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 その通りだ栗宮さんの槍は、これから先、どうしたいのかが判らない

わたくしはただ先祖代々、栗宮家に伝わる槍術を伝えていきたいだけです

 泣きそうな顔で、栗宮さんは言う

でもさあんたの家の槍術ができたのは、戦国時代辺りだろ戦国時代なら、一番槍とか槍働きって言葉があるくらい槍は活用されてたんだろうけれど江戸時代ですでに槍は低迷しているはずだそうだよねイーディ

 キョーコさんは、イーディに尋ねる

そうネ江戸時代だって、槍は重要な武芸として認められていたけれどやっぱり、江戸期に入ると剣術の方が主流になるネ平和な時代には、槍を持ち歩くのは面倒だし幕府も槍を持って浪人とかがうろうろすることを嫌ったのネだから、武士は護身用の刀だけを持つのが普通になったし、刀で主を守るための剣術が盛んになったのネそれでも、武士の世の間は何とか槍術は消えずに済んでいたけれど、明治維新でほとんど途絶えたのネ剣道は、学校で教える武道に選ばれたりもしたけれど槍は選択されなかったヨ軍隊でも、銃剣術しか教えてないから槍術を伝える家は、日本全国でももう数が少ないハズネ

ですから、わたくしは栗宮流槍術をわたくしの代で絶やさないために何としても、わが家に伝わる槍術を後世に残さないといけないんですわ

ダカラ、何のためにネ

 イーディは鋭く言う

現実に使える戦闘術としての槍はもう無理ネ時代に合わないヨスポーツとしてはアンタの家の槍術は全然、広まってないネただ残していきたいっていうだけならそれでもいいケレド、アンタの家の中で細々とやってて欲しいノネ家の外に槍を持ち出されるのは迷惑なのヨ

結局、アンタ自身の問題ナノヨアンタが、どうしたいのかハッキリしていないからそのクセ、色んなことに顔をツッコミたがるから、こんな面倒なことになっているノネ

で、でもですがだけど

 栗宮さんは、ドリィとアナの姉妹の持っているドリル槍を指して

槍がもう時代遅れだとおっしゃいましたがそちにのお二人だって、槍を持っていらっしゃるではないですか

 槍繋がりでそんなことを言い出す

ああ、確かにこの子たちは槍使いだよでも

 キョーコさんは、そう言うと現地の言葉で、浅黒い肌の姉妹に何か言った  ドリィさんもアナさんも、ニコニコと明るい笑顔のままオレたちに判らない言葉で、キョーコさんに返事をする

ドリィは、この槍で今までに28人殺しているアナの方は16人殺しているそうだよ

 この小柄で笑顔の可愛い姉妹が人を殺している

孤児を集めて、暗殺者に育てる組織があるんだよ東南アジアにねガマ・ウテナっていうオバサンが居てさ裏社会のボスだよこのオバサンがやっていたのが金蛇の巣っていう暗殺者養成所さこの姉妹はそこの出身で最高傑作だよこの子たちは仲間の少女暗殺者たちを指揮して、組織のボスのガマ・ウテナや最高幹部たちから、下っ端の連中まで組織に関わる人間を全員暗殺しちゃったんだから

仲間にも殺させ自分たちでも殺しているガマ・ウテナ本人も、この子たちが自分のドリル槍で殺したま、この子たちにそうさせたのは、あたしだけどねガマ・ウテナの組織はどうしても潰したかったからだから、この子たちを使って、内部から崩壊させたのさ

何しろ、この姉妹も他の少女暗殺者たちも、人を殺すことに、全くためらいがないからね自分のボスとか、同じ組織の人間だからって何とか殺さないで済ませようなんてことは考えないんだよ多分、あたしが今、この場で命令すれば、姉妹同士でも殺し合うだろうねそれも、どっちかが死ぬまで絶対に止めないそういうのが少女暗殺者の本性なんだよ

 見た目はニコニコ笑っている綺麗な女の子たちなのに  いや、そう言えば  イーディも、いつも笑っている  暗殺者としての教育を受けてきた少女たちは敵を油断させるために、いつも笑顔を絶やさないように教育されているのかもしれない

判るかいあんたの槍は何の役にも立たない無意味なものだけどこの子たちの槍は本物の凶器なんだよ確実に人を殺すからね

 キョーコさんは、そう言うとオレを見て

というわけだからこの子たちは、あんたにあげるからプレゼントだよ煮るなり焼くなり、あんたの好きにしなよ

いや、困りますよそんな、大変な子たちを預けられても言葉だってちゃんと伝わらないみたいだし

ある程度は平気だよ東南アジアに来た日本人を暗殺するために、カタコトの日本語は覚えたらしいから複雑なことは言えないけれど

 キョーコさんは、姉妹に何か話し掛ける  いや、それはさっきも聞いた  ていうか、もしかして日本語はこれしか話せないんじゃ

Darling、アタシ、だいたい判るヨこの子たちの言語

かなりナマッてるけれど、これ、ベースはフランス語ネダカラ、意思の疎通はできるヨ

 イーディはそのまま、オレには判らない言葉で姉妹に話し掛ける

アーハン

 ドリィ&アナ姉妹は、嬉しそうに反応した彼女たちも喋ってイーディがまた返事をする  何とか会話ができているみたいだ

でも、キョーコさんこの子たち危険なんじゃないんですか人を殺すことにためらいがないのならうちの子たちに近づけるのは

 姉妹同士でも殺し合う可能性があるぐらいなんだから何かの拍子に、オレたちを攻撃してくるかもしれない

ああ、危ないよ核兵器レベルで危ない子たちだよ

 キョーコさんは、平然とそう言う

今はあたしとコーデリアが居るから大人しくしているけれどあたしたちが居なくなったら、それこそ何をしでかすか判らないね

そんな困りますよ

 うちには妊娠中の雪乃と渚に、まだ幼い真緒ちゃんだって居る  他の子たちだって

あたしたちだって嫌なんだよいつ、どこで嚙み付いてくるか判らないからね本当に何をしでかすか判らない凶器みたいな姉妹なんだよ

そんな子たちを連れて来られても困ります

 オレが、強く抗議するとキョーコさんは

あたしたちでも、手に負えない姉妹だからあんたにやるしかないんだよ

あんたは人の心を支配できる鷹倉神社の巫女たちを支配している

この子たちは、人を殺す術しか知らない理屈も常識もモラルも無い本当なら抹殺してしまうのが最良なんだよ二人とも殺してしまわないと、生きているだけで危険な子たちなのさ

 なるほど確かに核兵器レベルだ

だから巫女の力で、あんたの都合の良い女に心も記憶も改変するんだよ徹底的にこの子たちを生かしておこうと思ったら、そうするしかないのさあんたの命令に何でも従って、家族には絶対に手を出さないように書き換えるしかないんだ