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済まないわたしはもう少し、あの子たちを見ていたい

 グレースさん本名、尾上ジュンさんは、ドリィ&アナを指して、そう言う

わたしは自分が苛酷な環境に耐えて、強くなったと思っていたしかし、あの子たちはわたしが経験して来た以上に厳しい世界を生きてきた

 孤児として生まれ少女暗殺者として育てられ、すでに何人もの人間を殺してきた少女たち

プロレスには勝ち負けしかないが、あの子たちの場合は常に生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされていたのだから

ジュン、それは違うネ

死が余りにも身近過ぎる状況で暮らしていると生きる死ぬの感覚も麻痺するノネ全ての物のゲンジツ感が希薄になるノヨ

 イーディもまた、暗殺者としての教育を受けてきた娘だ

アタシもDarlingと会うまでは、ちょっとオカシかったモノネ感覚がフワフワしていたヨあの頃のアタシは、何の躊躇もなく簡単に人が殺せたと思うネ幸いそういう経験をする前に、Darlingに拾ってもらえたネ

 うん、最初に会った頃のイーディは緊張感があった  今と同じようにヘラヘラ笑っていたけれど抜き身のナイフのような、殺気を漂わせていた  今だって、イーディは切れ味の鋭い刃物のままだと思うけれど  でも今のイーディは、刀身を鞘に納めている  いつでも、鞘から危険な刃を引き抜くことはできるが普段は、近付いたり触れたりしても問題は無い  このドリル槍姉妹も、そういう娘になって欲しいと思う

取りあえずあたしは身重だから、車に乗るわよっ

 場の空気を無視して、雪乃がバンの荷室に乗り込んでいく  ええと車の運転は、当然、克子姉だから

オレは歩いて行くよちょっと心配だから

 ドリィとアナはドリル槍を肩に担いだままだから、バンには乗せられない  となれば、歩いて学校に連れて行くしかない

そうね頼むわはい、これ学校の普段閉まっている門の鍵図書館裏の判る

判るよほとんど人が通らないところだろ

 オレたちの高校は、黒い森の非常時の退避場所だから緊急時の出入り口とかは全て覚えている

ここから人に見られずに高校の敷地に入るんならあそこが最短だと思うの43-bの施設を使ってくれていいわ鍵はこれよ

 ああその施設に、取りあえずゲストたちを連れて行けばいいのか

43-bなら、あたしが判るよっ

 ということは、寧も徒歩通学組だ  オレは克子姉から、2つの鍵を預かる

そしたらパンの荷下ろしがあるから、愛はバンに乗ってくれ

 パン工房での作業があるから、愛は克子姉と先に行かせる

それならノブあたしも愛と行くわ

 可奈センパイもパン工房の仕事をよく手伝ってもらっているからその方が良いな

警護役として、ミタマも乗ってくれ

 イーディはオレたちの方に居てくれないと困るから、そういう選択になる  ドリィとアナが、どんな反応をするか判らないしまあ、一応、お目付役としてのアーニャが居るけれど  相手は2人だからアーニャだけじゃ、制御しきれない可能性がある  アーニャがドリィを抑えている間にアナが逃げ出して、一般生徒にケガをさせたりしたら大変なことになる  だから、言葉が通じて気の技も使えるイーディが必要だ  ええっと、後は

わたくしは、公様と参りますわ

 ああ、保険として巫女も徒歩組の方がいいな

よし、じゃあ徒歩組は裏から出るぞ克子姉また後で

ええ荷下ろしの方は、あたしたちでやっておくからあなたは、ゆっくりでいいわよ

 克子姉は、そう言ってからバンの運転席に乗り込む

オレたちの住むお屋敷は木立が鬱そうと茂った小高い丘の上に建っている

 克子姉の運転するバンは、いつものように玄関前から巨大な鉄の正門の方へ下りて行く  オレたちは木々を抜ける道を下って、裏門へと向かう  オレはいつもの学生服寧とイーディと月子は、高校の女子の制服  アーニャは、白いブーツに、白い革のズボン上半身は、白いタンクトップだの上に白い革の上着を着ている全身白ずくめだ  ドリル姉妹はドリィが鮮やかな青いワンピースアナがオレンジに近い黄色のワンピースどちらも、2人の浅黒い肌に映えるそして柄が赤く塗られたドリル槍だ  そして、グレース・マリンカさんはブーツにベルボトムのGパン、上は朱色と白の縦ストライプのTシャツを着ている  オレ以外は美少女と美女の集団だから、目立つよな  ここのところ、お屋敷への出入りはほとんどが正門を使っているから、裏門の方には公安警察の監視員は多くないと思うけれど  でも、誰かしらは居るだろう

キョーコさんが帰って来てることって、公安の人たちは知ってるのかな

 キョーコさんは、ジッちゃんとの契約でここのところしばらくは、関西で活動していた  その後、東南アジアでバカンスしていって言ってたっけ  再び来日して、オレたちの屋敷に帰って来たことを公安警察は気付いているのか  キョーコさんが居ると居ないとでは屋敷を監視している人間の数が、10倍くらい違うからな

まだ気付いてないと思うわよわたくしたちは、裏の家の方から地下通路を抜けて来たから

 アーニャが答える  ああオレとメグの住んでいることになっている家か  地下通路でお屋敷と繋がっているのはあそこと、黒い森の番頭さんの森下さんの家と、マルゴさんが住んでいることになっている家だけだ

昨日、ウチでパーティがあったことは公安の人たちも知っているネ何人かは泊まっていったコトモ

 うん、昨夜のパーティには女子格闘家の皆さんや、芸能人のスナッチたちが来てくれた

ダカラ、ジュンやこの子たちがお屋敷から出て来ても変には思わないはずネお屋敷に入った車に、何人乗っていたか警察が把握できないように、マルゴは送迎車に、窓にスモークを貼った車を使ってたカラ

 公安警察は、誰がパーティに来るかは判らなかったはずだから  お屋敷に入る時に、車に何人乗っていたかをチェックできなければ人数は把握できていないはずだ  ドリル姉妹も、昨夜のパーティに来た子だと思い込んでくれるだろうこの姉妹は、見た目からして外国人だしイーディの友達っぽいし  プロレスラーのグレースさんは、イーディやマルゴさんの格闘技仲間だということは判っている

アーニャはまずいよな

 アーニャが、キョーコさんとミス・コーデリアの部下だということは広く知られている  だって、そういう設定でレイちゃんとのスペシャル番組で対戦しているし  顔が割れている

それならキョーコ様から、マスクをいただいたわ

 アーニャは上着のポケットから覆面プロレスラー用のマスクを取り出す

これを被っていれば、そちらのレスラーさんの同僚に見えるはずだって