お兄様瑠璃子もおりますから
うん、お屋敷でのパン作りの作業は瑠璃子がアニエスたちを見てくれれば安心だ
わたくしたちも、おります
素子にくるみも顔を見せてくれた 名家のお嬢様たちには、今日は留守番して貰う ありすと桜子桜子の警護役だったシエさんも来ている ここに後で、みすずと美智と美子さんも加わるだろう
アーニャは、キョーコとドリィたちを見ているネ今後の進路指導トカをするって言ってたヨ
ドリィたち少女暗殺者たちのことも心配しなくて良い
わたしも、藤宮さんが帰って来るまでは、こちらのお屋敷を警護致しまーす
木下さんが、笑顔で言った 壊し屋の木下さんと、慎重なハイジのペアなら、警護は完璧だ うん、全て問題ない
ヨッちゃん、閉めるよ
寧がバンの後部のドアをバタンと閉めてくれた 克子姉がバンのエンジンをスタートさせる バルルルンッ 家族の声に見送られて、オレたちの車は発進した 暗い荷室の中に居るのは、オレとレイちゃんと月子と黒瀬安寿 狭いみっちりと肩を寄せ合っている
レイちゃん、あのさ
オレが小声で話し掛けると
判ってます後の車で、雪乃さんもちゃんと連れて行きますから
オレが言う前に、レイちゃんはそう答えた
高校生の時に体験できる学園祭は、3回だけですものね
月子も、ニコッとオレに微笑んでくれた いつもの様に、裏門から高校に入った
克子お姉さん、ここで下ろして下さい
ああ、ここならパン工房よりも、女子陸上部の部室棟に近い
ヨシくん、あたし行くねっミーティングが終わって、あたしの担当時間まで間があったらパン工房の方へ顔を出すわ
ああ、頼むぞ、メグ女子陸上部の皆さんによろしく言っておいてくれ
本当ならメグとキスしたいところだけれど、今日はいつもの日以上に座席とオレの間にパンのパッドがあるから無理だ
判ったわじゃあ、後でね
メグは助手席から降りて、真っ直ぐに走って行く うん走っている時のメグの姿は綺麗だ
公様は、恵美さんのそういうところがお好きなのですね
月子がオレの心を読んで言う 克子姉が、バンをオレのパン工房の裏口に横付けした 克子姉がドアの鍵を開けている間に、愛が降りて来て、外からバンの後部ドアを開けてくれた
黒瀬さんオレに付いて来て
一般生徒に見られないうちに、黒瀬安寿をパン工房の中へ連れて行く オレは、工房の中の休憩室のドアを開け
とりあえず、この部屋に居てそっちの装置は、使い方を教えるまで動かさないでいいね
そのままパッドの搬入をする 持って来たパッドを全て入れ終わったところで
麗華さん、鍵よ
じゃあ、わたくしは戻ります
レイちゃんが克子姉から車のキーを受け取り、再びバンに乗り込む
頼むよ、レイちゃん
レイちゃんは、運転席からオレに微笑む ドルルルンッ バンは再び、お屋敷へ
さあ、白衣に着替えて作業開始よ
パン工房のドアを閉めて、克子姉が言った 克子姉とオレと愛と3人 オーブンに火を入れたり、パッドから焼く前パンを出したり作業を開始する
女子テニス部の子たちは、部室の方に集合なのよね
ああ、みんな着替えてから、こっちに来るって
パン工房+女子テニス部喫茶だから女子テニス部の子たちは、全員、テニスウェアで店に立つ だから、部室で制服からウェアに着替えて朝のミーティングを済ませてから来るはずだ
やって来るのはもう15分か、20分ぐらい後じゃないかな
オレは壁の時計を見て、そう言った
そうそれなら、今のうちにあたしたちでできることを済ませておきましょう
愛はもう自分のパンに取り掛かってくれ
今回は、女子テニス部の子にもパンを作ってもらっているけれど複雑な工程のパンは無理だから、オレたちで作るしかない その上、愛には愛のペースがあるから他の人と一緒には作れない もうすっかりパン作りに慣れてきているから、決して作業が遅いわけではないんだけれど 何か、他の人と違うところで作業がゆっくりになったり、早くなったりする独自のペースで作業を進める なのに、出来上がった愛のパンはとても丁寧な仕上がりで、格別に美味い
あのうわたしも何かお手伝い致しましょうか
ギィと休憩室のドアが開いて、黒瀬安寿が顔を出す
いや、いいからそこに居てくれていうか、もうすぐ人が来るから隠れててくれないと困る
オレは作業の手を止めずに、彼女に言った
いいわ監視モニターを起ち上げて、装置の簡単な使い方だけ教えてあげるわ
克子姉が、そう言って休憩室に向かおうとする 寧かイーディを連れて来れば良かった そうしたら、黒瀬安寿の世話をしてもらえたのに いや、黒瀬安寿を連れて来たのが間違いだったか どっちにしろ、バンにはもう人が乗れなかったし
克子お姉様わたくしがお相手致しますわ装置の使い方も、わたくしがお教え致します
オレたちの様子を壁際で見ていた月子がそう言う
でも、月子さんは監視装置のことは判らないでしょ
克子姉の言葉に月子は
今、判りました大丈夫です危ないところは触りませんから
ああ巫女の力で、克子姉の記憶を読んだんだ 黒瀬安寿に教えてあげると言った時に、克子姉が頭の中で思い浮かべた監視装置の使い方今の黒瀬安寿に、どの段階まで教えるかということまで
そう、じゃあ、お任せするわ
そちらのお部屋の中のお茶のセットも使ってよろしいですか
月子は休憩室の備品についても、オレたちから読み取っていく
ええ、いいわよ二人でお茶でも飲んでいて
ありがとうございますさあ、黒瀬さん
月子が、黒瀬安寿を休憩室ら押し込む
わたくしたちは、こちらのお部屋で落ち着かせていただきますのでどうぞ、ごゆっくりお仕事をなさって下さい
こちらのお部屋少し暗くはありませんか
いや、蛍光灯は全部点いているけれど
そうですかわたくしの思い過ごしですね
月子が、やんわりと微笑む
ああ、忘れてたわ監視モニターが点いてないわね
いつも作業中に、パン工房の外の様子を確認しているモニター画面が点いていない
では、失礼致します公様、くれぐれもお怪我をなさらないよう、落ち着いてお仕事なさって下さいませ
月子は、そう言うと休憩室の中へ入り、ドアを閉じた
こんなの、いつもなら真っ先にすることなのに
克子姉が、壁のモニターの電源を入れる オレたちにとって、外部を監視するのは防御の要だ それを忘れるなんてオレも気が緩んでいるな 現在の学生食堂の様子が、映った 生徒は疎らまだ早いもんな 学園祭の2日目だから、昨日のうちに準備は終わっているわけで 朝一から登校してくる生徒は、そんなにはいない