そうよあなたと克子が、本当にお店を出した時には今日の売れ行きは、最低ラインになるわよ
それはそうだねでも
今日のオレたちは溢れかえるお客さんたちをサバくのにてんてこ舞いだった こんなんじゃ
今日のあなたたちは、いっぱいいっぱいだったわよねだから、明日までに何とか工夫しなさい
工夫
人の配置の仕方とか作業の合理化とか単純に人を増やすのでもいいわ今から対処して改善できることはたくさんあるはずよ
改善
世の中のほとんどのことは、やってみないと判らないわ今日一日、やってみて色々と判ったでしょだから、今日の経験を明日の営業に役立たせるのよ時間をムダにしないで、改善できることはどんどん直していきなさい
やってみるしかないし、ダメなら直すしかない 悩んでいるヒマがなんか無いんだ
パン工房へ戻ったら、みんなと相談してみるよ
きっと愛や可奈センパイたちも問題点について考えているはずだ みんなで明日の学園祭2日目に向けて業務改善する
そうよそうやっていけば今日の現場の混乱なんて、大したことじゃないってすぐに判るわあなたは、もっともっと大きなビジネスをしていかないといけないのよ
ミナホ姉さんは、優しくオレに言う
この子たちも今、不安に感じているんだよ
今、この子たちはスラムでの生活や少女暗殺者として飼われること以外に別の生きる道があるかもしれないって、感じ始めているみんなでパンを作ったりお店をやったりしているアンタたちを見て楽しそうだなって自分たちも、一緒にやってみたいって気になっている
オレは装甲車の上の13人の少女たちを見る みんな、真顔でオレを見ている
東南アジアに戻ったドリィとアナが他の子たちに話したそうだよアンタなら、自分たちを救ってくれるかもしれないって
少女暗殺者という運命から脱する 普通に生きて、普通に暮らす少女になる
でも本当に、そんなことができるのか不安なのさ怖がっているんだよ今までとは、全く違う人生になるんだから
うん26個の瞳が、そう訴えている オレを信じて良いのかって
少なくともアンタはこの子たちを少女暗殺者のまま、自分の手駒にしようとはしなかったそのことを、あたしは高く評価するよあたしが見込んだ通りあんたに、この子たちを任せて正解だったって
それは当たり前じゃないですか人を守るのならともかく自分の命を捨てでも、相手を殺す能力なんて無意味です
無意味ってことはないだろ暗殺能力だって敵と闘うためには有効な力だよ
そうじゃないですそういうことじゃなくってこの子たちが、この先生きていくためには要らない能力じゃないですか
オレは13人の少女たちを見上げて、言う
自分の命を捨ててでもなんてのじゃ、生きていけないですよ生きていくための力って、そういうものじゃないでしょ
生きていくってことは明日とか、明後日とか1年後とか、10年後とか先のことを考えて未来に幸せになることを考えて、今を行動するものです先の無いことなんて身に付けるべきじゃないんです
命と引き替えに暗殺を成功させる能力なんて無意味だ
キョーコさんこの子たちに伝えて下さい
オレは少女、1人ずつの眼を見つめていく
お前たちの命は、オレが預かった今日から、オレがお前たちの主人だお前たちのことは死ぬまで、オレが面倒を見るその代わりにお前たちはオレに従え
オレの言葉をキョーコさんが、少女暗殺者たちの言語に翻訳してくれる 少女たちは無言で、オレを見つめている
オレが最初に、お前たちに命じるのは未来のことを考えろ明日なんていう近い将来のことじゃない自分たちの1年後、3年後、5年後、10年後のことを考えるんだ
いいか、オレはお前たちを殺すつもりはないお前たちは、1年後も、3年後も、5年後も、10年後も、もっともっと先まで生きている生きるんだお前たちが嫌でも、オレが生かしてやるつまらないことで死ぬことは絶対に許さない生きろ
キョーコさんの同時通訳を聞いて少女暗殺者たちの中に動揺が拡がる 今までは先のコトなんて考えられない生活をしてきたんだから
大丈夫だオレがオレとオレの家族が、お前たちと一緒に生きるこれから先、ずーっとお前たちも、オレの家族になるんだだからお前たちは、これからずーっとずーっとオレと一緒に生きていくしかないなんだよ
オレは彼女たちの心に言葉を放つ
でも、生きるってことはただ呆然と過ごしているんじゃダメなんだ幸せになりたいのなら今よりも、もっと良くなりたいのなら幸せになるための努力をしなくちゃいけないんだ幸福に暮らしていくための力と技を身に付けていかなきゃいけないそれは、お前たちがこれまで身に付けてきた暗殺術とは全く違うものだ
生きるための能力は殺すための能力とは違う
1年後、3年後、5年後、10年後に幸せになりたいのなら幸せになるための努力をしなくちゃいけない自分の未来を考えてみろどうなりたいのかあるいは、どうしたいのか将来のビジョンを見つけろもちろん、急いで見つける必要は無いゆっくりでいいから
オレに少女たちは注目している
心配するなオレは、ここに居るどんなことになっても、オレが必ずお前たちを幸せに導いてやる
ドリィが何かを言った
それだけでは判らないアンタに従うというのは具体的に何をするのかって聞いているよ
キョーコさんが、オレに通訳してくれた
オレが、お前たちに求めるのはお前たち全員に、オレはオレの子を産ませる
オレははっきりと告げる
お前たちはオレの子を、幸せに育てなければいけない自分が産んだ子だけじゃないぞ自分以外が産んだオレの子もみんなで幸せにするんだ
13人の少女たちが、ハッと息を呑んだ
だから、オレたちは1つの家族になるお前たちもオレの家族に加わるんだオレの家族が全て、お前たちの家族になるんだ
肌の色も眼の色も違うこの子たちも全て、オレは呑み込む
家族になったら仲良くしろ1人1人の幸せでなく家族全員の幸せを考えろそうすればオレたちは、ずーっとずっと一緒にいられるみんな一緒に、1年後も、3年後も、5年後も、10年後も幸せでいられるんだ
オレがそう叫んでキョーコさんが通訳する しばらく沈黙があった ドリィが何か叫んだ アナも
ドリィとアナはアンタに従うってさ
13人の少女たちは口々に、オレに従うと宣言してくれた 迷っている子たちは他の子たちが説得してくれた
全員、アンタに従うことになったよ