女はおでこに汗の玉を浮かべながら、そう言う
ふーん、それって君の考えそれとも、君の主が考えたこと
爆破スイッチは、君が持っているのそれとも主が遠隔操作でコントロールしているわけ
お下げの少女は
あ、主です起爆は、主が行いますで、ですからわたくしが命を惜しんでリックを爆発させないというようなことはございません
困惑顔でそう言う ああ、少女のリュックのベルトに付いているのは、小型カメラだ この子の主はオレたちの様子を遠くから観ている それにああ、耳にイヤホンをしている オレたちのやり取りも、全て盗聴マイクを使って、主は聞いているんだ そして、この子に逐一、無線で指示を出している
気にくわないことが幾つかある
まず自分の名前を名乗らないことだ
オレの言葉に、お下げの少女は慌てて
く、黒瀬安寿《クロセ・アンジュ》と申します
自分の名前を名乗る
違うオレが怒っているのは、君じゃなくて君の主のことだ
オレは、ギロッと強い眼で黒瀬さんを見る
あいや、あの主の名前は、わ、わたくしの口からお伝えするわけには参りません
じゃあ、名前も名乗らないような人と会うつもりはないよ
えいや、あのく、黒森様
だから違うってオレは吉田だよ
そ、そういうことでなくそのわたくしは、爆薬を背負って来ているんですよ
黒瀬さんは、必死に背中のリュックをアピールする
爆薬なんか入ってないだろそういう無意味な冗談は嫌いだよ
うん、よく判ったこんなの黒瀬さんのアイデアじゃないよな君は、こんなことを思い付くような人でもそれを自分から進んで実行しようとするようなタイプの人でもない
この子は裏が無い 真っ正面から、オレに対して来ている 立ち振る舞いからズルさや、邪悪さを感じない