スラムに暮らしている人たち特に、女の子の一番の夢って何だと思います
レイちゃんが、オレにそう尋ねた瞬間 大きな声でキョーコさんがそれも、元・少女暗殺者たちの言葉で話し掛ける
注目って言ってるわ
アーニャがやって来てオレに通訳してくれた キョーコさんは、さらに話し始める
アンタたちが、パンを作っていく様子をアタシは見てきた実際のところ、言われた通り真面目に作っている子もいればいい加減な子も居た仲間同士で競い合って、作りが雑になっている子も居た
キョーコさんは、できたパンをオーブンに入れてしまってもう直せなくなってから、この話をしている
アンタたちの中には正直、何でパンなんか作らせるんだ自分は将来、パン屋なんかになりたくないのにって思っている子もいるだろうそれは別に構わないんだけれど
アタシたちが知りたかったのは、アンタたちの性質さちゃんと言われた通りのことができる子なのかそれも教わった通りのまま、最低限のことしかしないのか逆に、勝手に自分なりのやり方を付け足してしまったりはしていないかそれも美味しいパンを作ろうという研究熱心さからなのかあるいは、退屈さを誤魔化すためにいい加減な気持ちで手を加えたのか
ああここまで、余り細かいことを言わずに、この子たちに自由にパンを作らせていたのは この子たちの性格を、より詳細にチェックするためか
いや別に今作ったパンのことで、アンタたちに何らかのペナルティを与えるつもりはないよそんなことをしなくても、できあがったパンをお互いに試食してみれば判る
キョーコさんは、13人の少女たちを見て言う
自分で自分の作ったパンと、他の子の作ったパンそれから、サンプルとして克子たちが作ったパン、ついでにアタシが作ったパンも食べ比べてみるといい
アーニャが、そう通訳してくれた
それで判るから
手を抜いた人は、手を抜いたことが 余計な付け足しをした人は、付け足しの結果がどうなのか そして、本来作らなければならなかった克子姉のパンがどれぐらい美味しいのか 自分の舌で理解させる
さてと、一応言っておくけれどあんたたちは、別にパン屋ならなくたっていいんだあたしたちの家族には、他の商売をしている子もいる
キョーコさんは、壁のディスプレイに渚の映像を映し出す
みんな、食事の時に会ったからもう知っているよね真緒ちゃんのマミーで、今、次の子も妊娠している渚だ
さっきの夕食会の中で、渚は13人の外国少女たちには特別な印象を持ったろう
渚は、元・娼婦だったでも、今は完全に足を洗ってお花屋さんをやっている
キョーコさんは、画面に渚の花屋の様子を映し出す
この花屋が全て、渚のものだ店長として雇われているんじゃないよ渚自身がオーナーの渚の城なんだよ
オーッっという声が、少女たちから起きた
さっきの話スラム街の女の子たちの将来の夢の1番はお店のオーナーですよ
スラムにはたまにいるわけです売春婦だったけれど、良い旦那が付いて、お店を開くことができたっていう子がそういうのが、スラム育ちの女の子たちが感じる一番、現実的な夢なんです
大企業の正社員とかそういうのは、最初から手が届く夢の内に入っていない
渚は頑張ったから、これだけのお店を手に入れた渚だけじゃないよアタシたちの身内には娼婦から足を洗って、色んなお店をやっている人たちがたくさんいる
キョーコさんは黒い森の娼館を引退した元・娼婦のお姉さんたちの中で お店をやって成功している人たちの顔写真と、店の画像を次々と画面に映していった 美容室や、ネイルサロンタマヨさんのラブホテルの画像もあった
渚にできたことなんだからアンタたちにだって、できるはずだアンタたちが良い子なら、店の1つぐらいは持たせてやるよただ
パン1つ、言われたとおりに作れないような子には、そういう特典は与えないかもしれないけれどね
ギョッとなる13人 そして、キョーコさんはオレを指さすと
アンタたちに関する判断は、あの子が決めるあの子が、アンタたちのアーク・マスターだこれからは、もう少し注意して行動するんだね
13人の合計26の眼が、オレに集まる
そうだな全てはオレ次第だ
この子たちを受け入れたのは、オレなんだから
外国少女たちは、みんな不安そうな顔をしていた
はい、じゃあ食べてみましょう
パンが焼けて、克子姉がそれぞれのパンを配る
最初にまず、あたしの作ったサンプルのパンを食べて
克子姉の言葉を、キョーコさんが通訳する
じゃ、イチニーノサンだっ
キョーコさんの号令で、みんな克子姉のパンをムシャッと口に含む オレも食べた
発酵とさせないで作る方式のクロワッサンだけど小麦とバターが効いている
それじゃあ次は、自分の作ったパンを食べてみな
キョーコさんに言われてみんな、自分のパンを食べる みんな苦々しい顔をした 克子姉のパンよりも、格段に美味しさが劣っているんだろう
そしたらあんたたち、お互いが作ったパンを食べ比べてみな
キョーコさんは、そう言うが
自分のパンが克子姉のパンよりも劣っていると知った少女たちは、恥ずかしがって自分のパンを隠そうとする
これは命令だアーニャ
アーニャが少女たちからパンを1つずつ、回収していく 13個のパンを乗せてオレのところに持って来た
食べてみな
キョーコさんは、オレに命じる 一番のドリィのパンから、食べていく
ドリィは、克子姉の仕事をよく写しているでも、深みが足りていない
オレの感想を、キョーコさんが通訳する
アナも、真面目に作っているけれどドリィより雑だしっかり生地が練れていない
真面目なドリィ&アナ姉妹は、真剣な眼でオレを見ている
ペーニー・スゥのは、形ばかり綺麗で肝心の味がダメだヴァギィナは、形で遊びすぎでも、味の方はそこそこだな
正直に診断していく
オソソは、味はちゃんとしているけれど形が歪だお客は見た目も気にするんだから、こういうところはちゃんとしろ千代のは何で、みんなより一回り小さいんだ変なところで個性を発揮するなどうして、克子姉がこの大きさでパンを作っているのか考えて見ろでも、味は悪くない
アンネ・ロゼ何で甘いんだ自分が甘いのが好きだからって、こっそり砂糖入れたろ美味くないわけじゃないけれどこれはダメだこういうクロワッサンにするつもりなら、最初からチョコ・クロワッサンとかにするよ生地に余計な砂糖を入れたりはしない
アンネ・ロゼがカクッと落ち込んだ表情になる