お遊びかどうか、ご自分の身体でお試しになられますか
槍の先をイーディに向けた キョーコさんが東南アジアから連れて来た浅黒い肌の美少女姉妹 電動ドリル槍を手にしているドリィ・ルゥとアナ・ルゥが笑い出す 栗宮さんは何で笑われたのか判らなくてという顔になった
ああ、なるほどあたしにも、よーく判った確かに、イーディの言う通りだよこの子らは使えないね
キョーコさんが、笑って断言する
な、何を根拠にそうおっしゃるのです
栗宮さんは、キョーコさんにそう叫ぶが
だって、あんたは殺す覚悟も、殺される覚悟もできてないじゃないか
キョーコさんは、率直に答えた
人に武器を向けるってことは命のやり取りをするってことだろ死ぬか殺すかどっちかだろなのに、あんたはそういう覚悟ができていないのに、軽々しく武器を向けた
そ、それはだって、イーディさんですから
栗宮さんは、慌ててそう言う
関係ないネ例え、身内だったとしても、気安く武器を向けるような子は容赦しないネそれにアンタが仲間だとは、まだDarlingは認めてないヨダカラ、今のアンタの行為は第一級の敵対行為ネ
栗宮さん槍の先をイーディに向けたままにしないで下さい
槍を置けとはいいませんでも、穂先を向けるのは止めて下さい
しかし、わたくしは栗宮流槍術の名誉のために
栗宮さんが、そう言った瞬間
素子お嬢様お退き下さい
警護役の御厨さんが言う
わたくしたち2人ではこちらにいらっしゃる皆様には勝てません
くるみ、何を言うの
栗宮さんは、驚いて御厨さんを見る
わたくしは、イーディさんに一対一の勝負を申し込んでいるのですから
そんな風に思っていらっしゃるのは、素子お嬢様だけでございます
御厨さんは、周りの少女たちを見る 朝稽古に参加していたメンバーには美智、ミタマ、キヌカ、ハイジといった警護役たちが居る
イーディお姉様に手を出されたらわたくしたちもお相手致しますわ
誠に申し訳ありませんが栗宮様を排除させていただきます
いただきまする
ミタマとキヌカ姉妹も、そう言う
イーディの敵は、わたくしたち家族の敵でございます
ど、どうしてそうなるのよ
とにかく槍をお納め下さい
御厨さんに言われて、栗宮さんは槍を下ろす
ふむうちの子たちは、みんな気合いが入っているねちゃんと殺す覚悟ができている顔になっている
キョーコさんが、美智たちを見て言う
アハン
ドリル槍姉妹も、美智たちを見てウンウンうなずいている
常に覚悟しなくては家族が守れませんので
みんなを代表して、美智が答えた
わたくしたちは、スポーツ競技者ではなく警護役でございますから
ソウネスポーツ競技としての格闘技ならルールのある場で、安全を配慮しながら、正々堂々と闘うのが正しい姿ネデモアタシたちは、ソウジャナイからネ
アタシは、過去を消すために今は、格闘技のリングに上がっているケレド
イーディは生まれ育った暗殺教団との縁を断ち切るために、マルゴさんの格闘技興行に参加することにした 格闘家として世間に顔が知られてしまえば暗殺教団が再び、イーディにコンタクトしてくることはなくなる
デモアタシ自身の本性は暗殺者のままなのネ仕掛けられたら、殺す気で倒すヨ舐めて掛かったら、家族まで危険に巻き込むことになるカラネ
うんうん、ちゃんとうちの子たちは正しく育っているねぇお父さんは嬉しいよ
それに比べてこの世間知らずのお嬢様は、どうしようもないねえ
そして栗宮さんには、侮蔑の視線を投げ掛ける
さっきあたしは、核兵器とナイフの話をしたけれどさ本当のことを言うと、ただそこに置いてあるだけなら、核兵器もナイフも大した脅威じゃないのさただの物体だからね自分の意志を持たない道具でしかないんだから
危険なのはいつだって、道具を使う人間の方だよ人間の意志が加わって、初めて核兵器もナイフも脅威になるのさ
人間の意志
さっき話したデイビー・クロケットっていう歩兵用核兵器はね2100発も配備されたのに、ついに一度も使われることなく廃棄されたこれってさ、人類はまだどうしょもないほど酷いことにはなってないってことの証明なんだと、あたしは思うよだって、ホラ自分のすぐ側にある核兵器があったんだよ発射装置は、ごく普通の歩兵用の無反動砲で、弾だけが核爆弾だったんだ歩兵なら誰にだって撃てたもちろん、撃ったら確実に自分も死ぬし、全面核戦争の引き金になることは判っているけれどそれでも生きることに絶望しきってしまっていて、世界を巻き込んで自殺しようとする人間デイビー・クロケットの発射ボタンを押したくてたまらない馬鹿なんてのは、どこにだって居そうなもんだろでも、2100発の核兵器を使用した兵隊は1人も現れなかった
核兵器で自殺しようとする人間は現れなかったしそういう病んだ人間が、核兵器に触れないようにするチェック機能も有効に働いていたということなんだろう
起爆しなかった核兵器は、ただの金属の箱だよただの箱のまま2100発の歩兵用核兵器が廃棄されたということは素晴らしいことなんだと思うたくさんの人を殺す強大な力が使われずに済んだんだから
キョーコさんは、そう言うと栗宮さんを見て
つまり人間が有している全ての力は人の強固な意志によってコントロールされなければ、何の意味も無いのさ
あんたはあたしの見たところ、そこそこ槍の使い方を知っているのかもしれない技能はあるのかもしれないでも、あんたにはその力を制御するだけの強固な意志は無いその槍を何に使うのか、あんた自身方向性が定まっていないんだろ
うなだれる栗宮さん
今時槍を持つことが仕事になっているのは、バチカンのスイス衛兵ぐらいだよ槍はかさばる持ち運びには不便だ槍の長さは、素手や剣を持っている敵には有効だけれど銃を持つ敵には意味が無い戦場から槍が廃れて、銃剣に取って代わられたのも当然さその銃剣だって21世紀にもなって、いまだに歩兵に銃剣突撃させているのはイギリス軍ぐらいだしね
キョーコさんは話を続ける
かといって、スポーツとしては槍の競技人口なんて、驚くほど少ないだろその上槍は異種格闘技戦を組むのも難しいどうしたってリーチの長い槍の方が有利に見えるからね
寧もさっき、試合を組んでくれって言われて困ってたもんな
それでもあんたが槍にこだわって生きていくっていうんなら覚悟を見せてくれないとねあたしたちにケンカを売るんなら、殺す覚悟・死ぬ覚悟は持っててくれないとさスポーツとしてやっていきたいんなら競技人口を増やすための努力をしなどっちにして、人様に気安く槍の穂先を向けるのは無礼だと思うけれどね