あなた連れてってあげて
パン工房の方が一段落ついたからオレがいなくなっても平気だな
お供致しますわ
木下さんが粉砕フレイルをガチャリと鳴らして言う ヨミも
待って待って待ってアタシも行くヨ
イーディも休憩室から出て来て、オレに言った 石神家から迎えが来るのならまた別口の警護役を連れて来ているはずだ 石神兄妹の警護役が黒瀬さん以外香月セキュリティ・サービスの反乱部隊と通じていたんだから そいつらも怪しい 警護役は多めに連れてった方が良いか
わたくしは残るわよその方が良いでしょ
キョーコさんの部下のアーニャを連れて行くと、石神家側を変に刺激することになるかもしれない
ミタマちゃんとキヌカちゃんにも、こっちに残ってもらうわ
オレはパン作り用のエプロンを脱ぐ
さあ行こうか
石神瑞希に、そう告げると 彼女は、ジッとオレの眼を見てから
そうね参りますわ
何か、色々とテンパッてます
1360.学園祭B/瑞希、殻を破る
パン工房の外は綺麗な夕焼けになっていた 学園祭の初日は、もうすぐ終わる 外部からのお客さんたちは、ほぼいない 明日もあるから、生徒たちもみんな今日は早めに帰宅するだろう うちの高校は泊まり込みは許可されていない 勝手に泊まろうとしても、監視システムで発見できるから確実に追い出される
こっちですよ
石神瑞希と黒瀬安寿さんそれと香月セキュリティ・サービスの木下さんに、イーディとヨミ 警護役を多めにしてオレたちは、教職員用特別駐車場へ向かう道を歩いて行く
学園祭もこの辺は何のイベントも無いから、閑散としていネ
イーディが言うとおりすぐに人通りがなくなった
何故なのでございますか
突然、石神瑞希がオレに尋ねる
何故、黒森様はそんなに普通にしていらっしゃるのですか
真っ直ぐに、オレを見る オレには、石神瑞希の言葉の意味が判らない
先ほどのパン工房に行く前と後では黒森様は全然違います
パン工房の前石神瑞希を懲罰レイプしたことか
あのパン工房では黒森様は、わたくしにほとんど気を留めていらっしゃいませんでした
そりゃあそこでは、どんどんパンを焼かないといけない状況だったしさ
瑞希の相手をしている余裕は無かったけれど無視していたわけじゃないぞ
ええ、黒森様時々、わたしたちの様子をご覧になっていました
黒瀬安寿さんが、不思議そうに答える
そういうことではなくて
石神瑞希は、ムッとした様子でオレを睨む
あんなことがあったというのに黒森様は、わたくしのことなんて、何とも思っていらっしゃらないんですわ
やっと判った 石神瑞希にとっては、オレにレイプされたことがとんでもなく大きな問題なんだ 彼女の人生において1、2を争うような それなのに、彼女を犯したオレの方はレイプしたことを忘れてしまったかのように、普通に日常生活に戻ってしまっていることが、納得できないんだ
何とも思っていないなんてことはないけれどその時、その時で切り替えをしていかないとダメなんだよ
石神瑞希をレイプしたのは黒森公としての仕事で パン工房で働くのは吉田良信としての仕事だ
そうじゃないとオレには、やらなきゃいけないことがいっぱいあるからさ
仕方ないネDarlingとアンタでは、生きている世界が違うノネ
イーディが、笑って言う
自分の世界ダケが世の中の全てジャナイというコトを、アンタは学ぶべきヨ
わたくしが間違っているというのですか
石神瑞希は、イーディを睨む
間違ってるも、間違ってないもナイのヨ違う世界には、違う常識違う日常があるノネソレダケのコトヨ
石神瑞希の信じるルールは名家の令嬢という彼女の日常に起因するものだ オレたちの犯罪組織・黒い森のリクツとは違う
アタシたちにとっての日常とアンタにとっての日常が違うモノであるなんてことはヨクあることなのネ
イーディは、さらに言う
一般的な世界デハアンタたちの日常の方が、どちらかというと普通ナノカモしれないノネダケド、だからと言ってアタシたちが、アンタたちの日常に合わせなくちゃイケナイ理由はないノヨ
うんそういうことだ
アンタが名家のお嬢様だとシテモ不始末をやらかしたら、相応の罰を与えるアタシたちは、そういうトコはキッチリしているヨ
相手次第で手加減したりしていたら他の組織からナメられるもんな誰が相手だろうと、ヤラれたらヤリ返すいつでも、こちらのツメとキバを示していかないと弱みを見せたら食い付かれるからな
だから、後悔とかは全く無い当たり前のことを当たり前にしただけだ
オレの言葉に、石神瑞希はブルっと震える 怒りと不満のこもった眼でオレを見た
それにお前にはそれだけの価値があったしな
驚く石神瑞希
お前は良い女だったって言ってるんだよ瑞希
この娘の身体は良かった 性格はともかく、美人だし、プロポーションも良いし処女の締め付けも素晴らしかった 石神瑞希は、頬を赤くする
ああ、お前から石神家が支払うべきペナルティは、きっちり返してもらったって思っているよだから、石神家が今後どう動くかは判らないけれどオレたちの方からは、もう何もしないよ今回のことのオトシマエは付いたと思っている
石神瑞希は、黙り込む
悪いけれどこれがオレたちのリクツだし、オレたちの日常だから
黒森様にとってはわたくしのことも、学園祭に参加なさることもごく普通のことなんですわね
レイプもパン作りも オレにとっては日常
うん、そうだそういうことなんだよ
寂しそうに石神瑞希は答えた
トコロデアンジュのコトなんだケレド
イーディが、黒瀬さんのことに話を移す オレは黒瀬さんに
黒瀬さんはこのまま石神家に仕えていくつもりはないんだろ
は、はいえ
だって女の子の警護人は、瑞希が高校を卒業するまでしか雇ってもらえないだろうし
名家の令嬢には高校卒業後は、大人の警護人が付く
黒瀬さんは先祖代々、石神家に仕えている家の出身でもないからそのまま石神家が雇用し続けてくれるとも思えないし
うつむいて、黒瀬さんは答える
それに、石神憲王も瑞希も馬鹿だから、黒瀬さんの価値を全然判っていないもんな
オレはハッキリと言う
いや、黒瀬さんはもっと高く評価されるべきだと思う
オレがそう言うと木下さんが振り返り
では、香月セキュリティ・サービスに入社していただきますか