愛が可奈センパイに言う 愛は、怒りの可奈センパイを前にしても平然と自分のパンの作業を続けている
それでね可奈ちゃんに連絡できそうになった時はもう、ここに出発する時間でつまり、30分くらい前ねだから可奈ちゃんも、もう家を出ちゃって、バスとかに乗ってる時間になっちゃってたの
愛はゆっくりと自分のペースで話す
だから、可奈ちゃんへの連絡は寧お姉さんに、お願いしたのそれで、あたしたちは、パン工房に着いた後はパンのパッドを下ろしたり、オーブンを点けたりやらなきゃいけないことが、いっぱいあったから可奈ちゃんに連絡できなかったの
愛の細くて可愛い声と、ゆっくりな言葉に可奈センパイのテンションも緩む
本当なのね、愛
本当こんなこと、嘘言っても、しょうがないもんそうだよね吉田くん
ニコッと笑って愛が、オレを見る
可奈ちゃんまた、いつものパターンなんだよ
何のことよ、愛
国営テレビの取材のお話は、御名穂お姉さんが決めてきてくれたから御名穂お姉さんいつも、突然だもん
あーあーあー、そういうことね判ってきたわ
可奈センパイは、うんうん頷いて納得する
御名穂お姉さんはいつも、突然、吉田くんに大変なことをさせようとするから
あの人ノブに対する試練と周りの人への迷惑がゴッチャになっているのよね
あの、可奈センパイ多分、ミナホ姉さんは
いつものパターンなら、隠しマイクでオレたちの会話を盗み聞きしているはずだ
知ってるわよあたしも、もうお屋敷に何回も泊まっているんだから
可奈センパイは、天上を見上げ
あたしは、わざと話してるのっ少しぐらい嫌味を言わせてよあたし、怒っているんだからね
そんなに、テレビの件を伝えなかったことが腹立たしいんだ
判ったわノブも被害者なのね全く、あの人ギリギリにノブに話して、ノブが困るところを、どこかから監視して面白がっているのよ御名穂さん、そういうのは、良い趣味じゃありませんからね
いつものミナホ姉さんなら朝のあのタイミングでなく、もっとギリギリまで待ってオレに話すんじゃないだろうか 今日のテレビの取材もオレの試練として、ミナホ姉さんが計画したことならオレの瞬発力や、瞬間的な判断力を鍛えるはずだから
とにかく安心して、可奈ちゃん吉田くんは、可奈ちゃんのことを嫌いになって、連絡しなかったんじゃないから
判ったわよあたしも、お屋敷の朝のノブが、どれだけ大変か知ってるもの小さい子たちの面倒を見たり、みすずさんがオシッコするのを確認したりしないといけないのよね
それはまあ、そうなんだけど
小さい子たちだけじゃないよあたしたちの家族は、大きい人も朝から吉田くんにベタベタしたがるわ
愛がまた1つパンを完成させて、パッドに並べる
そうねそれも知ってるわ可奈もノブに朝からベタベタしたこともあるもの
そう言うと、可奈センパイはオレに向かって
ごめんなさい朝からギャーギャー怒っちゃってノブ、本当にごめんなさい
いや、そんなのはいいんだよ可奈センパイ
ノブのことを信用しないで、ノブの都合も考えずに一方的に怒ってごめんなさい申し訳ありませんでした
ちょっとちょっと可奈センパイ
だから可奈のこと、捨てないでね可奈はノブに捨てられたくないから
可奈はノブが大好きっ愛してるんだからだから、ごめんなさい
オレはとにかく、可奈センパイの柔らかい身体をギュッと抱き締める
オレも可奈センパイのことは大好きだから愛してるだから、おかしなことは考えないで
オレも考えが浅かったんだテレビの取材のことを聞いたら、すぐに可奈センパイに連絡するべきだったんだごめんごめんなさい
オレには、まだ可奈センパイやテニス部の子たちにとって、テレビの取材がトンデモなく重要ことの理由が判っていない 判らないけれどでも、オレはミスをしたんだ オレは、この件をできる限り速やかに、可奈センパイに伝えるべきだったんだ
そうよ寧さんからのメールじゃなくて、ノブに電話して欲しかったのよノブの声で、直接聞きたかったわよそしたら、一緒に凄いね、今日は頑張ろうねって言い合えたのに
可奈センパイは、オレにそうして欲しかったんだ それが普通の高校生の感覚なんだ
ううん、あたし、ワガママ言ってるんだよねノブは、あたしだけじゃないもんね手の掛かる面倒な子たちを一人で相手しているんだから
いや、違うよオレがいけなかったんだゴメン、本当にゴメン可奈センパイ
オレは可奈センパイの心を理解できなかった自分が情けなかった
いいのよ可奈の方が、ノブのセックス奴隷なんだから我が儘な奴隷でごめんなさい
気の利かない主人でごめん
オレと可奈センパイはお互いの身体を、優しく抱き締め合った
テレビの取材、楽しいそうよね
あたしも撮してもらえるのかしら
それは判らないけど
パン技能士コースがメインの取材だから、愛とノブを中心に撮るはずよねでも、可奈もこっそり出ちゃおっとるんっ
久々に、可奈センパイの口癖のるんっが聞けた こういう他愛も無い会話を可奈センパイはオレに望んでいたんだ それをオレは気が付かなかった
あの、あなたたちそろそろ良い今は、色々とやらなきゃいけない仕事がたくさんあるんだけれど
克子姉が、オレたちに声を掛ける
あ、いけねっパン、焼かなきゃ
気が付くと、愛と克子姉だけで作業を進めてくれていた
あ、でもテニス部の子たちが動揺しているのはホントのことなのよ克子さん、ちょっとあの子たちにお話してもらえませんか
オレが話そうか
ダメよこういうことは大人が話さないとノブは、テニス部の子たちにとってはパン技能士コースの普通の男子生徒でしかないんだから克子さんはパン工房担当の先生ってことになっているでしょ
国営放送の取材を受け付けたのは、オレたちの高校ということになっている だから、高校に雇われているパン技能士コースの講師として克子姉が女子テニス部の子たちに話をする方が道理に合っている
そうねあたしが話さないといけないわよね
克子姉は、作業の手を止める そのままオレは、克子姉の仕事を引き継いだ
あたしも時間が無かったから細かいことまで、ちゃんと考えていなかったわそうなのよねテレビの取材なんて、嫌がる子もいるのよね
ああそういうこともあるのか テレビに自分の顔を映して欲しくない子もいるのか
いえ、うちの部の子たちはむしろ全員、映りたがってます