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でも、取りあえずみんな問題なく食べているよね

鶏肉のお料理をメインに致しました

 素子がやって来てそう言った

牛やブタですと食べられない方が、いらっしゃるかもしれませんしお魚もダメな方がいらっしゃいますから

 そうか、そこまで考えてくれたんだ

最近は、お寿司が世界中で食べられるようになりましたがそれでも、生魚が食べられない人は多いですし

うん、日本の感覚で今日は歓迎会だからお刺身の盛り合わせとかにすると、食べられない子がいたかもしれないよねっ

取りあえず鶏肉だと無難ですから他のお肉のお料理も、幾つかは作りましたけれど

 ああ平然と全種類食べている子は、食べ物に関するタヴーの無い子なんだ  注意深く選んでいる子は、色々と理由があるんだ

あの子たちの聞き取り調査をしたけれど特に特定の宗教を信奉しているという子はいなかったわ

だから、単純にそれぞれの子の背景にある文化的な差なんでしょうね子供の頃に母親が作ってくれた料理とか、親と別れた後に暮らした孤児院の食事とかの影響なんだと思うわ

 食べ慣れていないモノを敬遠しているということか

最終的にあの子たちが生活していた組織での食事は、どうだったの

 寧が、翔姉ちゃんに尋ねる

それが東南アジアの犯罪組織の女ボスは変わった人で、あの子たちには365日、ずっと同じメニューの食事しか与えなかったらしいわそれも病院食みたいな、最低限の栄養が取れればいいみたいなご飯だったそうよ

どうやら、食べることに興味が無い人だったみたいねその女ボスは

美味しい物を食べる喜びを奪われていたんだねあの子たち

 寧が、外国少女たちを見る

喜んでパクパク食べている子はそれでも、お母さんと暮らしていた時は美味しい物を与えられた経験があるんだと思うそういう経験すら無い子は

 ああ、そうかアンネ・ロゼが同じ料理ばっかり食べているのは、そういうことか  こういう形式の食事だと、何を食べて良いのか判らないから怖がっているんだ

イーディ、アンネ・ロゼに他の物も食べろって伝えてくれ同じものばかりじゃ、栄養のバランスが悪くなるからってこれはオレの命令だ

 オレは、大きな声でイーディに言う

アンネ・ロゼが食べられそうな物を、イーディが選んでやってくれ

 イーディのことだからアンネ・ロゼの文化的な背景は、察知していると思う

了解ネ、Darling

 イーディが笑って、それからアンネ・ロゼにオレの命令を伝える  アンネ・ロゼは困惑していたが、イーディが幾つかの料理を指で示してどんな食材を使ったものなのか、一つ一つ解説していった  だから、アンネ・ロゼはその中から、別の料理も試してみる  おそるおそる口に含んでニコッと笑った  口に合う料理だったらしい  彼女の様子を見て、他の子も同じ料理を試してみる  そこから会話が生まれる  外国少女同士、あるいはイーディたちと笑顔で料理について話す  イーディが、素子たちを指差した  改めて、あの子たちが作ってくれた料理なんだということを伝えたのだろう

これでさっきお風呂に居なかったお台所組のことも、あの子たちは認めてくれると思うよっ

美味しいご飯を作ってくれる人のことは、好きになるしかないもんっ

 素子とくるみ、桜子とシエさん、まり子とハイジそれから茉莉花  イーディが1人1人を、外国少女たちの言葉で紹介していく  食堂の中は、どんどん和やかな雰囲気になっていく  後ろから黒瀬安寿さんが、オレに声を掛けた

ん、どうしたんだ

 彼女は、少し暗い表情をしていた

あの、わたしいつの間にか、ここに居させてもらっていますけれど

 黒瀬さんは、うつむいて言う

黒森様は香月セキュリティ・サービスをお持ちなんですよね高名な関さんが、ここにいらっしゃいますしイーディさんたちだって、ずっとわたしよりも警護役としての能力は上ですし

警護役としてだけじゃなく純粋な戦闘力も、あの子たちの方が高いわね

 翔姉ちゃんが、イーディやミタマたちを見て言う

わたしもそう思いますですからその

 黒瀬さんは深刻な眼で、オレを見た

わたし、必要ですかこちらのお屋敷に

 オレは、即座に

必要だだから、オレは安寿を石神家から奪い取ったんだ

でも、わたしは

ああ、自信が無いのねあなた

そういうことは、今は悩まなくて良いハイジ、こっちに来てくれ

 オレは、ハイジを呼ぶ

いかがいたしましたか

 ハイジは、ササッとオレの前にやって来た

ハイジお前、ここしばらく渚の店の手伝いとかもしてもらったけれど

 オレは、ハイジを見て言う

いや、それはハイジが色んな経験をして、世の中のことを色んな角度から見るようになって欲しかったからなんだけれど

 ハイジは、13歳でプロの警護役として働いていた  それはそれでスゴいことだけれどハイジは、物事を一つの方向だけで見て判断をする悪いクセがあった  だから、しばらく渚のお店の手伝いをしたり、お屋敷の家事をしたりして  警護役とは違う生活を経験させた

はい色んなコトが判りました特に、渚お姉様のお店でお客様の応対をせていただいたのは、とても勉強になりました

 花屋での接客がハイジを変えた

ハイジは、このままビジネスの道に進んでもいいんだぞ正直、オレはハイジには商売の才能もあると思うし

 ハイジは名家のお嬢様たちに、自分が卒業したアカデミー出身の警護役を紹介するビジネスを起ち上げようとしていたし  商業的な野心もある子なんだよな

それとも、初心を貫いてプロの警護人になる道を進むか今すぐ決めなくていいけれど、どうしたいのか考えておいて欲しいんだ

 ハイジは、オレの眼を見て

わたくしは警護人になりたいと思っております

ビジネスにも興味はありますが、わたくしは警護人として、黒森様と家族を守る人生を歩みたいのです

 ハイジの瞳は、真剣だった

ようやく生涯を懸けて、守るべきモノに出会えたのですから

 オレは、翔姉ちゃんに

翔姉ちゃん香月セキュリティ・サービスで、ハイジの特別研修を組んでくれないか

ええ、判っているわ将来の幹部候補生わたくしの次に、香月セキュリティ・サービスの現場を仕切れるような人材に育て上げるわ

 笑顔で、翔姉ちゃんは言う

ああ、美智もイーディ、ミタマやキヌカたちも、とっても強いけれど自分が前に出て闘うタイプで、たくさんの警護役を指揮したりするのは向いてないからな